思想

経済

貨幣と経済構造

経済のインフラとしての貨幣  貨幣は、発行されるだけでは価値を持ち得ず、逆に価値があっても流通していなければ、その価値を発揮できません。  貨幣を経済のインフラとして位置づけて考えるのであれば、まず貨幣価値を担保すること、そして貨幣を流通させることが必要になります。 貨幣の価値を担保するには、モノやサービスに対して貨幣...
思想

ジョサイア・ロイス『忠義の哲学』|ナショナリズムの理想

「表現者クライテリオン」の2022年7月号に、「共同体と忠誠心 ジョサイア・ロイスのアクチュアリティ」(白川俊介)という論考が掲載されました。 ジョサイア・ロイスは19世紀末~20世紀初めのアメリカの哲学者です。昨今、ほとんど注目されることがなかったところ、今回の記事。彼の『忠義の哲学/philosophy of lo...
思想

尊皇心とは?|人格評価は亡国の道

小林よしのり氏は尊皇心・天皇に関する自身のブログ記事で、血統よりも人格を重視する旨を述べました。男系血統の「血の器」は尊敬できず、神がかった「人格」をこそ尊敬するのだそうです。しかしこれは尊皇心とは言えません。むしろ亡国を導く考え方です。 尊皇心は「人として尊敬する心」か? 小林よしのり氏「わしは今上陛下には、まだ尊皇...
思想

株主至上主義と新自由主義(ネオリベラリズム)、グローバリズムの関係性

株主至上主義、新自由主義(ネオリベラリズム)、グローバリズムの三種のイデオロギーは、相互に補完関係にあるとも言えますが、後二者、すなわち新自由主義とグローバリズムが前者株主至上主義を支え、より強めるという関係性にあります。 株主至上主義  株主至上主義は、経済、即ち企業、家計(労働者)など、これに関わる経済主体―――時...
思想

『ナショナリズムの美徳』とリベラル帝国主義、そして日本の在り方

『ナショナリズムの美徳』(ヨラム・ハゾニー著)を読みました。トランプ前大統領をはじめ、米国の保守派に大きな影響を与えた同書。イスラエル人/ユダヤ教徒の著者が、ナショナリズム(国民国家主義)とリベラリズム/グローバリズム(リベラル帝国主義)を論じています。今回は、この本の要点を紹介しつつ、併せて日本の在り方も考えてみたい...
政治・時事

ナショナリズムはグローバリズムの害を超えられるか

グローバリズムの弊害が露わになり、その対抗馬であるナショナリズムが見直されています。我が国において、ナショナリズムによるグローバリズム克服は可能でしょうか。わかりやすく考えてみます。 ナショナリズムとグローバリズム グローバリズムの行き過ぎ、弊害が露わになると共に、ナショナリズムに注目が集まっています。 それぞれの定義...
政治・時事

生活保護をめぐる日本人の心理~恩と義務と権利

生活保護の捕捉率が低すぎる問題。これに対して「生活保護は国民の権利なのだから堂々と申請すべきだ」と言われます。しかし、この言い方はイマイチ日本人には響かないのではないでしょうか。日本人の伝統的な感覚「恩」、そして「義務」と「権利」の関係から考えてみます。 生活保護は増えているが、捕捉率は低い コロナ禍で受給世帯は増加 ...
思想

公正世界仮説のメリット・デメリットと自己責任論や犠牲者非難

公正世界仮説とはメルビン・J・ラーナーが発見した心理学上の現象です。多くの人が公正世界仮説を信じています。  しかし、公正世界仮説は信じすぎると認知バイアスを引き起こしたり、犠牲者非難や極端な自己責任論につながったりします。  公正世界仮説にはメリット、デメリットの両方があります。公正世界仮説とは何か? そのメリットや...
思想

ルサンチマン・プロパガンダの意味とは-分解してわかりやすく解説

ルサンチマン・プロパガンダとは三橋貴明が提唱した概念です。しかし、提唱しておいて完全に定義しようとはしませんでした。事例を持ち出して「これがルサンチマン・プロパガンダ!」と言われても、ちょっとわかりにくいでしょう。  そこで、今回の記事ではルサンチマン・プロパガンダを分解し、組み立てなおすことでわかりやすく解説します。...
政治・時事

トランプ派の言論弾圧で分断はさらに進む

トランプ前米大統領とその支持派・保守系アカウントに対するSNS凍結~規制など、情報大手私企業(ビッグテック)による言論弾圧が続いています。トランプ派の「悪魔」化です。これにより、トランプ派は退潮し健全な民主主義が回復されると期待する向きがありますが、実際は逆。ネットの自由が壊されて、社会の分断は増すでしょう。 「トラン...
思想

「保守」が「グローバリズム的改革」を望むのはなぜ?|明治維新と五箇条の御誓文から考える

我が国の「保守」と言われる人たちは、なぜグローバリズム的改革を良しとしまうのか?その要因の一つは、天皇の存在に重きを置かず、明治維新を一面的にとらえてしまっていることです。明治日本に発せられた国是、「五箇条の御誓文」をカギに考えてみます。 「保守」が「グローバリズム」「改革」を進めるフシギ 我が国の「保守」と言われる人...
思想

トランプ大統領支持の愛国極右(?)プラウドボーイズの主張する「謝罪拒否」の意味

Proud Boys at 2020 VCDL Lobby Day, Richmond, Virginia by Anthony Crider アメリカの保守系団体、「プラウドボーイズ」。大手メディアでは、トランプ大統領支持の白人至上主義、排外主義の極右などと批判的な文脈でばかり扱われています。しかし実のところ、彼らの...
思想

資本主義/新自由主義の正体|その弊害は資本の力を使ってこそ克服できる

Coalbrookdale at night painted by Phillip Jakob Loutherbourg「夜のコールブルックデイル」英国産業革命時の製鉄の村 ソ連崩壊後、約30年。資本主義の先鋭化とも捉えられる新自由主義が、世界経済を席捲してきました。すなわち国境を越えたグローバル大企業による荒稼ぎです...
思想

普通の人が空気しか読まない政治家を選んでしまうのはなぜか。危機感がない時の考え方。

実は今のままで現状維持を基本に続ければ、何も問題もなく10年後が迎えられるのではないかという希望は、全くないのである。 小池都知事が再選され、個人的には都民ではないのにもかかわらず、違う候補の都知事当選を夢見ていた口ではあったが、それは、夢であって、夢のまま終わってしまった形である。コロナ感染の拡大の兆候があったが、な...
思想

大西つねき氏動画から考える~ 日本の死生観と「高齢者をいつまで生きさせるか/命の選別」問題

「死生観」「高齢者をどこまで長生きさせるか」「命の選別」という問題について、積極財政と天皇への忠義という観点から考えてみます。歴代天皇の願い「衆生済度」をかなえるには積極財政への転換こそが重要であり、それがかなえば「命の選別」問題も解消に向かいます。