日本の現代貨幣理論(MMT)批判の考察-藁人形論法と印象操作

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 本稿では簡単に、現代貨幣理論(MMT)批判について検討、考察してみます。

 メジャーな現代貨幣理論(MMT)批判は2種類あります。「ハイパーインフレになる」「現代貨幣理論(MMT)は閉鎖経済を前提としている」です。
 ドマイナーで最近出てきた珍説が「現代貨幣理論(MMT)でビジネスをしている! だから怪しい!」というおバカなものです。

 それぞれ解説しつつ、反証していきます。

インフレ→ハイパーインフレになるという現代貨幣理論(MMT)批判

 現代貨幣理論(MMT)を採用すると、ハイパーインフレになる! という言説は最もメジャーです。
 要旨はおおよそ、以下のようなものです。

  1. 現代貨幣理論(MMT)で財政拡大をする
  2. インフレになる
  3. 国民はもっとバラまいてくれ、と要求する
  4. 政治はそれに逆らえず、ハイパーインフレになる

 現代貨幣理論(MMT)批判で「インフレになる!」というと、「いや、デフレ脱却でいいんじゃね?」と身も蓋もない反論を喰らいます。

 したがって現代貨幣理論(MMT)批判側は「ハイパーインフレになる!」と主張せねばなりません。そのロジックが「財政拡大が止まらなくなる!」です。

 現実として日本は、20年以上の緊縮財政を受けれいてきました。インフレなのに財政拡大がやめられなくなる、とは考え難いでしょう。

 この現代貨幣理論(MMT)批判の面白いところは「だからプライマリーバランス(均衡財政)が必要だ」という結論です。
 裏を返せば「国民や国会に、財政主権はない」と主張しているのです。これは財政民主主義 – Wikipediaの否定です。
 明確に憲法83条違反になります。主流派経済学って「非民主的」なのです。

 なお派生形で3.のロジックを抜かし「現代貨幣理論(MMT)は、無限に財政拡大をする理論だ」という藁人形論法もあります。
 現代貨幣理論(MMT)の「インフレかデフレかによって、財政政策や金融政策が変わる」部分の無視です。

現代貨幣理論(MMT)は閉鎖経済を前提にしているという批判

 現代貨幣理論(MMT)批判では「閉鎖経済(簡単にいえば鎖国)を前提にしている」もあります。
 これも完全に間違いで、現代貨幣理論(MMT)では開放経済と変動相場制を前提としてます。

 なぜ上記のような批判が発生するのか? 単純に主流派経済学は、外生的貨幣供給説(商品貨幣論)で考えるからです。

 主流派経済学では、財政拡大で需要拡大→資金が逼迫する→金利が上昇する→通貨高→外需縮小で内需拡大を相殺→だから財政出動は無意味、とします。

 「資金が逼迫する」と考えるのは、「預金(という有限のプール)から貸し出している」とする商品貨幣論(外生的貨幣供給説)だからです。

 しかし現代貨幣理論(MMT)では、「銀行がお金を貸し出すと、その瞬間に預金が生まれる(信用創造)」と説明します。
 したがって「貸出資金が逼迫することなど、ありえない」のです。
 つまり「開放経済で問題のない理論になっている」のです。

現代貨幣理論(MMT)はビジネスだという批判

 最後に珍説の「現代貨幣理論(MMT)はビジネスだ批判」を見てみましょう。要旨は以下です。

  1. 三橋貴明さんや藤井聡さんが、ステファニー・ケルトン教授を招聘するために寄付を集めている
  2. 2100万円も集まった! ビジネスだ! 現代貨幣理論(MMT)はだから信用できない!

 ケルトン教授を招聘するのに、500万円から1000万円ほどかかるそうです。
参照:ケルトン教授日本招聘プロジェクト

 現代貨幣理論(MMT)の第一人者を招聘するために寄付を募ると、「ビジネス」なんだそうです。
 寄付が集まらなかった場合、最悪持ち出しリスクもあるでしょう。三橋貴明さんも、すでに100万円を上記プロジェクトのために、寄付しているようです。

 仮に「現代貨幣理論(MMT)を使ったビジネス」だとしましょう。それが一体、どうしたのでしょう?
 「理論がビジネスに使われていること」と「現代貨幣理論(MMT)の正しさ」は、全く無関係です。
 仮に私が本を書き、電子書籍化したとします。ブログ読者にもすすめるでしょう。これはビジネスですが、悪いことなのでしょうか?

 クラウドファンディングなどで政治活動をすると、「胡散臭い」となるでしょうか?
 相当にバカバカしい批判です。

藁人形論法と印象操作だらけの現代貨幣理論(MMT)批判

 現代貨幣理論(MMT)批判の全ては、はっきりいって「バカバカしい」ものばかりです。メジャーなものはおおよそ、藁人形論法です。
 また財務省資料などの、印象操作(権威頼り)も特徴的です。
参照:https://www.mof.go.jp/about_mof/councils/fiscal_system_council/sub-of_fiscal_system/proceedings/material/zaiseia310417/01.pdf(P57より)

 この手のことは、過去より何度も繰り返されています。
 常識的に考えれば、現代貨幣理論(MMT)批判と現代貨幣理論(MMT)、どちらが正しいのかは自明かと思います。

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そもそも政府がいくら無限に財政出動できるからって、民間の供給側には限界があるわけですよね?
例えば「1年間に財政出動5,000兆円!」とかアホな財政出動しようとしても、民間の供給側に1年間で消化できるのが20兆円程度の供給能力しかなかったら、その年は20兆円までしか財政出動できないわけで、こんなんでどうやってハイパーインフレにしようっていうんでしょうか?
意味が解りません。

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