コロナは脅威なのか脅威ではないのか?数字と事実から比較

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 日本で再び、コロナが拡大しています。コロナへの政策でも、賛否が分かれています。それどころかコロナの脅威性すら、現時点では不明です。

 専門家の間でもコロナの脅威性について、見解は真っ二つに分かれています。「脅威だ!」「脅威ではない!」と。

 専門家の間でも見解が分かれるようなことを、筆者ごときが結論づけられるはずもありません。しかし現時点で判明している事実とその見解を比較し、参照することは、思考の一助となるでしょう。

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現在確定しているコロナの数字や事実

 7月20日時点の発表では、全世界の感染者数累計が約1440万人、死者数が約60万人です。致死率は世界平均で約4.1%です。日本の致死率は4.3%なので、世界平均とほぼ一致しています。
参照 チャートで見る世界の感染状況 新型コロナウイルス:日本経済新聞など

 欧米において感染者数は増加しているものの、死者数は減少しています。この事実だけを見て「コロナは終息傾向」と主張する向きもありますが、南半球では死者数が減少していません。
 よって季節性によって、死者数が増減する可能性もあります。終息傾向とは断言できないでしょう。

 欧米と比較してアジアは、100万人あたりの死者数が2桁少ないです。フランスやイタリアなどは100万人あたり、300~400人ほどの死者が出ています。
 一方で日本、インド、中国などは100万人あたり3~7人です。
参照 人口あたりの新型コロナウイルス死者数の推移【国別】

 加えてコロナは無症状者も多く、じつは「本当の致死率は不明」が正解です。一説には「無症状者は感染者の4割以上存在する」とも言われます。

 なお日本において、コロナの抗体保有者は約0.1%にとどまっています。にもかかわらず感染が大して広がらないこと、死者数が少ないことの理由は不明です。
参照 新型コロナの抗体保有率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%にとどまり、感染拡大防止と医療体制充実が依然重要―厚労省 | GemMed

 ノーベル賞学者の警告 東京五輪までに「ワクチン」はできない|本庶佑によれば、ワクチンの開発は極めて困難との見方もあります。コロナウィルスはDNA構造ではなく、らせんが一重のRNA構造だからです。RNA構造のウィルスのワクチン開発が難しい理由は、変質が非常に起きやすいからです。
 例えばエイズウィルスも同じくRNA構造です。ビル・ゲイツが何百億円も投資しましたが、未だにエイズのワクチンは開発できていません。

 上述した事実関係を頭に置きつつ、諸説を見ていきましょう。

コロナの脅威は地域、季節によって変わるのか

 コロナの死者数は欧米でも、減少し続けています。一方で南半球では、減少は見られません。北半球と南半球で死者数の傾向が異なることから、コロナは季節性によって脅威性が変化する可能性があります。

 加えてアジアのみ死者数が少ない現状を、報道ではファクターXなどとしています。つまり「よくわかってない」が現状です。
 アジアでは自然免疫によってコロナが完治しているため、抗体ができないのではないか? だから日本で、抗体保有者が少ないのでは? などの見解も出されています。

 現時点では「インフルエンザの感染モデルとは、どうも異なるようだ」とわかっているくらいです。……まあほとんど何もわかっていない、ということがわかっています

 加えてRNA構造のコロナウィルスは、これから変異する可能性もあります。どの程度の脅威性か? 学者が自身の知見に基づいて仮説を提唱するならともかく、素人が「コロナは脅威!」「いやいや脅威じゃない!」と断定しても無意味です。

 世界中で誰にもわからないことが、どうしてあなたにわかるんですか? という話。

コロナ脅威論

 コロナに対して、脅威論と脅威ではない論の2つがあります。それぞれの概要と問題点を参照しましょう。

 コロナ脅威論の概要は、こうです。

  1. 致死率が4.1%で非常に高いから脅威である
  2. よって感染は極力抑止し、コロナを制圧するべきだ
  3. ないしワクチンや治療薬ができるまで経済停止、ないし抑制を行うべき
  4. 強力な国民への要請、もしくは強制によって経済を停止しその補償を政府がするべき

 簡単に言えば、非常時なのだから政府によって統制経済をするべし! 統制経済によって、コロナを鎮圧するべし! という論が脅威論の帰結です。

 なお「コロナは脅威だが、政府に権限は与えられない!」などという言説は、言行不一致というものです。左派系には、この言行不一致が目立ちます。

 筆者は危機管理の観点、および理論的にコロナ脅威論をある程度は支持します。

 しかし……完全に危機管理および最悪を想定していると思われるコロナ脅威論も、じつは「別の側面から最悪を想定し切れていない」部分があります。

コロナ脅威論の問題点

 コロナ脅威論の要諦は「ワクチンか治療方法が開発されるまで、経済停止ないし抑制で乗り切ろう」です。

 ……本当にワクチンはできるのか? なぜワクチン開発に関して、できると楽観視しているのか? できないかもしれない。実際にノーベル賞学者の本庶佑氏によれば、ワクチン開発には極めて難しい問題が立ちはだかっていると指摘されています。

 では治療法なら確立できるか? できるかもしれません。治療法が確立すれば、致死率も下がるでしょう。しかしそれは最低でも1年後、もしくはそれ以降と見ておくべきでしょう。
 加えてコロナが変異して、治療法が変わる可能性は? 確立した治療法が、通用しなくなる可能性は?

 治療法は通用するとしても、コロナが変異して「抗体保有者にも再感染する」という事態は想定できるでしょう。とすれば再び感染爆発が起きて、治療法が確立されていても医療崩壊を起こす可能性だってあります。

 すなわちコロナ脅威論が想定するように「いつかの時点ですっぱりと、経済活動が再開できる」が訪れない可能性もある。ウィズコロナ、というわけです。

 かなりの長期化を想定すると、経済停止+補償という方針は「供給減少+需要維持」です。したがって過度なインフレに陥る可能性があります。
 加えて外出抑制、娯楽施設などの閉鎖を含めた措置が、国民にどのような影響を与えるのかも考慮したいところです。

 ……少なくとも筆者は、旅行も外食もマンガ喫茶もカラオケも夜の街もない! なんて状態に、1年も耐えられるかわかりません。

コロナ脅威論を貫くなら

 とはいえ、コロナの脅威を最大限に見積もるなら、有り体に言ってコロナ脅威論が現時点ではもっとも無難です。その点は間違いありません。

 コロナ脅威論のスタンスを貫くなら、政府権限の強化に賛成するべきでしょう。なぜなら「自粛」では、自己責任にしかならないからです。「政府が強制し、だからこそ責任を持って補償する」ことが必要です。

 これは「安倍政権だから政府権限の強化に賛成しない。他の政権ならOK」という類いの議論ではありません。

 経済停止+補償は、統制経済に他なりません。日本政府の権限を強化しないと、到底実現は不可能でしょう。

 このあたりの議論は、以下の記事を参照ください。

政府はコロナで責任をとれない?権限・責任縮小を求め続けた日本国民
コロナ禍においてさまざまな日本の姿が、明らかになってきています。中でも日本政府が責任も権限も縮小され続けた、というのはほとんど明確になりました。  「日本政府にはコロナ禍で国民を統制、統率する権限がなく、よって責任が"とれない&q

コロナ脅威ではない論

 「コロナは脅威ではない」とする論があります。総称して「コロナ脅威ではない論」とでも表記します。ウィズコロナなども、広く言えばコロナ脅威ではない論に入るでしょう。

 コロナ脅威ではない論の概要はこうです。

  1. 少なくともアジア人の人口100万人あたりの死者数は異常に少ない
  2. それはインドなど、公衆衛生がよくない国でも一緒
  3. よって日本も死者数が増えないので、経済活動を開始するべき
  4. 加えて失業率上昇による自殺者増加も懸念される
  5. また欧米でも感染者数が増加しても、死者数が減少している
  6. ウィズコロナを考えるべき

 心情的には筆者も、コロナ行為ではない論を信じたいです。加えてたいていの場合、最悪の事態を想定してもそこまで行きません。

 コロナ脅威ではない論は、ある程度のリスクを許容することが本質でしょう。またコロナという天災での死者はしょうがない部分もあるが、失業率の上昇は人災という捉え方をしています。

コロナ脅威ではない論の問題点

 問題点はやはり「現時点でコロナが、日本にとってどの程度の脅威性を持つか不明」という点です。現時点では理論的に「コロナが脅威ではない!」と断定できません。

 加えて変異しやすいRNAウィルスであるコロナは、これからも日本とアジアにやさしい保証もありません。

 しかしウィズコロナが、将来の現実になる可能性は十分にありますであれば早めに受け入れて、さっさと経済活動を再開させようという議論も、一定の正当性は有するかもしれません。

 現在、コロナの第二波が到来しています。7月18日の新規感染者数は659人。第一波の4月の新規感染者数ピークの10日後に、死者数のピークがきました。
 したがって7月28日頃に死者数増加が見られない場合、コロナ脅威ではない論は一定の説得力を持つでしょう。

 現時点では主張するにまだ早い、というのが筆者の見解です。

コロナ脅威ではない論を貫くなら

 コロナの脅威性はまだ不明です。したがってコロナ脅威ではない論の本質、つまりリスクの許容におけるリスクの大きさはまだ不明です。

 コロナ脅威ではない論は、リスクの大きさによってはコロナ脅威論へと転向しなければなりません。コロナ脅威ではない論は「どの程度のリスクなら許容できるのか?」を、ハッキリと示すべきでしょう。

 すなわち「年間のコロナによる死者数○人までなら、経済活動を停止ないし抑制するべきではない」と定義するべきです。
 筆者は失業率1%上昇で増加する自殺者数、すなわち3000人がひとつの基準ではないかと考えます。

 加えてインフルエンザの死者数は、年間で1200~3300人です。

 したがって新型コロナによる死者数も、同程度までなら許容できるはずです。

 コロナ脅威ではない論を主張するなら、どの程度のリスクが許容できる範囲なのかを提示しましょう。

【まとめ】コロナは脅威? 脅威ではない?

 現在はまだ、コロナの渦中です。渦中において「結果が正しくなる判断」は、非常に困難です。というか不確実性が存在する以上、結果が正しくなる、最良の結果になる判断など誰にも不可能です。

 ところが議論では、容易に「こうするべき!」との言説が聞かれます。筆者からすれば驚きを隠せません。「どうしてそんなに、勇猛果敢に判断できるんだ?」と。

べき論とは?対義語は?嫌われるべき論の正体はイデオロギーの一種
リアルでもネットでも、べき論は嫌われると言われます。議論ではべき論を、まるで事実かのように主張する人もいます。  なぜ、べき論は嫌われるのか? べき論の本質とは何か?  べき論の記事をいくつか読みました。どの記事にも、べき論の本質が書かれて

 まず「誰にも正しい判断など、現時点では『不可能』であること」を、知るべきではないでしょうか。

 その上で得た知見を出し合えば、よりよい議論に辿り着くはずです。結論が出るかどうかは、問題ではありません。

 コロナの渦中である現時点で「こうするべき!」と思考を固定することこそ、もっとも危険なことかもしれませんよ

後書き

 コロナ禍で政治経済に多少の知識がある人たちは、次々と自分の主張や言説を発表しています。筆者からすると、驚くべきことです。

 筆者のスタンスは「高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変に対応する」、すなわち「わからんものは、わからん。したがって判断など現時点では無理」というものです。

 政治やイデオロギーの分野なら、べき論もあり得べきです。しかしコロナ禍は、自然科学を含む分野です。したがってまず、事実、すなわち「である論」がある程度確定しないと、べき論が語れません。
 そしてコロナに対して、専門家ですら見解が割れています。

 だからこそ筆者からすると、主張を固定して発信することは「驚くべきこと」なのです。

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阿吽
4 years ago

>筆者は失業率1%上昇で増加する自殺者数、すなわち3000人がひとつの基準ではないかと考えます。
>加えてインフルエンザの死者数は、年間で1200~3300人です。
>インフルエンザ死亡数 | 東邦大学看護学部社会疫学研究室 研究室ブログより
>したがって新型コロナによる死者数も、同程度までなら許容できるはずです。

個人的に、これについては、結果的に疾病対策を可能な限りやったことになった2020年度のインフルエンザ死者数と比べた方が、良いのではでないかとも思います。
(ただし、今年度のインフル死者数って探しても見つからないんですよね・・。まだでていないのか?探し方が悪いのか・・)

はっきり言って、昨年までのインフル対策は、ワクチン接種を除けば今年に比べればほぼほぼ皆無レベルと言っても過言ではないと思います。

対策皆無レベルのインフル死者3000人と、対策可能な限り万全の上でのコロナでの死者数をどのていど比べられるのかは、わからないかとは思います・・、しかしこれも、コロナワクチン、もしくはコロナ特効薬ができたあとなら、さらにまた話は変わってくるとも思います。

個人的には、今年度のインフル死者数と、今年度のコロナ死者数との比較で・・、インフルエンザと比べるというのでありましたら、その上での、コロナの危険度数判断の方がいいのではないかとも思います。

阿吽
4 years ago

コロナは現状では少なくとも正体不明ですからね・・・。

経済の問題を最大限配慮しながら、最大限配慮してコロナに罹らないように、最大限配慮すると言うのが、ある意味では正解に近いのではないかとも思います・・。

正体不明の病原菌を軽視してしまうのは間違いなく間違いですが、かといって、あくまでも正体不明のもので、そのためにどこまでそのために経済を制限するのか・・・、そこの駆け引き、ということなのではないかと、思います・・。

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