為替相場の変動要因~国債発行と財政出動で円は暴落するのか

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為替相場とは、自国通貨と相手国通貨との交換(両替)において、自国通貨が相手国通貨に対してどれくらい価値があるか、あるいは相手国通貨が自国通貨に対してどれくらいの価値があるのかを示す指標です。
そう、1ドル=100円とかいうアレですね。
さて、この為替相場、1ドル=98円になったり、102円になったり、その時々によって変動します。
何でこんなことが起こるのでしょう?

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為替市場における通貨の需要と供給

各国の通貨は、為替市場というところで、モノのように売り買いされています。
自国通貨を他国通貨に両替するという行為、これは為替市場で自国通貨を売って、他国通貨を買うという行為になります。
逆に、他国通貨を自国通貨に両替する場合は、他国通貨を売って、自国通貨を買うという行為になります。

この時に、為替相場は変動するわけですが、なぜ変動するのか。
実はここにも、物価と同じ需要と供給の関係が成り立つのです。
例えば、円をドルに両替する、という場合、円を(為替市場に)売り出し、ドルを(為替市場から)買う、と言う事になります。

このとき、円が為替市場に供給され、ドルが為替市場から出ていくことになり、為替市場では円が増え、ドルが減ります。
モノの流通・供給量、つまりモノがたくさん売られていると、そのモノの値段は下がります。
つまり、需要<供給の関係ですね。
反対に、需要>供給で、モノの流通・供給量が減ると、そのモノの値段は上がります。
為替市場も全く同じで、例えば為替市場の中で円の供給量が増えると円の価値は下がり、円の供給量が減ると円の価値は上がります。
すなわち、円売りが進むと円安、円買いが進むと円高になるわけです。

為替市場における通貨の売買①FX

では、どのような場合に円が売買されるのでしょうか?
FXなんかは解りやすいですね。
円を売って、円が値上がりするのを待って買い戻すような、為替相場を利用した博打みたいなもんです。
当然、個人が100万200万程度売り買いしたところで、変化はビタイチ起こりません。
為替市場の取引規模は一日に1兆ドルから5兆ドルともいわれています。
1ドル≒100円ですから、一日に100兆~500兆円ものお金が取引されているようです。
ようです、というのは、世界各国で24時間常に為替取引が行われている現在、正確にリアルタイムで為替市場の取引を把握するのは難しいためです。
まぁだいたいこんくらい、という感じですが、額としたらかなり大きいですよね。
日によっては日本のGDPと同じ規模の取引が行われている訳ですから。
まぁ、そう言ってしまうとスゴいのかスゴくないのか議論を呼ぶところではあるかと思いますが。

為替市場における通貨の売買②貿易

貿易のように、海外のモノが輸入されたり、逆に海外へ国内の生産物が輸出されたりすると、円が売買されます。
輸入すると言う事は、外国のモノを購入すると言う事で、支払いは外国の通貨で行われます。
日本の企業や個人が外国製品を買いたい場合、まず日本円をその国の通貨に両替しなければなりません。
つまり、“円が売られる”わけですね。
反対に、輸出では“日本のモノを外国に売る”ということですから、代金は当然外国の通貨で支払われます。
しかし、そのままでは日本の企業は日本でお金の支払いや、税金の支払いをできません。
なので、外国通貨で受け取った売上代金を、日本円に両替します。
つまり、“円が買われる”わけです。
というわけで、

●輸入が多い
=貿易収支が赤字傾向の国の通貨は、為替相場が安くなりがち
→円安
〇輸出が多い
=貿易収支が黒字傾向の国の通貨は、為替相場が高く維持されやすい
→円高

と言う事になります。

為替市場における通貨の売買③海外投資

その他には、海外投資があります。
資本移動のグローバル化が進んだ現在、貿易の影響よりも遥かに大きい影響を為替相場に与えるのがこの海外投資です。
例えば海外の投資家が、日本の企業に投資をしようと考えたとします。
その場合、日本の国内企業であれば日本で営業していますので、欲しいのは日本円。
そこで海外の投資家は、自分が保有する通貨を日本円に両替して、目的の企業に投資するわけです。
このとき、円が買われます。
つまり円買い=円高となるわけですね。

反対に、海外の投資家が日本の企業から資金を引き揚げる場合、つまり日本企業に投資することを止めた場合はどうなるかというと、投資されていた日本円を、その投資家が普段使っている外国通貨や、投資するともっと儲かると判断した国の企業の投資に使うために、円を外国通貨に両替してしまいます。
このとき、円は売られます。
つまり、円売り=円安となるわけです。
また、日本の投資家が海外企業に投資しようとした場合も、円をその外国企業のある国の通貨に両替するために円を売りますから、円売り=円安となるわけです。

国債発行と財政出動で円は暴落するのか

さて、ここまで見ていただいてお解りのように、円の外国通貨と比べた時の価値、つまり為替相場は、為替市場で円が売られたり買われたりしなければ変動はしません。
つまり、国債が発行され、財政出動されたからと言って、円相場が下がるなんてことはないのです。
あるとしたら、上述のように円相場自体の動きが必要になってきます。
「国の借金が増えると、通貨の信用が無くなって円の価値が下がるんだ!」
というのは、嘘っぱちか、順序を完全に間違えているのです。
実際、日本の政府債務を対GDP比で見ると、日本は世界でも断トツに高い237%です。
彼らの言う通りなら、円の暴落なんて、もうとっくに起こってるはずでしょう。

財政に関する資料 財務省

そして、円相場により大きな影響を与えるのは、海外からの投資などですが、投資家にとっては政府の債務が大きかろうが、小さかろうが、自分が儲かればそれでいいわけです。
経済活動が活発で、投資したお金が増えるのなら、投資家はその国の企業に投資し続けます。
つまり、財政出動して日本の経済が活発化し、好景気になれば、投資家は日本に投資しようとするわけで、円高圧力は維持されるわけです。
つまり、財政出動により日本の経済が活発化すると、日本への投資が増える、つまり円高になってしまうのです。

とある財政破綻論者は、「国債発行して財政出動すると通貨の信認が暴落してハイパーインフレになる!」と恐怖プロパガンダを展開していますが、実はこれは嘘っぱちか、順番を完全に間違えているのです。
つまり彼らの言説は、財政支出拡大に反対して公共事業を抑制し、公共インフラへの投資を邪魔して国民の命と生活を危険に晒し、災害被害や事故リスクを拡大して国民が死ぬのを助長する殺人幇助行為に加担する、最悪のデマゴギーなのです

この記事は、『門前小僧、習わぬ今日を読む』(筆者ブログ)にて、為替相場の変動要因~国債発行で円は暴落するのか(2020年1月31日)として投稿したものを加筆・修正したものです。

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