安倍政権終焉と「反緊縮/経世済民」派の進む道

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反緊縮/経世済民派に期待されて誕生した安倍政権が遂に終わります。

期待と裏腹に終わった8年弱を経て、私たちはどうするのか。改めて考えてみたいと思います。

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希望だった安倍政権

安倍総理、辞任。
8年弱の連続在任日数第1位の記録と共に、安倍政権は終了。

熾烈な総裁選を経て平成24年(2012)12月、安倍政権が誕生した時には大いに期待したものでした。

積極財政への転換・脱デフレ・脱グローバリズム
内需中心の力強い経済成長による国民の所得向上
自虐史観の克服、戦後レジーム脱却、国防力増強
拉致問題解決、国土強靭化、エネルギー・食糧安全保障……

つまりは「日本を取り戻す!」ということでしたが、結果的には
「高度成長~80年代の経済大国日本」も「戦前の強い日本」も戻って来ませんでした。

浸食された日本

多少戻ったのは、日経平均株価(8千円台→2万円台)と円安(70円台→100円台)くらいのものでしょうか。

もっとも、株高は金融緩和や公的年金の運用によるもので、実体経済が成長して企業の業績が良くなってのものではない。
失業率も低下していますが、これは人口構造の影響(団塊世代退職)が大きい。

逆に平均の経済成長率は、あの民主党政権期以下! イメージとは裏腹に、財政出動をケチってきたのですから当然。

実際は平成25年(2013)に決定したプライマリーバランス黒字化を発火点に、緊縮財政・規制緩和・グローバリズムの炎が日本の政治も経済も思想も侵し続けてきました。技術大国としての復活・成長よりも、観光立国に邁進しようとするあたり、まったく情けなさを禁じ得ません。

次は誰でも、変わりなし

そんな安倍政権の後を継ぐのは誰か。
岸田・菅・石破の三氏が次期与党総裁選に出るようですが、結果がどうであろうとも、
私たち国民の行うこと、目指すことに変わりはありません。

経世済民。世をおさめ、民をすくう。
歴代天皇が日夜祈られている「人々の安寧と世の平和、社会の発展」のための政策実現です。

すなわち、消費税廃止、プライマリーバランス黒字化目標破棄、積極財政の実現。
新型コロナによる経済ショックには、政府による企業の粗利補償も有効ですね。

消費税は「消費への罰金」ですから、廃止すれば当然消費が増える。
消費が増えれば、企業の売上が増え、被雇用者の所得も増える。

プライマリーバランス黒字化は政府の黒字化で、同時に国民の赤字化を意味する。
政府と国民が同時に黒字になることは、日本のような巨大な内需国では考えられない。
これを撤廃して政府が赤字/国債発行を積み増さなければ、国民の所得向上は望めない。

国債発行による積極財政がなされれば、国民の所得/収入は増え、生活に余裕ができる。
結婚する、子供を持つことができる人が増える。国民の需要が旺盛になり、企業は儲けるチャンスとばかりに設備投資などを増やし、さらに景気が良くなる好循環。公共投資、教育・研究開発投資が増えれば、より安全で文化的な国へと発展することができます。

経世済民政治、実現の条件

ではどうなれば「消費税廃止、プライマリーバランス黒字化目標破棄、積極財政」=経世済民政治が実現するか。

ア 経世済民政治が当然という空気が日本を覆う

イ 経世済民政治を信念とする政治家が権力を握る

ウ 経世済民政治に加担する方が有利だと、多くの政治家が考える

というような条件が考えられますが、これらは互いに影響を与えあって増進したり減退したりします。
 
8年前の私たちは、第二次安倍政権誕生で「イが成就した!」と期待したわけですが、

実際にはアもウも不十分。グローバル礼賛・日本必衰・財政破綻恐怖の空気が世を覆い、政治家の多くもそちらの空気に乗る方が有利と判断。

そして安倍総理の内心はわかりませんが、少なくともこの空気を覆すほどには、彼の経世済民政治への信念は強くなかったわけです。

安倍政権は国民世論に応え続けた

そして現在はどうか。

藤井聡氏や三橋貴明氏、安藤裕議員はじめ多くの方々の努力のおかげで、また消費税増税&コロナ恐慌の影響もあって、
反緊縮の政治家が存在感を増し、「「緊縮派」と呼ばれたくない」という意識は広まりつつあるようですが……まだまだです。

安倍政権の支持率は最悪期でも30%を超えており、そのグローバル&緊縮志向の政治は依然として好評。

詳しくは以下の記事でバッチリまとめられていると思います。

キラーワードに希望あり

上記記事の殺し文句(キラー・ワード)は
「凋落するという現実を見たくない」が、安倍政権が応え続けた国民世論の正体」です。
この国民の思いに応える努力をしているように、うまくアピールしたから安倍政権は支持され続けた。

しかし、ここにこそ希望を見出したい。

「(日本が)凋落するという現実を見たくない」という人は、
「日本が大丈夫であってほしい、成長してほしい」と望んでいるだろうからです。

その望みを現実化する手立てを、知識をSNSで、またリアルな人間関係において広める。政治家に届ける。緊縮派の政治家には、批判のメッセージを送る。

まあ実に平凡ですが、これまでと同じことを、いろいろ工夫しながら継続するのみです。
吉田松陰は人に考えを広めるにあたって、「諧謔滑稽をもってすること」としていたそうですが、ユーモア・楽しさも大事。(←これが難しいんですけどね……)

安倍政権を見習おう

ただ、鋭い舌鋒は対緊縮派・構造改革派・レントシーカー用にしたいところ。

経世済民政治/反緊縮を志す者同士での批判・論難合戦は、一般の人の目からすると「怖い人たち」「内ゲバ」と悪印象です。

相手の論が「間違っている」と確信したとしても、あからさまな批判は遠慮する方が得策ではないでしょうか。

正しい批判であっても、やり込められれば不快になる。
「仲間」の気持ちを尊重しつつ、それぞれ自論を述べ、読者一般に判断をゆだねる。
そして「経世済民政治/反緊縮」に共感する人を増やすことが最優先です。

「何だ、政府は金を使う余地も、減税する余裕もあるんじゃないか。だったらやれよ!」
と声を上げる人が増えれば勝ち。

安倍政権の高支持率の一因として、
「上品で穏やかそうな安倍さんの下、閣僚が一致協力して色々とがんばっている」
という好印象を大衆に与えたことがあります。

この点については参考にしてよいはず。

経世済民/反緊縮の皆様の日々のがんばりには、本当に頭が下がります。
それがうまく結びついて、国民を動かす大きな力となることを願っています。

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3 years ago

>経世済民政治/反緊縮を志す者同士での批判・論難合戦は、
>一般の人の目からすると「怖い人たち」「内ゲバ」と悪印象です

激しく同意いたします。これは長いものに巻かれろとか、馴れ合いを許容するものでは決してなく、真実の追究や議論の勝ち負けとは別な次元で、言論戦を戦っているという自覚がなければなりません。

「俺が思う正しい主張」ってやつも、協力して言論戦に勝利し、広く一般国民に周知されて初めて、政策として採用される可能性が出てくるわけです。自分とは違う部分があるからといって、大局を見失って味方を攻撃している場合ではありません。

Admin
3 years ago

>相手の論が「間違っている」と確信したとしても、あからさまな批判は遠慮する方が得策ではないでしょうか。

大・賛・成!! です。ホンマこれ。

なお当方の記事のキラーワードが、希望になってくれるならええなぁ……と思います。

3 years ago

[…] 大方の予想通り、安倍政権後は菅政権となりました。圧勝に終わった総裁選において菅義偉氏の掲げたキャッチ・フレーズと言えば、「自助・共助・公助」。困った時には、自分で何とかする。それで解決できなければ、近しい人たちに相談する。それでもダメな時に、政府や役所に頼む。これは一応、正しい。ただし、一市民・個人の生き方としてだけみれば、です。我が国の一国民としては、「公助」拡大を政府に要求することこそ、真の「自助・共助」となります。 […]

3 years ago

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