「9月入学」など無用! 積極財政こそ、コロナ禍から子供たちと教育現場を救う

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写真:taken by kolisu, (C)ひとりたび向上委員会 Exif_JPEG_PICTURE

消費税増税&武漢発の新型コロナウィルスによる恐慌下、またぞろ「グロい」動きが出て来ました。
一般国民(サムウェア族)の苦境を奇貨として、グローバリスト(エニウェア族)の利益を図る腹グロい動きです。ショック・ドクトリンとも言えますね。

すなわち、「9月入学」です。

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喧伝されるメリット

平成23年(2011)に東京大学が秋入学を検討していたことで有名なように、以前からこの議論はありました。

そのメリットとして喧伝されるのが

1 世界の主な国々(英米仏中露ほか)は9月入学であり、グローバルスタンダード

2 1に合わせることにより、日本の学生が留学しやすくなる

3 日本への留学生が増える

4 海外の研究者も日本の学校へ迎え入れやすくなる

というところでしょう。これに、

5 新型コロナウィルス禍のせいで、学習ができない環境にある子供たちを救済する

というのが加わったわけです。

しかし、1は単にそういう国が多いというだけで、「よそはよそ、うちはうち」
ただ真似すればいいというものではない。自国の事情が大切です。

留学しやすくなる……?

2の「日本の学生が留学しやすくなる」については、

「日本人学生の海外留学者数の推移まとめ!」が参考になります。

こちらによれば、平成21年(2009)~29年(2017)で日本人留学生の総数は2万人強から6万人強へと増えています。一見、留学ニーズはありそうですが、実はそうでもないのです。

期間1年以上の留学生はほとんど増えていません。増加分は1年未満がほぼすべて、それも4分の3は1か月未満の留学というのが実態。

憶測ですが、グローバル志向のせいで「海外経験をしたい!」という子供の要望に親の財布が緩むも、中身は潤沢でないために「ちょっと長い海外旅行またはワーキングホリデー」程度のことしかさせてあげられないのではないでしょうか。

このような短期留学の場合、「9月入学」になったところでメリットは特になさそうです。むしろ現在のように、日本と海外で夏休み期間や試験時期がずれている方が有利だとも考えられます。

1年以上の長期留学者にとっては、「9月入学」は便利かもしれません。
しかしそのような留学は、金銭的によほど恵まれた学生にのみ可能なこと。
その多くがグローバリスト/エニウェア族と思われる富裕層の子弟、ごく一部の者たちにしか恩恵はありません。

日本の子供たちには不利益

3の「日本への留学生が増える」…… 

これについては日本人の子供が減少する中、学生集めに苦慮する大学や日本語学校、安い労働力を求める企業が求めるところでしょう。

しかしこれまた日本の子供たちにとっては有害無益。
留学生向け(グローバル対応)に英語での講義が増えれば、日本人学生にとってはハンデですし、安い時給で働く外国人留学生が多ければバイトの実入りも悪くなります。

迎え入れと引き抜かれ

4の「海外の研究者も日本の学校へ迎え入れやすくなる」 ……

そういうこともあるかもしれませんが、入りやすくなるということは出やすくもなるということ。
日本の優秀な研究者が海外に引き抜かれやすくなります。
資金難の日本の大学より、海外の大学の方が有利な条件を出すことも多いでしょう。

子供たちを救う取り組みは他にある

5「新型コロナウィルス禍のせいで、学習ができない環境にある子供たちを救済する」

一見反対しづらい理屈ではありますが、「9月入学」にせずとも救済方策はいろいろと考えられます。
すでにオンライン授業などの取り組みもありますし、その環境が整えられない家庭については登校による指導を進めればよいのではないでしょうか。
ごく少人数で離れて座り、窓を開放しておくなら、教室での感染は考えにくいはずです。

またそもそも、9月になったからといって新型コロナウィルス禍が収束するかどうかまったく不透明。やはり「9月入学で救済」というのは1~4のためにする議論としか思えません。

財政出動で「9月入学」を消し飛ばせ

「海外の研究者を呼ぶ」にしても「子供たちを救う」にしても、政府が大いに国債を発行して必要な手を打てば、「9月入学」をはるかに凌駕するメリットが得られます。

財政支援により大学の経営環境を改善すれば、海外の優秀な研究者を呼ぶ資金も潤沢に準備できるでしょう。

財政出動によりオンライン環境を早急に整えれば、コロナ緊急事態のせいで学習困難な子供たちばかりか、学校が合わない、登校が辛いという子供たちを救うことにもなります。

なお、大規模に国債発行をしても日本は財政破綻などしません。むしろ国民が豊かになります。詳しくは↓
「財政破綻するー!」を完全論破 政府の赤字は国民の黒字|MMT国際シンポジウム特別講演|三橋貴明

学生たちの声

さて、安倍総理や小池都知事、吉村府知事などの軽薄な政治家は「9月入学」に前向きなようですが、当事者である学生たちはずっと真剣です。

「私は断固として反対派です。
先生たちは私達のために今たくさんの課題を作ってくださったり、オンライン授業などで、現状回復に力を入れてくださっています。それなのに、今9月から新学期にしてしまうと、先生達の努力が無駄になってしまうし、私は今年受験生なので、このような改革を急にされたら動揺します。
もっと若者の意見を尊重し、メリットだけではなくデメリットも考え、今は先の問題を解決しようとするのではなく、今目の前にある問題を解決させてからでないと、先の問題も中途半端になってしまうのではないでしょうか。
しかも、9月にコロナウイルスが完全に収まっているとも思えません。9月に完全に収まり、児童が安全に新学期を迎えられるという徹底的根拠はあるのでしょうか。
私は不安でしかありません。(高校生)」

「色々な意見がありますが、1番危惧しているのは政治家など上の方々が賛成の意見しかないことです。
教育現場にいる反対派の意見もテレビ等のメディアに大きく報道されません。
どうか私(たち)の声を聞いてほしいです。
9月入学にはせずオンライン授業の拡充を実施して子供達の学び場を充実させ、勉学の家庭、学校間の平等を目指していただきたい。(大学生)」

10代の学生から集まる「9月入学」反対の声

このような意見を見ても、今政府がなすべきは現場の先生方の努力を早急に後押しすること、そしてその基盤となる積極財政の実践であることは明らかです。
すなわちプライマリーバランス黒字化目標・緊縮財政の打破でもあります。

高い政治的コスト

また政治的コストを考えても、「9月入学」を実現するには

● 学校教育法の改正(政府・国会)
● 学校の教育計画やスケジュールの抜本的変更(自治体・教育現場)
● 就職・採用の制度や時期の調整(企業・学校)

などなど、社会全体を巻き込んだ膨大な作業が必要です。
しかもこのコロナウィルス禍の中において。
社会的な混乱を倍増させようとしているとしか思えません。

国民民主党の玉木代表が橋下徹氏と共に「9月入学」を推していますが、考えを改めていただきたいですね。積極財政推進に注力してほしいところです。

出会いと別れは桜と共に

日本の卒業式~入学式は桜と共にあるべき。
私はそう強く思います。明治・大正以来、100年以上の伝統です。

出会いと別れを桜が彩り、若葉といっしょに新たな環境に慣れていく。
そのような時間の流れ方を祖父母、両親、子、孫が共有しています。

これは日本人としてのつながり、ナショナリスティックな感覚を補強するものです。
グローバルスタンダードなどのために売り渡してよいものではありません。
日本に生きる日本人として守っていくべきものです。

そのためにも、私たちが政府に要求すべきは
「9月入学検討などに使う時間は無い! 早急に大規模財政出動ですべての国民を救え!」であると思います。 

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