トランプ派の言論弾圧で分断はさらに進む

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トランプ前米大統領とその支持派・保守系アカウントに対するSNS凍結~規制など、情報大手私企業(ビッグテック)による言論弾圧が続いています。トランプ派の「悪魔」化です。これにより、トランプ派は退潮し健全な民主主義が回復されると期待する向きがありますが、実際は逆。ネットの自由が壊されて、社会の分断は増すでしょう。

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「トランプ派」の排除=言論弾圧

トランプ大統領退任。国民優先かつ反ポリコレの指導者の退任を残念に思います。
彼によって食い止められていたグローバル化(国民国家の弱体化)、ポリコレ進行が再開することが予想されますが……

米議会乱入事件後、トランプ氏とその支持派・保守系の不利が決定的とみなされ、その「悪魔化」が絶賛進行中です。

トランプ氏のツイッターアカウントが永久凍結、フェイスブックも無期限凍結されました。
さらにSNS「パーラー」も接続できなくなるなど、情報大手私企業による「トランプ派」の排除=言論弾圧が行われています。
以前紹介した「プラウドボーイズ」の公式サイトが見られなくなっているのもその一環かと思われます。

大手メディア、報道機関によるトランプ派の「悪魔」化

「言論の自由」には人一倍うるさいはずの大手メディア、報道機関はこれを容認あるいは歓迎。日本のメディアも軌を一にし、

【トランプは暴徒を煽って議会へ乱入させたし、今後も同じことを起こすから当然の措置だ】

といった論調です。
実際のところ、トランプ氏は選挙不正を主張して議事堂への行進を呼びかけたものの、「乱入を煽って」などいない。支持者に落ち着くよう呼びかけ、議会での暴動に制止を求める発信をしていたし、事件後には、平和と帰宅を呼びかけさえしたのですが。

参考:トランプ凍結で加速する「保守派追放運動」が、あまりに危険である理由

とにかくトランプが悪い。
彼の発言はウソと暴力賛美で、陰謀論者・白人至上主義者・暴徒を手下に従え、大統領の座にしがみつこうとしていた。民主主義の敵。

そんなイメージ・虚像が主流メディアなどによって喧伝される。
トランプ派の「悪魔」化です。

もっとも、これは最近始まったことではなく、大統領就任後からずっと続いていたのが完成形になったと言えます。
主要メディアの報道しない自由・表現の自由を駆使した偏向報道に加え、SNS使用不可によってトランプ派の口封じ/発信力破壊がなされました。

トランプ派を解体、健全な民主主義を復活?

富裕リベラルやグローバル派といった反トランプの人々は、サイバーカスケード/エコーチェンバーの元を断ち、トランプ派を解体、健全な民主主義を復活できると期待するでしょう。

【サイバーカスケード】
インターネット上、SNS上で異なる意見を排除した閉鎖的で過激なコミュニティが形成される現象。

【エコーチェンバー】
閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、特定の信念が増幅または強化されてしまう状況。

要は、トランプ派はツイッターやパーラーなどで好みの情報ばかりに触れ、似たような思想の者とばかり交流することで過激化し、生まれた勢力。
ゆえに、SNSを封じればトランプ派を終らせられる、と反トランプ派は考えるわけです。

参考:トランプをツイッターから追放して1週間で起きた「驚愕の変化」とは?

しかし、そうはならない。
逆にエコーチェンバー/サイバーカスケードはこれから強化される。
それもトランプ派、反トランプ派の双方で、です。
分断はさらに進むでしょう。

自由なネット・SNSは穏健化を進める

というのも、ネットやSNSの利用は通常のイメージと逆に穏健化を進めるものだからです。(元から政治的に過激だった者を除く)

ネットではどうしても極端な意見が目立ち、不寛容な対立ばかりの不毛な議論というイメージですが、次のような指摘があります。(ペンシルバニア大学でのラジオ放送を使った調査実験を踏まえたものです)

自分の意見と反対側の意見を並列して比べ、そのうえで自分で考えて納得した時にだけ人は意見を変える。それゆえにこそ両側の意見を流した時に、意見の変化が起こったと解釈できる。そしてそれは、相手の意見を理解した事による歩み寄りなのであり、傾向としては穏健化となる。(中略)
原理的にはネット上で自分に近い情報ばかりを選ぶことは確かにできる。多くの悲観論者はそう予想し、ネット上で人々が自分だけの偏った情報の中に閉じこもることを危惧した。しかし、人々はそうはしなかった。接する論客の4割が自分と反対側の論客という事実がそれを物語っている。民主主義が安定して機能するためには自分と反対の意見を知る必要があるが、ネットユーザはそれに“見事に”応えていたことになる。

『ネットは社会を分断しない』田中辰雄・浜屋敏著 角川新書 令和元年 p.190-191

ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある 田中辰雄 / 計量経済学

自由なネット環境こそが穏健化を促す。
手軽に無料で比べて考えられることが、社会の分断を緩和する。
アメリカ人は、いやでも目や耳に入って来る大手メディアの論と、トランプ氏自身のツイッターを比べて考えることができた。
それゆえにこそ、トランプ氏はあれだけ広範な支持を集められたとも考えられます。

ところが今や逆に、SNS使用不可など、ネットの自由が破壊されている状況です。

ネット言論弾圧の行き先

そもそも報道機関(新聞、テレビなど大手メディア)を信頼する割合が、党派で大きな乖離があります。(ほとんどの報道機関が民主党・リベラル寄り、反トランプなので当然ですが)

民主党支持者(≒反トランプ派):54%
共和党支持者(≒トランプ派) :15%

ネット言論の規制が進めば、

【反トランプ派】
大手メディアと自分たちのSNS(ツイッターなど)でエコーチェンバー。

【トランプ派】
さらに大手メディアを信用しなくなり、Gabやテレグラムなど代替SNSでエコーチェンバー。

互いの意見に触れることが困難になり、両派とも一部の者が過激化、分断はさらに進んでしまいます。

ポリコレ権威主義国家か、同調強要の全体主義国家か

バイデン新大統領は「分断ではなく融和を目指す」と言っていますが、それならネットの言論規制は即刻解除させなければならない。そうしないのなら、本気ではないのでしょう。

トランプ氏は約7380万票を得て、バイデン氏と違い、得票に疑義は呈されていない。
それだけの国民がトランプ側にいるということです。
アメリカの総有権者数は推計2億3000万人

彼らの思想・言論を無視する状況が維持されるならば、アメリカはポリコレ権威主義国家と化すことでしょう。
カネと地位を持つ者が意に沿わぬ者たちを黙らせ、同調を強要する全体主義国家です。

日本でも起こっている言論弾圧

日本にとっても、この状況は看過できぬところ。
ネット上の言論プラットフォームはツイッター、フェイスブック、ユーチューブが圧倒的に主流で、米国と大差ありません。

ツイッターの日本語アカウントでも、大統領選挙の不正などの投稿には削除要請が来るようですし、チャンネル桜の水島社長によれば、ユーチューブは南京や慰安婦、中国をめぐる動画を理由に広告をはがしたり、警告や削除などの圧力を掛けてくるそうです。

富裕リベラル、GAFAなどのビッグテック、グローバル大企業の意に沿わぬ言論は、我が日本でも統制され得るのです。明治以来、言論・表現の自由を憲法が保障しているにもかかわらず。

国産プラットフォームの構築を目指すべき

中国に倣うわけではないですが(あちらはそれ自体が人民監視に使われているので)、
我が国も国産で自由な言論を保障するプラットフォームを構築すべきです。

菅政権はデジタル化を進めたいようですが、それをグローバル企業に頼ってはならない。
政府が大いに資金を投じるなどして、日本人のための、日本のためのプラットフォームを整備・普及する。
少なくとも選択肢となり得るもの、ニコニコ動画など既存のものを支援する。
我が国に財政破綻はあり得ないのですから、この方面にもケチらず投資を拡大すればよいのです。

そうしなければ、思想・言論の根っこを外国の私企業に握られた状況が進み、国家としての自由、国家主権を維持するのはこれまで以上に難しくなることでしょう。

アイキャッチ画像は⇒沈黙 話 言論の自由 – Pixabayの無料画像

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