メンタリストDaiGoの炎上差別発言が示す格差と社会の断絶

この記事は約6分で読めます。

 DaiGoが炎上しています。それも、大炎上。

 なぜ炎上しているのか? ことの経緯はどうだったのか? といった事情をわかりやすくまとめました

 本稿ではまとめるだけで、DaiGo批判は展開していません。
 それより、DaiGo炎上事件はもっと深刻なものを象徴しているのではないか? と提言します。
 DaiGo炎上事件とそのもととなった差別発言は、日本社会の断絶を示唆しているのかもしれません。

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メンタリストDaiGoとは

 メンタリストを名乗るDaiGoは1986年生まれで、作家、ニコ生主、YouTuberといった肩書きで活動しています。
 YouTubeのチャンネル登録者数は245万人で、インフルエンサーとして大きな影響力を持っています。
 多くの人にとってDaiGoは「YouTuber」「本を出している人」といった印象。

 YouTubeでは「早口の方が人は集中しやすい」という特性を活かし、マシンガントークを展開します。一方、テレビなどでは緩急をつけており、場の状況によって使い分けているそうです。

 過去に起こした不祥事は多くありません。
 2021年7月に2人組YouTuber「みきおだのみっき~」の淫行疑惑について言及し、弁護士の岡野武志から発言の誤りを指摘されて謝罪。

DaiGoの差別発言「ホームレスの命はどうでもいい」発言全文

 DaiGoの差別発言は、20201年8月9日に公開された切り抜きチャンネル「【字幕付き】※超辛口 生活保護の人とかいない方が良くない?臭いしさ…【DaiGo】」に残っています。

 差別発言が行われた動画は同年8月7日のライブ配信「【超激辛】科学的にバッサリ斬られたい人のための質疑応答」です。
 このライブ配信の1時間50分あたりを切り抜いたのが上記の動画です。

 以下は差別発言とされる部分の全文です。

僕は生活保護の人たちにね、あの、なんだろう、お金を払うために税金を納めてるんじゃないからね。

生活保護の人たちに食わせる金があるんだったら、あの、猫を救ってほしいと僕は思うんで。生活保護の人生きてても僕べつに得しないけどさ、あの、猫はさ、生きてれば僕得なんで。

(後ろの猫を話しかけながら)ね? 癒される。そうだねー。ねー。ほんとそうだねー。

猫が道端で伸びてたらかわいいもんだけど、ホームレスのおっさんがさ、伸びてるとさ、なんでこいつ我が物顔で段ボール引いて寝てんだろうなって思うもんね。うん。

僕はあのー、今日辛口だと思いますけど、ダークなんで、うん。人間の命と猫の命は人間の命の方が重いなんて僕全く思ってないからね。自分にとって必要もない命は僕軽いんで。僕にとって軽いんで。そうそうそう、だからべつにホームレスの命はどうでもいい

てか、どちらかっていうと、みんな思わない? どちらかっていうといない方がよくない? ホームレスって。言っちゃ悪いけど。本当に言っちゃ悪いこと言いますけど、いない方がよくない?

いない方がだってさ、みんな確かに命は大事って思ってるよ。人権もあるから。いちおう形上大事にするよ。でもいない方がよくない? うん。正直。邪魔だしさ、プラスになんないしさ、臭いしさ。ねえ。治安悪くなるしさ、いない方がいいじゃん。猫はでもかわいいじゃん? うん。って思うけどね、僕はね。

うん。もともと人間はね。自分たちの群れにそぐわない社会にそぐわない、群れ全体の利益にそぐわない人間を処刑して生きてきてるんですよ。犯罪者を殺すのと同じですよ。犯罪者が社会の中にいると問題だし、みんなに害があるでしょ? だから殺すんですよ。はい。同じですよ

DaiGo炎上と謝罪の経緯

 2021年8月7日のライブ配信で視聴者からの質問に対し、DaiGoは上記のようなホームレスを否定する持論を展開しました。
 この持論に対し、SNSでは批判が殺到。
 有識者からも「ヘイクライムを誘発しかねない」と批判されました

 ヘイトクライムとは、特定の属性を持つ個人や集団への差別が引き起こす事件です。

 これらの批判に対し、DaiGoは8月12日に新たにライブ配信を行って弁明します。
 「個人の意見なので扇動しているわけではない」と弁明する一方、自信が高額納税していることを挙げて「僕を叩いている人より、僕は彼らのことを保護しています(意訳)」と新たな持論を展開。
 要するに「低額納税者ぷぎゃー!」と煽ったわけです

 翌日の8月13日、厚生労働省がTwitterで「生活保護の申請は国民の権利」と異例のツイート。
 同日夜、DaiGoはライブ配信で「頑張っている人に対して言い方がよくなかった。反省して謝罪します(意訳)」と一転して謝罪しました。

 さらに翌日、8月14日に生活保護受給者支援団体が声明を発表。
 「謝罪になっていない。再度謝罪を求める(意訳)」「菅総理はDaiGoの発言が許されないものと明言してほしい(意訳)」としました。

 同日の夜、DaiGoは「昨日の謝罪を撤回いたします」というタイトルの動画を配信。
 黒いスーツにネクタイ姿で登場し「前日の謝罪は謝罪になっていなかった」と改めて謝罪を表明

 DaiGoがアンバサダー(宣伝大使)を務める「霧島天然水 のむシリカ」は、公式サイトでDaiGoの発言に関する謝罪文を掲載し、DaiGoのCM出演を当面の間、見合わせることを発表しました。

DaiGo発言から見える格差と社会の断絶

 本稿はDaiGo批判を趣旨としていません。
 そんなものはTwitterを検索すればいくらでも見つかりますし、有識者も行っています。

 DaiGoの発言を筆者は、社会の断絶の象徴ではないかと感じました。
 DaiGoは言うまでもなく成功者です。
 そして、成功者は得てして「自分の成功は努力によるものだ」と考えます。

 仮に「自分の成功は努力によるものだ」とすると、成功していない人たちは「きっと努力が足りないからだ」と結論されるでしょう
 サミュエル・スマイルズの「自助論」でも、勤勉さこそが成功の秘訣だそうです。
 序文の「天は自ら助くる者を助く」はあまりに有名。

 つまり、DaiGoが「自分は努力したから成功した」と考えるのは、一般的な成功者の考え方です。
 この美しい考え方の裏には、「成功できないのは努力が足りない」とする自己責任論が横たわっています。

 成功者には、貧困にあえぎ、困窮に苦しむ人の姿は見えません。
 相対的貧困率16%で2000万人が貧困という事実も、単なる数字と化してしまいます。

 DaiGoの「ホームレスの命はどうでもいい」発言は、成功者の中ではわりと普通な感覚なのかもしれません。
 グローバルエリートにスラム街の住人たちの感覚がわからないように、日本の成功者にも生活保護受給者やホームレスの感覚はわかりません。

 DaiGoの発言は日本社会断絶を象徴しているのではないか。
 筆者は深刻にそう感じました。

まとめ

 DaiGoは過去にほとんど不祥事を起こしていません。
 DaiGoがアンバサダーを務める「霧島天然水 のむシリカ」からしても、青天の霹靂に違いありません。なにせ、過去に不祥事のない優等生だったのですから。

 過去には「差別をするのは頭の悪い人」といった発言をしています。
 根っからの差別主義者とも思えません。

 ところが、今回の発言です。
 これは成功者のコミュニティで培われた感覚からではないか? そんな疑義が頭をもたげます。
 而して、大炎上と相成りました。

 DaiGoの発言が社会断絶を象徴するものだとすると、日本社会も行き着くところまで来たのかもしれません

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1 ヶ月 前

DaiGo氏の件の見解は今回も完全に同意するものですし、昨日のうずらさんのエントリーのコメント欄でも少し触れたので、私は同時期に炎上した張本勲氏について語ってみます。いわゆる「女子ボクサー揶揄発言」、あれは「そんな失礼なこと、公共の電波に乗せてわざわざ言うことないだろう」という、単純にアスリートへの敬意や配慮を欠いた「ジジイの小言」であって、女性差別とはちょっと違うのかなと思っています。

私も女子卓球やソフトボール、格闘技であれば女子柔道などは好きな競技ですが、女子ボクシングや女子マラソンはあまり観たいと思う競技ではありません。何だか健康寿命を削りながらの試合や日々の練磨を連想してしまい、安心して観ていられないのです。

仮に自分に娘がいて、ボクシングをやりたいと言ってきたら、一度や二度は止めるでしょう。柔道やレスリングをやりたいと言ってきたら、「イヤーガード」を着けさせて、餃子耳にならないように気をつけさせます。髪の毛をチリチリにさせながら消化活動にあたる女性がいるとしたら、「いや、若い男に代われよ」と普通に思ってしまいます。

また、女子競技や障碍者競技において、プロの選手が少ない(需要が少ない)ことも事実です。張本勲氏の発言を分解して私が感想を述べるとしたら、次の通りとなります。

>女性でも殴り合い、好きな人がいるんだね

格闘技は闘争心の激しい男性に好まれるスポーツであるため、殴り合いの選手になりたいという女性の絶対数は、男性と比べて圧倒的に少ないという事実は存在する。

>こんな競技、好きな人がいるんだ

男子ボクシングより女子ボクシングの観戦の方が好きだという人がいたら、確かに理由を聞いてみたいとは思う。また、競技者としても女性は少数派であるが、多様性は認められるべきだし、そこで頂点を極めた競技者を揶揄するのは失礼にあたる。

>それにしても金だから、あっぱれあげてください

日本国という同じコミュニティに所属する者として誇らしい結果。あっぱれ!

私も生前の母から、「おまえ、いつ結婚すんねん?」と言われ続けましたが、これは性的な嫌がらせでも男性差別でもなく、単純に「ババアの小言」です。これが公共の電波に乗った場合、「おばはん、言いすぎだろう」という感想はあって構いませんが、公開謝罪に追い込まれるのはどうかと思います。

別途、張本勲氏は普段からアスリートに対する敬意を欠いているため、そもそもあの左傾番組から降板させられるべきだとは思っています。

Last edited 1 ヶ月 前 by ポルシェ万次郎
阿吽
Reply to  ポルシェ万次郎
1 ヶ月 前

底辺ユーチューバーなら、特に問題にされないでしょうが、見ようと思えば1億人が視聴することもできるテレビで言う発言ではないですよね。

結局、公共、全ての人が公共のものとして使用するテレビの、その電波に出るに相応しい人かと言えば、まったくふさわしくない人ということになってしまうのではないでしょうか。このような配慮のかけらもない無頓着な発言は、自分の家で自分の家族相手にでも言ってろよ、というような案件です。

ていうか、はっきり言えば、張本氏に関して言えば、「てめーに言われるような筋合いの話しではない」というふうに、件の女子ボクサーの人も言いたいでしょうね。

親父の小言というなら、若者だって小言も言いたいですよね。

「うるせー老〇爺」って。

あくまで、小言ですよ。小言。

そして、こんなふうな小言というのは、そもそも、老人の小言であろうが、若者の小言であろうが、本来なら公共の電波に乗せるようなシロモノでは全然ないんです。

つまりは、張本氏に、公共の電波に出演するテレビタレントとしての自覚はあるんですかね?・・という話にもなってしまいます。

公開謝罪は当然ですね。

その程度の、そういう内容の、つまらない発言を、一億人が視聴することのできる、日本国民が共通して使うことのできる公共物であるテレビで言ったのですから・・。

繰り返しになりますが、テレビに出ないで家で家族か画面に向かってぶつぶつ話してれば良いような内容の小言であり、てめーのくだらないしょうもない小言を、万人が利用する公共の電波に乗せるな、という話でもあります。

つまりは、張本氏の今回の小言は、公共性の一切無い話ということになります。

まあ、もう謝罪されたことではあるので、これ以上言うようなことではないのかもしれませんが・・。(謝罪内容も、中途半端かもしれませんが・・)

阿吽
1 ヶ月 前

>DaiGoの発言が社会断絶を象徴するものだとすると、日本社会も行き着くところまで来たのかもしれません。

DaiGoの論点をズラした謝罪が再非難、まだあった生活保護者への“極悪差別発言”
https://news.yahoo.co.jp/articles/19d817e9b7fda34b9447683d6e53d373044806d3

今回の件の本当のやばさは、それこそ、上記url先の記事にも書いてありますように、このDaiGo氏の発言に同意する人が少数とは言え一定数いるということでしょうね・・。

まず、そもそも、DaiGo氏の今回の(再)謝罪動画自体が、「昨日の謝罪を撤回致します」という文面を前面に押し出したサムネイル動画の時点で、つまりは俗に言う一種の釣り動画みたいなサムネイルにあえてしているという時点で、こいつなめてんのか?という感想しか私は持ちえませんでした・・・。

でも、このような人物が(一部界隈とはいえ)異様に持ち上げられる現在・・。

それじたいが、日本社会が病んでいる証左のようにも感じさせますね・・。

Reply to  阿吽
1 ヶ月 前

俗に言う一種の釣り動画みたいなサムネイルにあえてしているという時点で、
>こいつなめてんのか?

確かに(笑)。仰る通りですね。

そして「影響力」という点でいえばひろゆき氏です。民事裁判の仕組みにもおかしいところがあるため、一部に同情すべき点はあるものの、賠償金を支払う資力があるのに支払わないと公言し、実際に差し押さえを逃れている者を地上波で堂々とテレビ出演させるなど、放送局のコンプライアンスはどうなっているのかと言いたくなります。

阿吽
Reply to  ポルシェ万次郎
1 ヶ月 前

そうですね、それこそひろゆき氏などは、その昔の2ちゃんなどでは、おもしろいプラットフォームを提供してくれるけど、弁がたつだけの変わった男、くらいの扱いだったのに(論破王などと現代では言われていますが、当時の古い2チャンでは論破王(笑)くらいの扱いです)・・、

それが今や、ネット界隈では「いちばん信頼している/参考にしているインフルエンサー」で2位になっています・・。(ちなみに1位はヒカキンです。ヒカキンは基本、有名人としてふるまっているので、1位でもそこまで文句はないのですが・・)

(ひろゆきが一部界隈で異常に持ち上げられる昨今の現状は)正直言って、どうなってんだこの国って思います。

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裁判と言えば、ひろゆきがゆたぼん(こちらもなかなかいろいろあるユーチューバーの1人ではありますが・・)に喧嘩を売った時も、最終的にはゆたぼんに、人に学校行けというならその前にお前が裁判所行けよというような感じの返しをされて完全論破(?)されてしまっています。

近年もフランス語の単語の意味や、エネルギーの話題で完膚なきまでに本来は醜態をさらしてしまっているはずなのに、それでも彼にはいまだに一定数の強固な支持者がいて、はなれません。

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この現象は、ある種、なろう小説の主人公みたいに、お手軽なカタルシスをひろゆきに求めている層が一定数いるということでしょうか・・?

権威ある人や、学者、もしくは有名人を、なろう主人公のようなひろゆきが「やれやれ、おれまたなにかやっちゃいました?」みたいな感じで飄々と論破(?)しているように見える(実際は見えているだけというシーンが多いですが・・)のが、それがなにか、普段の生活が精神的にも苦しい人が、憧れを持ってみているというような感じなのでしょうか・・?

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ひろゆき氏には申し訳ないですが・・、「ああいえばこういう」というだけの人物だったはずの人物が、現代においては一種のカリスマのように持ち上げられる昨今というのは、だいぶんやばいんじゃないかとも思ってしまいますね・・。

Last edited 1 ヶ月 前 by 阿吽
ギデオン
1 ヶ月 前

自己責任論を確たるものとしているからこそ、彼は自分とはかけ離れた境遇にいる他人のことを想像だにできないのでしょう。
「自分が成功しているのは自分の手柄」「他人が落ちぶれているのはそいつの落ち度」という世界観を持っているから、自分の近いところにしか目がいかず、たとえば貧困者支援事業も「なんで俺と無関係な奴らを支援しなきゃなんないの?」「そいつら社会の役に立ってないでしょ」といった具合に考えてしまい、今回本音がポロリと出てしまったんですかね。
ちなみに、彼を広告に起用している明治はフードバンクにお菓子を寄贈していたりしているんですけどね。自分と仕事している企業まで自分と同じ考えをしていると思っていたのでしょうか。なお、明治はひっそりと彼の画像が掲載されているページを削除してしまったようです。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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