就職氷河期世代のNO生活保護!YESベーシックインカム!の不思議

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 就職氷河期世代が全国ネットで、ベーシックインカムやロスジェネ食堂を政府に求めるそうです。氷河期世代が全国ネット設立 ベーシックインカム訴え 「ロスジェネ食堂」も – 毎日新聞で報じるところによれば、氷河期ネットという名称の団体です。

 活動は非常に素晴らしいと思います。しかし1つだけ疑問があります。
 ……なんでベーシックインカム? 生活保護ではダメなのでしょうか。疑問に思ったところを、深堀りして解説していきます。

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就職氷河期世代とベーシックインカム

 就職氷河期世代は非常に厳しい時代を、新社会人のときに迎えました。したがって最低所得保障であるベーシックインカムの議論が、就職氷河期世代にとって魅力的に写るのは当然でしょう。

 いえ――失われた20年の中で、日本人の大半にとってベーシックインカムの議論は魅力的なはずです。筆者だってもらえるなら、もらいたいと思います。超ほしい……。

 最初に筆者のスタンスを明確にしておきます。ベーシックインカムに魅力を感じているものの、理論的に実現は難しいだろうと考えています。
 また生活保護の拡充や要件緩和で、十二分に対応可能では? と思います。

ベーシックインカムの種類

 議論を展開する前に、ベーシックインカムの種類を明確にしておきましょう。

  1. 新古典派経済学の社会保障一元化型ベーシックインカム
  2. 負の所得税という低所得層への社会保障型ベーシックインカム
  3. 積極財政を目的としたベーシックインカム

 1.は年金や健康保険といった社会保障を一元化して、すべての国民に一律給付するものです。いわゆる小さな政府論型のベーシックインカムです。

 2.や3.は社会保障制度をそのままに、新たに社会保障としての給付をベーシックインカムで実現しようというものです。前者は社会保障として、後者はデフレ対策として語られることが多いでしょう。

 細かい分類としては給付が一律かどうか? などがあります。しかし大きくは上述の分類で事足りるでしょう。

なぜ”生活保護”ではだめなのか

 冒頭の記事は「最低所得保障としてベーシックインカムを」という趣旨でした。つまり低所得層向けの社会保障としての、ベーシックインカムの導入を求める運動です。分類としては2.のベーシックインカムとなるでしょう。それを前提に書いていきます。

 ここで本論に入ります。なぜ生活保護ではダメなのでしょうか? 生活保護の拡充ではいけないのでしょうか?

生活保護という名称がダサい

 「生活保護」と「ベーシックインカム」。明らかに名称で、生活保護はダサいです。「名称なんて関係ないだろ?」と思うでしょうか。大いにあります。

 好悪の感情は、印象で決定されることが多い。ショッピングでも人は必要なものではなく、欲しい物を買うのです。政治や制度についても、同様のことが言えます。

 一時期、巷を賑わしたSEALDsはどうでしょう。あれが「民主主義青年同盟」とかなら、あそこまで盛り上がったでしょうか? ダサい、ダサくないは結構重要な要素です。

ベーシックインカムは”みんな”だから

 生活保護は申請して、初めて受けることが可能です。しかしベーシックインカムは、基本的にすべての人が受け取ることが可能です。

 手続きの簡易さもさることながら「みんなが受け取っている」という事実が、心理的ハードルを下げるのではないでしょうか。生活保護だとどうしても「なんだか受け取って申し訳ない……」という心理状態になるでしょう。

左派的には「生活(を国家に)保護(してもらう)」は受け入れられない

 日本の左翼や左派は、基本的に政府や国家に懐疑的です。よって「生活を国家に保護してもらう」を含意している生活保護という名称は、あまり受け入れたくないのではないでしょうか。

生活保護の要件が厳しすぎるから

 生活保護を受ける条件は、非常に厳しいです。

  1. 世帯収入が最低生活費以下
  2. 預貯金・現金・保険・土地・家・車などの財産がない
  3. 援助してくれる家族・親族(親・子・配偶者・兄弟)がいない
  4. 病気などの理由があって働けない
  5. 1~4のことを書類で証明できる

 なかなか厳しい条件です。
 ちなみに最低生活費は地域によって異なります。生活保護の金額、あなたはいくらもらえる?簡単な入力だけで保護費を自動計算します!で、計算できるようです。
※生活保護で受け取れる金額=最低生活費
※筆者は11万8千円と出ました。多いと見るか、少ないと見るか……。筆者は「え? 案外多くね?」でした。

ベーシックインカムを正しく知って議論しよう

 筆者は就職氷河期世代や低所得層向けの社会保障に、生活保護の条件緩和で対応するべきではないだろうか? と考えています。しかしベーシックインカムの議論自体は、否定するつもりはありません。

 以下はベーシックインカムでよく出てくる論点です。

  1. 従来の社会保障制度ではいけないのか?
  2. ベーシックインカムは国民一律なのか? それとも負の所得税方式か?
  3. 社会保障制度の一元化はどうするのか?
  4. 財源ないしインフレ率をどのように考えるのか
  5. いったいいくらを、どのような制度として支給するのか
  6. 生活保護との兼ね合いはどうするのか? 生活保護は廃止するのか?

 もっとも実現可能性があるのは、負の所得税型のベーシックインカムでしょう。低所得層へのみ給付を行うのです。冒頭の氷河期ネットが訴えているのも、おそらくこのタイプかと思います。

 逆に国民一律にいくらというベーシックインカムは、給付額が非常に低くしないと実現不可能です。いわゆるインフレ制約の問題が出てきます。詳しい論点は以下をご覧ください。

 就職氷河期世代や低所得層を支援するために、一体何が必要なのか? を考えるためにも、正しい知識が必要です。盛り上がる議論の一助になれば、幸いです。

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Muse
5 ヶ月 前

>就職氷河期世代が全国ネットで、ベーシックインカムやロスジェネ食堂を政府に求めるそうです。
>ベーシックインカムに魅力を感じているものの、理論的に実現は難しいだろうと考えています。また生活保護の拡充や要件緩和で、十二分に対応可能では? と思います。

ちなみに当方は、ブログ記事中の2のタイプであっても、(ましてや給付一律型の)ベーシックインカムには否定的です。やはり、あくまでも各人の経済的事情に対応した「生活保護の拡充と受給要件緩和」で対応すべきである。

それから、現行の生活保護の受給条件も厳し過ぎます。もっと緩和すべきです。例えば、世帯収入が一定水準以下という条件は止むを得ないにしても、預貯金の上限は50万円程度まで許容しても良いのではないか?それから火災保険や地震保険の加入も一定条件下で認めるべきではないか?それから、土地や自宅も資産価値に換算して一定金額以下であれば、当然認めるべきであり、自家用車についても、周囲に公共交通機関がなく、徒歩30分~1時間以内にスーパー等の生活必需品を買える店舗がない等々の事情があれば認めて然るべきではないか?それから、10万円以下のPC1台の保有と光通信によるブロードバンド接続も認めてもよい(その代わり、モバイル端末ではスマホやタブレットは禁止、ガラケーのみ)と個人的には思います。

>「生活保護」と「ベーシックインカム」。明らかに名称で、生活保護はダサいです。「名称なんて関係ないだろ?」と思うでしょうか。大いにあります。

いや、生活保護の拡充による恩恵を受ける以上、恥も外聞もかなぐり捨てて生活すべきで、ましてやネーミングにごだわる必要などないと思います。例えば、友人や知人との(金ががかる)交際など一切やめ、普段はスーパーやディスカウントストアで生活必需品の買い出しに行く以外、家に閉じこもった生活を続けていれば、世間体など全く気にする必要はありません。生活保護受給者ではありませんが、自分がそうです(笑)。

>※生活保護で受け取れる金額=最低生活費
※筆者は11万8千円と出ました。多いと見るか、少ないと見るか……。筆者は「え? 案外多くね?」でした。

確かにかなり多い、というか大過ぎです。ちなみに我が家は1人暮らしですが、食費は月額18,000円前後、国民年金保険料16,410円、民間の医療保険料18,000円弱を含めて月額出費額は85,000円前後です。もし、自分が生活保護受給者だとすれば、上記の保険料が不要になるため、1か月50,000円の出費で済みます!

>逆に国民一律にいくらというベーシックインカムは、給付額が非常に低くしないと実現不可能です。いわゆるインフレ制約の問題が出てきます。

仰る通りで、そのようなベーシックインカムには断固反対!なので、進撃の庶民でも時たま名前が出てくる池戸万作氏や大西つねき氏等の主張には惑わされないよう要注意です。

davidoff cool water
5 ヶ月 前

あのな、お前ら誰と戦とるの?

11万って、家賃入れた金額やで。

5万で十分って、家賃払ったら食費、光熱費、通信費ないやん。アホか。

まあお前等は痩せ我慢しとけ。

俺は憲法25条に基づいて家賃含んで30万貰うのに賛成やわな。

政治家、資本家、悪い輩、ようけおるで。

そいつらは国を売って、同胞を売ってただ飯食っとるんやから氷河期世代は遠慮する必要ないで。

どんどん貰って消費すればええ。

davidoff cool water
5 ヶ月 前

あのな、デマ書いて誤誘導すんな。そのせいで追い込まれる人々がいるってことを考えたことあんのか?

コラ!

保護費が多いだのとフラフラと強者の味方するようなそういう偽善と欺瞞が気に入らないんだよ。

だったら、安倍に新自由主義にそくした憲法改悪させりゃいいだろ。そしたらお前らが満足する保護費が5万か1万になるかもな。

ただそのせいで苦しむ人達が増えたならお前らのせいな。そん時はきっちり責任とれよ。

ハゲおっさん
5 ヶ月 前

氷河期世代が ×ナマポ 〇ベーシックインカム
な感情を抱くのは、当事者として理解できます。

ナマポは氷河期世代からみて恵まれた世代にも関わらず、能力的あるいは運、環境により稼いでいけない人達に「とりあえず生きていければいいよね?」と与えられるものだからです。
大多数の氷河期は、能力労力のわりに待遇的にもスキルを得られる機会的にも少ない状況で低所得に甘んじており、その人たちはナマポの対象にならない。なったとしても「働けないんだからとりあえず最低限の保証」ですまされるというところです。
(逆を言えば、氷河期でニートになってしまった人はそこまで拒否反応はないと思います)

氷河期労働者の多数は「世代が違えば・・・」と働きながら思ってきた人が多いのではないでしょうか。(個人的主幹ですが・・・)
そういう人たちに対し 最低限の保証でいきるか、底辺労働者のままナマポをもらわずに生きるか どっちか選択肢あるからいいよね? と言われても納得できない人が多いと思います。私もそうです。

私が個人的に望むのは
①所得に関わらず氷河期世代への一定給付
②大企業・公務員に一定割合の氷河期を雇い、給与を払う義務付け(障碍者雇用、女性雇用をより強制力を持たせた感じ)

氷河期底辺労働者は、いわゆる結果の平等を歌う政策には共感できない人が多いと思います。
日本全体が良くなれば氷河期が犠牲になってもそれでいい・・・という愛国者の方はそう思わないかもしれませんが。

黄昏のタロ
4 ヶ月 前

お邪魔いたしますです。

>2、預貯金・現金・保険・土地・家・車などの財産がない

 調べてみたです。おいらも生活保護に陥るかもですから。

 ケースワーカーさんの指導を受ける前提なら、上記の制約は絶対ではないそうです。(お金は当然ですが、有ったらダメです。)

 土地・家は売却して現金化するまで時間が掛かります。詳しくは相談なのですが、持ち家があっても支給された前例は有るそうです。売却までの間って事かな。
 車は、受給が短期間で済みそうなら何とかなるかもです。例えば、離職などが原因で就職したら車を使うようになるなら、所有したまま受給できる可能性は有るとのことでした。

 ケースワーカーさんが実態にそって判断・指導するのだそうです。まずは、相談ですね。

 

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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