2000年代初頭、シャッター商店街が問題化しました。
大店法の廃止によって大規模店舗が地方に進出し、地方経済を支えていた商店街が衰退。
シャッターが下りた通りを指して、シャッター商店街と呼ぶようになりました。
しかし、シャッター商店街は1980年あたりから顕在化し始めた現象です。
今回の記事では、シャッター商店街の現状や原因、活性化のための対策についてわかりやすく解説します。
シャッター商店街とは?
シャッター商店街とは、商店や事務所がシャッターを下ろした姿が目立つ商店街のことで、衰退した商店街や街並みを指します。
商店街を指す場合はシャッター商店街やシャッター通り、街並みを指す場合はシャッター街と言います。
地方では1980年代から顕在化している現象です。
シャッター商店街には、「どれくらいの閉店率だとシャッター商店街と呼べるか」といった明確な定義はありません。
シャッター商店街の現状
シャッター商店街の現状について、いくつかの話題に触れておきます。
日本の商店街数は約1万3000。
商店街のタイプは住民が日常的に利用する近隣型商店街、広い範囲から利用者が集まる地域型商店街が9割を占めます。
商店街の空き店舗率は2000年代初頭に7~8%程度でしたが、2010年代以降は14.6%と2桁台に。
「後継者問題」「集客力がない」「店舗の老朽化」「商圏人口の減少」といった問題を商店街は抱えています。
調査によると、1つの商店街あたりの店舗数は減少し、チェーン店の数は増加。
空き店舗の今後の見通しについて「増加する」と答えた商店街が53.7%でした。
商店街の景況感について「衰退している」と答えた人は67.7%と7割に上りました。
参照 中小企業庁:平成30年度商店街実態調査の結果を公表します
上記のような調査から、ますますシャッター商店街化が進んでいると考えられます。
シャッター商店街になった原因は?
シャッター商店街が増えた原因は1つではありません。
多角的な角度から、原因について探りましょう。
モータリゼーション
シャッター商店街が増えた原因にモータリゼーションが挙げられます。
モータリゼーションとは日本語で「自動車化」「車社会化」を意味する言葉です。
日本では1964年の東京オリンピック直後から、モータリゼーションが急速に進んでいきました。
いわゆる、高度経済成長期の後期がモータリゼーションと重なります。
モータリゼーションが進むと、地方都市では自動車で買い物に行くスタイルが定着。
これによって、駅前商店街が衰退の兆しを見せます。
規制緩和(大店法)
シャッター商店街が急速に増えた原因に、大店法の規制緩和があります。
大店法の正式名称は「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」で、大規模店舗(イオン、ダイエーなど)の出店を規制する法律です。
大店法の成立は1974年です。
しかし、2000年に大店法は廃止され、規制緩和されます。
これによって、従来のスーパーマーケットを超える大規模ショッピングモールが次々と現れ、その競争力に押されて商店街は衰退を余儀なくされました。
大店法が廃止された5年後、2005年には大店法の再見直しを行う動きが出るほど、大店法によるシャッター商店街化は急速でした。
ドーナツ化現象
ドーナツ化現象とは、都市化が進行して都市部に居住地を構える人口が少なくなり、都市部周辺の人口が多くなる現象を指します。
ドーナツのように空白地帯ができることから、ドーナツ化現象と呼ばれます。
日本でドーナツ化現象は高度成長期から観察されました。
集客力のある病院、学校、公的機関、企業などの郊外移転が相次ぎ、それらの施設を中心とした商店街が衰退。
いわゆる企業城下町もドーナツ化現象、海外移転などによって姿を消していきます。
その他
シャッター商店街が増加する理由は、そのほかにもあります。
上記は平成30年度商店街実態調査報告書のP6から抜粋したグラフです。
空き店舗が埋まらない理由で、「店舗の老朽化」と並ぶのは「所有者に貸す意思がない」です。
そもそも、シャッターが下りた店舗が賃貸として市場に出回っていません。
店じまいをした理由の74%は、高齢化と後継者不在です。
商店の2階は住まいになっていることも多く、住居として利用している場合も。
それ以外にも、「物置として」「使うかもしれないから」と賃貸にしないケースがかなりあるようです。
なお、後継者不足に対し、特に対策を講じていないという回答が9割でした。
シャッター商店街を再生し、活性化するために必要な対策は?
シャッター商店街を活性化する対策について議論します。
東京一極集中の是正
シャッター商店街の増加は、人口の過疎化と無関係ではありません。
商店が抱える課題で、「商圏人口の減少」と3割が回答しています。
地方商店街の衰退を止めるためには、東京一極集中の是正と地方への人口分散が必須です。
東京一極集中の是正のためには、地方へのインフラ投資、新幹線の開通、行政による企業の誘致といった対策が考えられます。
インフラ投資のために積極財政が必要でしょう。
デフレの解消
多くの商店は後継者不足、高齢化を理由に閉店しますが、中には経営難で閉店する例も少なくありません。
上記の調査でも「商店街に活気がない」は15.4%に上ります。
商店街に活気がないのは「商圏人口の少なさ」「競争力の弱さ」のほかに、国民の所得減少もあるでしょう。
需要が少なければ過剰な競争を強いられ、競争力の弱い店舗はつぶれるしかありません。
デフレは、大店法とともにシャッター商店街急増の大きな原因です。
シャッター商店街を再生するためにも、まずはデフレ解消が必要でしょう。
行政による再開発
シャッター商店街の商店は「かつての店主が店舗2階を住居にしている」「資金的に困っていないことから賃貸物件にしない」といったことが多いです。
空き店舗が埋まらない理由で、「所有者に貸す意思がない」は約4割に上ります。
とすれば、どうしても民間主導ではシャッター商店街の衰退は食い止められません。
そこで、行政主導による再開発が求められます。
日本総研によれば、中心市街地活性化に不足しているものとして財源が挙げられます。
地方自治体は、自治体行政や財源に負担のかからない形でしか中心市街地活性化を行えません。
そこで、政府からの地方交付金の増額が求められます。
財源があれば、行政による再開発もスムーズに進むはずです。
小規模店舗への支援
日本の企業構成を参照すると、99.7%が中小企業です。
うち、86.5%を小規模企業が占めます。
小規模企業は雇用でも25.8%を占めており、日本経済にとって重要な位置づけです。
シャッター商店街の衰退を食い止めるためには、高齢化による後継者不足を解消しなければなりません。
後継者不足がなぜ起きるのか?
商店街が儲からない産業だからです。
したがって、商店街を儲かる産業に転換することが必要。
そのためには、小規模店舗への支援や大店法のような規制緩和が求められます。
まとめ
シャッター商店街は1980年代から顕在化し、大店法が廃止された2000年代初頭から問題として取り上げられました。
シャッター商店街が発生する原因は「モータリゼーション」「大店法廃止などに伴う規制緩和」「ドーナツ化現象」です。
また、地方の衰退や過疎化、東京一極集中が影響しています。
デフレもシャッター商店街化の要因の1つでしょう。
「高齢化・後継者問題」「集客力がない」「店舗の老朽化」といった課題を商店街は抱えています。
商店街の景況感について、約7割の人が衰退していると答えました。
シャッター商店街化を食い止め、商店街を活性化するためには、「東京一極集中の是正」「デフレ解消」「行政による再開発」「小規模店舗への支援」などが必要でしょう。
地方自治体がシャッター商店街対策として、課題に挙げているのが財源です。
国からの地方交付金を増額し、地方への投資を行わなければなりません。
シャッター商店街は日本の地方衰退を映す鏡です。
商店街を将来に残すためにも、食い止めて活性化していかなければなりません。
お邪魔致しますです。
『シャッター商店街は1980年代から顕在化し、大店法が廃止された2000年代初頭から問題として取り上げられました』
じーちゃんの遺品の片付けをしてたとき、大規模店舗法の許可をするか?の議事録が出てきたです。今ほど興味が無かったから、細かくはチェックしないでシュレーダー行きです。
対象の大型店は、大店法廃止の今に比べたら遙かに小さいものでした。
苦戦して、テナント方式に改めたり、コンビニが入ったりしましたが、どれも長続きしませんでした。隣に大型店が建ったからです。
郊外にも大型店が進出して、いくらか有った隣接の強みもドンドン失われて行きました。テナント募集をして空き店舗となってる期間のほーが長いです。
デービッドの中小企業再編の結果を見ているかのよーな感覚です。店員は地元採用だから、アマゾンよりはマシなのかも知れないです。でも、利益は中央に吸い取られて地方には還元されないのではないでしょうか。
シャッター商店街って程ではないですけど、稼働率が七割程度のショッピングセンターが有りました。大店法廃止前に出来ましたから、駐車場を共有して普通の店舗が集まってる形式です。再編され大型店が出来るとのこと。地権者の意向らしいです。
どーなるのかを見守るしかないです。
大型店舗と中小店舗の共存も、商店街にとって大きなテーマの1つですね~。