MMTで日本が経済成長!MMTが与えるインパクトを解説

この記事は約6分で読めます。

 日本の政治状況はわりと絶望的です。特に経済政策では失われた20年を反省せず、総括もせずにただひたすら「改革! 緊縮財政!」の嵐です。

 この嵐、ひどくなることはあっても止むことはない見通し。そんなひどい状況だからこそ、MMTという理論に希望の光を見つけることが必要です。

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MMTで何ができるか

 MMTとはModern Monetary Theoryの略語で、日本語では現代貨幣理論と翻訳されます。

 海外ではL・ランダル・レイやステファニー・ケルトン、ビル・ミッチェルなどがMMTの権威と言われています。

 既存の経済学と異なる点を突き詰めると「貨幣観」となりますが、難しい話は脇に置きましょう。

 MMTは何を主張し、何ができると言っているのか紹介します。

MMTの主張を簡単にまとめる

 MMTが主流派経済学に対して主張するところは1つです。

「自国通貨建て国債なら財政赤字など気にしなくてもいい。インフレ制約だけ気にしておけ」

 じつは「自国通貨建て国債だとデフォルトしない」は、主流派経済学も含めたコンセンサスです。既存の経済学者たちも渋々、認めざるを得ませんでした。

 MMTの主張は他にもあります。しかし基本は上述したことだけです。

MMTだと財政赤字を気にせずに済む

 MMTではどうして財政赤字を気にせずに済むのでしょうか。

  1. 自国通貨建て国債は通貨発行権が担保しているから
  2. 通貨発行権のある政府が自国通貨で借りる=政府が自分で自分に借りているに等しいから
  3. その気になれば通貨発行権で返済できるから

 このような「当たり前のこと」を言うとすぐに、主流派経済学者やエコノミストが「インフレになる! 大変だ!」と騒ぎ始めます。

 日本は長らくデフレで悩んでいます。

 インフレにならないと困るので放っておきましょう。

気にするのは供給力とインフレ制約だけ

 MMTでも国債増発に伴うインフレが起きないとは言っていません

 むしろ国債発行を制約するのがインフレだと言います。

 なぜインフレを気にしないといけないのか。インフレとは需要>供給で供給がやや追いついていない状態です。

 供給が大きく追いつかなくなること=物不足であり経済の混乱を招きます。国債発行はイコールで需要創出、需要増大です。
 したがって供給力がやや追いつかない程度に留めること=インフレ制約というわけ。

 MMTを詳しく知りたいなら、以下の記事がおすすめです。

現代貨幣理論(MMT)とは?日本一わかりやすいMMT入門記事
昨日、現代貨幣理論(MMT)の権威であるステファニー・ケルトン教授が訪日し、MMT国際シンポジウムが開催されました。 2019年7月16日の22時から、テレ朝などでも報道されたようです。 私も日本で数少ない現代貨幣理論(MMT)論者を名乗

MMTがやるだろう経済政策

 MMTは日本経済にとてつもないインパクトを与えるでしょう。そのインパクトを与える政策とは、どのようなものでしょうか。

日本版ニューディール政策

 MMTを知っている政治家が増えたら「日本版ニューディール政策」が実現するかもしれません。

 ニューディール政策の本質とは、インフラや設備の整備です。例えばグリーンニューディールなら再エネ関連の設備を整備する政策です。

 日本版ニューディールではリニアが延伸、西日本に新たな新幹線、防災・減災関連の整備などさまざまなことが行われるでしょう。

 この日本版ニューディールによって労働生産性は飛躍的に向上します。また労働市場が売り手市場化するので、所得もアップするでしょう。

社会保障の拡充や減税

 日本版ニューディール政策と併せて、社会保障の拡充も行われるでしょう

 例えば生活保護の補足率の向上、セーフティーネットの拡充などです。インフレ制約が許せば医療保険の負担低減や、削減した年金を元に戻すこともあり得るでしょう。

 個人的には、消費罰金である消費税の廃止をしてほしいと思います。

JGP(Job Guarantee Program)

 MMTが主張するJGPとはJob Guarantee Programの略語で、日本語では「最低雇用保障」ないし「雇用保障プログラム」とでも翻訳するべきでしょう。

 ベーシックインカムが「最低所得保障」なのに対して、JGPでは雇用を保障します。所得保障の部分は生活保護に一任するのです。

 詳しくは以下の記事をどうぞ。

雇用保障プログラム-Job Guarantee Program(JGP)-とは?ベーシックインカムと比較してみる
Job Guarantee Program(JGP)って何?  ベーシック・インカムのような労働なき所得再分配の限界 | 進撃の庶民 ~反新自由主義・反グローバリズムにて、やすさんが以下のようにコメントされておられました。 job Guar

MMTが経済に与えるインパクト

 上述した政策が実現されたら、日本経済にどのようなインパクトがあるのでしょうか。非常に強く、そして好ましいインパクトがあります。

完全なデフレ脱却の実現

 まず、完全にデフレ脱却を果たすことができます。失われた20年と言われたデフレを脱却し、経済は成長軌道に乗ることでしょう。

 20年もデフレという異常事態が続いたのは、完全に緊縮財政の責任です。緊縮財政さえ取りやめればすぐにでもデフレ脱却は可能です。

毎年数%以上の経済成長

 日本の経済成長率は現在、せいぜい1%という低成長ぶりです。しかし緊縮財政をやめてMMTを実行すれば、経済成長率は3~5%程度は軽く上回るでしょう。

 3~5%の経済成長率は高度成長期に比肩します。どれくらいの経済成長率なのか、40代以下のデフレ世代には皆目見当が付きませんよね。

 この試算はいい加減なものではありません。年にたった15~20兆円ほどの財政出動をして、公共投資を行えば達成できる経済成長率です。

失業率のさらなる低下と完全雇用

 JGPによって失業率はさらに低下することでしょう。非自発的失業はほとんどゼロに等しくなります。

 なぜならJGPによって雇用が保障されているからです。

MMTの浸透こそ日本を導く

 MMTがもし実行されたらこんなにインパクトがある! と解説してきました。まるで夢物語のように感じた人もいるでしょう

 しかしMMTや財政出動がしっかりと実行されれば、論理的に起こりえることしか書いていません。

 今までの経済政策があまりにひどく、それを普通と思い込まされているのが現状です。

 40代以下のデフレ世代は感覚的に、経済成長した日本を知りません。「景気がいい」がわからないのです。
 筆者の中で一番景気が良かったと感じるのは2000年代中盤です。それ、デフレやん!

 だからこそMMTという理論を介して実現可能なことを理解し、認識しなければなりません。

 MMTの全体像をさっと知りたいなら以下の記事がおすすめ。

MMT(現代貨幣理論)とは何か?わかりやすく全体像を俯瞰し解説する
MMTとはModern Monetary Theoryもだん まねたりー せおりーの略であり、日本語で現代貨幣理論と訳されます。話題になった当初は、現代金融理論とも訳されていました。  ビル・ミッチェル、L・ランダル・レイ、ウォーレン・モズ

まとめ

  1. MMTでは自国通貨建ての財政赤字は気にしないでいい
  2. インフレ制約だけが気にする対象
  3. 日本版ニューディール政策やJGPが実行されると景気が良くなる
  4. 完全なデフレ脱却も可能
  5. MMTを通して「日本はもっと経済成長できる」と理解しよう

 上記5つのポイントが本稿のまとめ。MMTをしっかりと知って、そして拡散してくださいね。

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Muse
3 years ago

>MMTがもし実行されたらこんなにインパクトがある! と解説してきました。まるで夢物語のように感じた人もいるでしょう。

今更ですが、貨幣の本質を(何人も否定しえない)客観的事実に基づいて説明した「MMTという理論それ自体」と、この理論を前提とした(国民経済を豊かにする)正しい経済政策、つまり「MMTポリティクス(インフラ投資、社会保障の拡充、JGP等)」は明確に区別する必要があると思います。

言うまでもなく、いくらMMTが何人も否定しえない貨幣の本質を解明したといっても、世界の国々の中で、現実にMMTポリティクスを大胆に実行できる国は一部に限られています。そのための最も基本的な条件は、国内で継続的に「十分な財やサービスを生産・供給できる能力」です。

逆にもしこの生産・供給能力が毀損ないし著しく低下すれば、「輸出激減と輸入激増による貿易収支の大幅悪化→自国通貨の大幅安→変動為替相場制の維持不能と固定為替相場制への移行→米ドル等の膨大な外貨準備→米ドル等の外貨建て国債による政府支出の拡大」によって現実に政府の債務不履行、財政破綻へと陥るからです。

日本の場合、貿易収支、サービス収支、所得収支を含めた経常収支は20兆円を超える大幅黒字ですが、今後、政権が緊縮財政と規制緩和から大転換して超デフレ状態から脱却しない限り、国内の生産・供給能力は低下し続け、やがてはドル建て国債に頼らざるを得なくなり、正真正銘の財政破綻、国家破産状態に陥ることになるでしょう。あるいは首都直下型地震や南海トラフ大地震等のメガトン級の大災害が発生した場合も。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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