『東京の消費者物価 30年5か月ぶりの上昇幅 2.8%上昇 9月中旬速報値 1992年4月以来』
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/169794?display=1
「家庭で消費するモノやサービスの値動きなどをみる東京23区の9月の消費者物価指数は、去年より2.8%上昇しました。消費増税の影響を除くとおよそ30年ぶりの上昇幅です。
総務省が発表した東京23区の9月中旬時点での消費者物価指数は、変動の大きい生鮮食品を除いた指数が102.7となり、去年9月と比べ2.8%上昇しました。
消費増税の影響を除くと1992年4月以来の上昇幅で、30年5か月ぶりの歴史的な伸び率です。
原油価格が高騰する中、▼電気代が27.9%、▼都市ガス代が25.8%上昇するなどエネルギー価格の上昇が続きました。(略)」
物価高が止まりませんね。
欧米でもインフレが問題視されていますが、給料が右肩上がりで伸び続けてきた欧米各国と、四半世紀もの間給料が増えていない我が国とでは事の重大さがまったく異なります。
食料品やエネルギー価格については、双方ともウクライナ問題や投機筋による相場操作に起因するコストプッシュ型インフレに見舞われていますが、サービス価格においては、欧米諸国で収入の伸びに応じたディマンドプル型のインフレが生じる一方で、我が国では質の悪いコストプッシュ型インフレばかりが目立つのも問題です。
さて、消費者物価指数(8月分)の動きを見ると、
(1) 総合指数は2020年を100として102.7
前年同月比は3.0%の上昇 前月比(季節調整値)は0.3%の上昇
(2) 生鮮食品を除く総合指数は102.5
前年同月比は2.8%の上昇 前月比(季節調整値)は0.4%の上昇
(3) 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は100.9
前年同月比は1.6%の上昇 前月比(季節調整値)は0.2%の上昇
という結果で、一見するとインフレ率も非常に低位なレベルに収まっているように思えますが、季節調整前の原数値レベルだと、
・総合指数は前年同月比+3.0%
・生鮮食品を除く総合指数は同+2.8%
・生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は同+1.6%
と結構インパクトのある数値を記録しています。
巷では、生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数の値がまだまだ低いことを捉えて、「日本のインフレ率は大したことない」、「我が国はまだまだデフレから抜け出せていない」といった主張も散見されますが、国民にとって衣食住に掛かる最もセンシティブなコストは食料費や外食費、水道光熱費なんですから、コアコアCPIの動きを以って現状のインフレ度合いを語るのは、生活苦に直面する国民の感情を逆撫でするだけで、軽率の誹りを免れないでしょう。
消費者物価指数の細目を見ても、
【食料品】
調理食品+5.3%、外食+3.5%、生鮮魚介+13.7%、穀類+6.5%、菓子類+5.0%、肉類+4.1%、生鮮果物+9.4%、油脂・調味料+7.1%
【水道光熱費】
電気代+21.5%、ガス代+20.1%、灯油代+18.0%
といった具合に目を剥くほど酷いインフレが進んでいます。
これに対して、「菅ちゃんのおかげで携帯料金が下がったんだから、いいやろ!」といった声もありますが、食料品や光熱費は、黙っていても毎日・毎月掛かってくるコストである一方、携帯料金(通信費)は、いくら安いプランが世に出てきたとはいえ、こちらから能動的に乗り換え手続をせねばなりませんし、2年縛りなどの制約もあっておいそれとは手を出せないケースが多く、安値のメリットを享受できる層は限られます。
こうした“給料安の諸物価高”に見舞われた現状は最悪です。
給料が増え続ける中でのインフレなら、いくらでも対処のしようはあります。
かつての狂乱物価やバブル経済期でも、実際に高レベルで物価上昇する物品やサービスは一部に限定され、物価の優等生や庶民の味方となる安価なサービスは想像以上に沢山存在し、消費の選択の幅は相当程度確保されていました。
そうした好況下で庶民は、自分の財布と相談しながら日常生活は安物買いで済ませ、増え続ける給料を当てにして便利な家電やマイカーを競って購入していたのです。
「明日は今日より豊かになれる。来年の給料は確実に今年より増える」とさえ確信できれば、インフレだ何だと騒ぎつつも、消費に前向きなマインドを維持できものなんです。
岸田政権や与党の連中は、事ここに至っても住民税非課税世帯向けの5万円給付という、極めて不十分なワンショット療法のみで乗り切ろうという魂胆ですが、そうした守銭奴の浅知恵は間違いなく不発に終わるでしょう。
ほとんどの国民は、“給料安の諸物価高”という無慈悲なコストプッシュ型インフレに襲われ、消費に対する警戒感をさらに強めています。
ここで数百億~数千億円レベルのケチ臭い経済対策を打っても意味がありません。
○消費税廃止
○社会保険料全額国庫補助化
○月3-4万円/人のBI導入
○公共料金の半額国庫負担化
○大学までの授業料や教育コストの無償化
このくらい強烈なインパクトのある政策を打ち、「えっ、オレこんなに貰っていいの?」と国民が尻込みするくらいでないと、質の悪いインフレに打ち勝つことはできないでしょう。
賃金の伸びを遥かに超えるスピードで物価が上がっているのですから、物価上昇のスピードを凌駕する勢いで賃金や収入を名実両面から増やすよりほか手はありません。
消極財政脳な連中は、国民にカネを配るとますますインフレが酷くなると喧伝していますが、そんなものはまったくのデタラメです。
国内の消費や需要を喚起して、それを梃に供給力強化や価格・品質競争を促すとともに、輸入物資の内製化や国内調達率UPにつなげ、国富の強靭化とインフレ耐性強化を図る政策こそが求められています。
インフレであれ、デフレであれ、政府が積極的にカネを使うことなく解決できるはずがありません。