さて、経済の話題で時たまとびかう「信用」という言葉、あっちでも「信用」といい、こっちでも「信用」って言ってる。
お前を信用するぞ!、といったとして何を信じたのか。
いったいこの飛び交っている「信用」ってなんなのでしょう。
『飲み屋のツケ』
その為に身近な「ツケ」を取り上げたいと思います。
例として飲み屋でツケで飲み食いしたとします。
ツケにもいろいろあると思いますが最もシンプルなツケつまり口約束とします。
飲み屋の店長がそのツケを受け取ってくれたなら、お金を払わずただの口約束で飲み食いができてしまいます。
なぜツケで、飲み食いという物サービスを買う事ができるのでしょう?
客にその時、硬貨や紙幣といったいわゆるお金がなくても買う事が出来てしまう。
『お店が信じたモノは?』
それはお店側がそのお客さんを信じたからですね。
では何を信じたのか? それは後日きちんとお金を返してくれるお客だということです。
ではお客さんからみて「お金を返す」為に何が必要でしょうか? 当然お金が必要です。
ではお金を得る為に必要なことは? 所得給料がいりますよね。
では給料を得るには物を売る事です。
物を売るためには? 働いて物を作らないといけない。
貯金から払うといってもその貯金をためるために働いて所得を得たということ。
当たり前と言えば当たり前ですが改めて考えてみると、お店がお客さんを信じるとは後日お金を返してくれることを信じたということですが、さらに見るとお金の返済を通してお客さんがちゃんと物を作る事、つまり物作りの力を信じたといえるのではないかと。
そしてツケなのですから、当然返す約束を負ったということ。
まとめると、お金を返す約束とは働いて物を作り所得を得てそこからきちんと返すという事。
逆に言えば、物を作る約束を負うからこそツケはお金として使えるという事に。
信じてもらうには馴染みの客として通いつづけてお金を払ってきたという「慣習」からの信用も大事でしょう。
相手に物作りの力が全くない、もしくは借りたものは絶対に返さない人物がいたとしたら、その人の作るツケなんて誰も受け取らないでしょうから。
『ツケの二つの特徴』
物を作る義務を負い、所得を得て返す事を約束するから、ツケはお金として使えるようになる。
ツケを受け取る側は、そのお客は馴染の客で毎回きちんと返してくれていて信じることができるからツケを受け取る、つまりツケをお金として信用するということ。
ツケとはお金を返すという金銭面だけでなく、物を作るという物作りの面もあるのかもしれません。
その物作り面から考えると、
「(これから)物を作るぞ」と宣言している様なものではないでしょうか。
両方を合わせると、ツケは「今」お金として使える(物を買って飲み食いできる)、と同時に「将来、物を作る(そして返す)のを約束する」と。
ツケ、つまり負債をお金を返すという金銭面だけでなく、物を作る約束と見たらちょっと違う視点を得られるかもしれません。