とある新自由主義者とベーシックインカム

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BIは、とある新自由主義者の方が導入に躍起になっている制度です。

ベーシックインカム導入は「ショックドクトリン」でやるべき=竹中平蔵 週刊エコノミストonline
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無論、彼の目的は、国民にお金を配って喜んでもらおうとかそういう意図ではないでしょう。
ましてや緊縮政策の為とかでもありません。
彼の人物像が、あまりにも悪魔化して定着してしまったために、彼の具体的な目標や意図が隠蔽されてしまっているのです。

彼は新自由主義者ですが、決して緊縮論者というわけではありません。
緊縮財政というのは、彼が目的を達するための手段に過ぎないのです。
彼の意図と目的について、私の類推も交えて、以下に考察してみたいと思います。

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とある新自由主義者が志向する国家観

結論から言えば、彼の志向する社会は“政府に頼らない民間個人(国民自身”による国家運営がなされる社会でしょう。
すなわち、自助を主軸として支える国、新自由主義的な価値を立脚点にする国家が、彼の理想とするところなわけです。

緊縮財政の効果は、有体に言えば政府の仕事(公益目的の事業)を民間に売り飛ばすことですが、表現を変えるなら、政府では無く公益目的の事業を民間に任せるということです。
つまり国民が個人として、政府の庇護を離れ、自分の責任の下生活していく社会が、緊縮財政によって実現するわけです。

それは自己責任、自助努力が最も重視される社会であり、まさに今政府が宣伝しているような社会です。
このような社会を運営していくためには、当然企業、特に大企業の力を強める必要があります。

また、新自由主義者の彼にとって、貨幣観は金本位制であり、国家を運営するための貨幣は、外貨を安定的に稼がなければならないという前提があります。そのためには、国際競争力の高い大企業を育てなければならないわけです。

新自由主義的国家の構築

国際競争力の高い大企業の育成。
そのためにまず彼がやったことは、政治家時代、小泉政権下で行った構造改革・規制緩和・緊縮財政政策です。
規制緩和で政府の権力を弱めて企業の権限を強化し、構造改革で企業の要求がスムーズに通るようにして、さらに緊縮財政で政府の仕事を減らしました。

これによって、規制に守られ政府の仕事で生活していた中小零細企業を淘汰し、大企業・大資本がより稼ぎやすい環境を作り上げることに成功したわけです。

そして、次に彼が手を付けたのが、労働環境の“整備”です。

新自由主義的労働環境と労働者の“自由”

自ら人材派遣会社の特別顧問から取締役会長に就任し、政府や自治体の仕事を民間に委託するという状況を作り上げつつ、非正規雇用という雇用形態の普及に尽力、企業の人件費コストの削減に一役買いました。 人件費コストの削減は、価格面での国際競争力強化に繋がります。

新自由主義的失業対策、人材派遣業

人材派遣業は、いわば彼流の“失業対策”です。 低賃金ではあるが登録していれば労働需要のある企業に派遣され、仕事と賃金を得ることが出来る。しかも正社員と比べ時間などの条件も労働者側から選びやすい、というわけです(無論、世の中はそんなに甘くはないでしょうが…)。
MMTerは怒るかもしれませんが、いわば彼流のJGPと言えます。

新自由主義者の彼にとってみれば、企業の労働コストを抑え、さらに労働者にとって時間や職場といった側面の選択肢が多く用意された環境を(賃金と引き換えに)提供できる、まさにwin-winな方式だということになるのでしょう。

例え非正規労働者が、如何に将来不安を抱えていたとしても、自由な労働環境というベネフィットの方が勝る、と新自由主義者の彼は考えたことでしょう。
雇用の流動化とは、彼に言わせれば労働者の“就労の自由化”なのです。

「正社員をなくしましょう」竹中氏が発言 暴論なのか、正論なのか、波紋広げる J-CASTニュース

労働環境に不満があれば、すぐに職場を移動できる。
雇用の流動化によって、労働者の“職場を選ぶ自由(権利)”が補強されるという理屈です。
当然、雇用の流動化は、賃上げ圧力の減衰を招きます。
そして、それは低賃金労働者において顕著となるのです。

BIと雇用の流動化、それに伴う大企業の育成

BIは雇用の流動化を加速します。

低賃金労働者は、より高い賃金を求めて他の企業に移動します。
その企業に居座り賃上げを要求するより、労働者側の労力もコストも少なくて済むからです。
企業側も、賃金を上げろと騒がれるより、辞めてくれた方が文句を言わない新しい労働者を雇うことが出来ます。
この傾向は、低賃金の単純労働者ほど強まることでしょう。

そして大企業であればあるほど、賃上げする必要性が少なくなります。
大企業にとって新規雇用など造作もないことですし、逆に中小企業は賃上げせざるを得ない状況に追込まれるかもしれません。
そうなると、ここでも中小零細企業の淘汰圧力が高くなり、大企業の国際競争力は高まっていくわけです。

重要なポイントは、“労働者自らが企業からの自由を求めて”、雇用の流動性を“労働者自らが加速させる”ことにあります。
そして何より、労働者自らが賃上げ圧力を減らすようなインセンティブを働かせることにあるのです。
これで企業は、何もしなくても人件費コストを削減できることになります。

つまり彼にとって、BI導入は社会保障制度が維持されていようがいまいが関係ないのです。

雇用の流動性が高まり、国際競争力が高まる(大企業の人件費コスト抑制)状況を作れるのなら、財政赤字が増えようとも後で取り返せます。
社会保障制度など後でいくらでも削ることが出来るからです。

新自由主義的“愛国者”

さて、ここまでとある新自由主義者の言動から、その目的・意図を類推してきましたが、彼の言動はあくまで“新自由主義的価値観に基づいた国益の追求”という目的に沿ったものであって、むしろ彼なりに国民の利益を追求しようとした結果なのです。

かつて、最近辞任を表明した総理大臣が、「彼は愛国者」と発言しましたが、確かに、大企業の国際競争力を高めることで国益を追求しようとする“グローバリズム・新自由主義的な観点”に基づけば、まさしく彼は“愛国者”なのです。

安倍晋三 「竹中平蔵は愛国者」

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