「財政破綻の嘘って具体的にはどんなこと?」
「財政破綻しないって本当?」
財政破綻論が嘘だと多くの人に周知されはじめました。
10年前は政治家のほとんどが知らなかった財政破綻論の嘘は、今や自民党総裁選の候補者が知ることになりました。
今回の記事では、財政破綻論の嘘についてわかりやすく解説します。
「今さら聞けない」と思っていた人は必読ですよ。
財政破綻の2つの定義とは
財政破綻の2つの定義について紹介します。
デフォルト
財政破綻の定義の1つめは「デフォルト」です。
デフォルトは日本語で債務不履行と訳されます。
債務不履行(デフォルト)とは、債券の償還や金利の支払いが滞ることです。
デフォルトが起こると国債は信用を失って暴落し、金利が高騰します。
デフォルトが起これば、財政破綻が起きたことと同義です。
ハイパーインフレ
財政破綻の定義の2つめは「ハイパーインフレ」です。
日本国債は自国通貨建て国債なので、デフォルトが起こりようがありません。このことが広く認識されるようになり、次なる財政破綻論としてハイパーインフレが出てきました。
ハイパーインフレが訪れるとされる理屈は以下の通りです。
- 100あるお金のうち、90を国債が借りる
- 民間は残り10しか借りられず、資金需要が満たせないので金利が高騰する
- 金利が高騰すると資金需要が満たせず、さらに金利が高騰するスパイラルに
こうして、ハイパーインフレを招来するとされています。
財政破綻論の嘘① 日本国債がデフォルトする
財政破綻論の嘘としてもっとも代表的なものは「国の借金で財政破綻(デフォルト)する!」です。
日本国債は100%円建てです。
そして、日本政府は通貨発行権を持っています。
つまり、日本政府は自分でお金をすって国債償還や利払いに当てられます。
原理的に自国通貨建て国債でデフォルトするのは不可能です。
「国の借金で財政破綻(デフォルト)する!」は完全な嘘でした。
このことは、財務省や主流派経済学も認めるところです。詳しくは以下の記事をどうぞ。
財政破綻論の嘘② ハイパーインフレが起こる
「国の借金で財政破綻(ハイパーインフレ)する」もほとんど嘘です。
ハイパーインフレが起こる経緯は上述しました。
簡単に言えば「100あるお金のうち、政府が90借りたら民間が10しか借りられなくなる。したがって、金利が高騰してハイパーインフレになる」です。
これをクラウディングアウトと呼びます。
しかし、実際には「政府が90借りると90のお金が生まれ、民間が100借りると合計で190のお金が生まれる」が現実です。
これを信用創造と呼びます。
クラウディングアウトは、信用創造を誤解してできた理論です。つまり、現実には起こりえません。
ハイパーインフレが起こるほどの巨額な財政出動(年間1000兆円とか)をしない限り、ハイパーインフレは起こりません。
財政破綻論の嘘③ 財政破綻すると言われて四半世紀
日本で財政破綻論がメジャーになったのは、1995年の村山内閣における財政危機宣言でした。
この頃の普通国債残高は225兆円でした。
2021年の普通国債残高は990兆円に上ります。
すでに5倍近くに達しているにも関わらず、日本は未だに財政破綻していません。
それどころか、長期金利は0.1%を下回っています。
財政危機宣言から四半世紀が過ぎた現在も、財政危機は引き起こされていません。
その兆候すらありません。
財政破綻論は歴史的にも「嘘」と証明されつつあります。
財政破綻論の嘘④ 通貨の信認が毀損される
このまま国債が増加を続けていくと「通貨の信認が毀損される」「通貨の信用が失われる」といった言説があります。
この手の言説では、通貨の信認が何に依拠しているのかを言及しません。
言及できないと書いた方が正しいかもしれません。
主流派経済学の言う「通貨の信認」「通貨の信用」とは「誰かが受け取ってくれる限り、その通貨は私にとっても価値がある」といったものです。
この理屈は無限後退に陥っています。
「なぜ通貨が信用されているのか? 誰かが(信用して)受け取ってくれるから」となり、つまりは「信用しているから、信用されている」という理屈に行き着きます。
理論としての体をなしていません。
通貨の信認は徴税権に依拠しているとする説があります。
これを租税貨幣論と呼びます。
簡単に言えば「通貨の信認=国家権力(徴税権)」とする理論です。
詳しくは以下の記事で説明しています。
「通貨の信認」を説明できない人たちが、いくら「通貨の信認が毀損される!」と言っても、それは根拠薄弱な嘘やデマと断じて間違いありません。
財政破綻論の嘘⑤ 民間貯蓄が国債の上限
「民間貯蓄が国債の上限!」「家計の金融資産分だけ国債を借り入れられる!」といった嘘も多くまかり通っていました。
こういった言説はお金を理解していません。
信用創造をごく単純化すると「銀行でお金を借りたら、その分だけお金が作り出される」という理論です。
国がお金を借りれば、その分だけお金が作り出されます。
お金は「どこかにプールされているもの」ではありません。
そして、「誰かの負債=誰かの資産」という原則は覆せません。
国が負債を抱えれば、民間部門の資産になります。
「家計の金融資産の分だけ国債を借り入れられる」のではなく、「国債(国の負債)を増やすと、家計の金融資産(民間の資産)が増える」といった話なのです。
まとめ 財政破綻論者は嘘ばかり
財政破綻の定義は「デフォルト」「ハイパーインフレ」の2つです。
日本で財政危機宣言がなされたのは1995年。そこからすでに四半世紀が過ぎています。
しかし、未だに日本では財政破綻の「は」の字もありません。
長期金利は0.1%で、上がる気配すらありません。
人間はドラマチックな世界の見方をします。
「今日も平和に何千本という飛行機が空を飛んでいること」より「たった1本の飛行機事故」に注目します。
「財政破綻の心配はない」という平凡な見方より、「財政破綻するかもしれない! 大変だ!」というドラマチックな見方が多くの人に好まれます。
しかし、嘘ばかりの財政破綻論は有害この上ありません。
財政破綻論は嘘だと、多くの人に周知しなければなりません。