日本を襲うコストプッシュインフレ!原因や対策をわかりやすく解説

この記事は約6分で読めます。

 コストプッシュインフレが話題になっています。

 日本では企業物価指数が9%を記録し、輸入物価指数は44.3%と驚異的な高騰です。
 しかし、いまのところまだ物価に転嫁されていません。

 今後、コストプッシュインフレの行方はどうなっていくのか? そもそも、コストプッシュインフレとは何か?
 こういった疑問に答え、今回の記事でわかりやすく解説していきます。

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コストプッシュインフレとは?

 コストプッシュインフレについてわかりやすく解説します。
 コストプッシュインフレの反対語はディマンド(デマンド)プルインフレです。

 コスト(原材料費など)プッシュインフレが供給制約によって起こるのに対し、ディマンド(需要)プルインフレは需要の増加によって起こります。

 インフレには「コストプッシュインフレ」「ディマンドプルインフレ」の2種類があると覚えておきましょう。
 なお、コストプッシュインフレは「悪いインフレ」と呼ばれることもあります。

コストプッシュインフレの原因

 コストプッシュインフレの原因は、コストの高騰です。

 たとえば、いま日本を襲っているコストプッシュインフレの主な原因は、石油価格の高騰です。
 そのほかにも、コロナ禍で寸断されたサプライチェーンの問題もあります。

 また、コストプッシュインフレとは言えませんが、コロナ禍で停止した経済が再開し、需要が世界的に増加しつつあることも大きな要因でしょう。

 コストプッシュインフレは、供給の制約によって起こるインフレです。

日本と世界の状況

 アメリカの労働省が発表した統計によれば、2021年10月のCPI(消費者物価指数)は6.2%上昇しました。
 イギリスでも同月4.2%と、過去10年間でもっとも急激な伸びでした。
 ドイツは11月の速報値で5.2%、フランスが同月2.8%となっています。

 日本は11月のCPIが0.5%の上昇と動きが小幅です。
 しかし、企業物価指数は前年比9%と大幅に上昇しています。
 中でも、注目するべきは輸入物価指数で、前年比44.3%の上昇です。

 企業物価指数とは、企業間で取引される商品に焦点を当てた指数です。

 日本では企業がコストを価格に転嫁できず、デフレなのにコストプッシュインフレという不思議な状態になっています。

コストプッシュインフレで生活はどうなる?

 コストプッシュインフレで生活はどうなるのでしょうか?

 コストプッシュインフレは原材料費の高騰が主な原因ですから、企業は利益が圧迫されます。
 利益が圧迫されれば、企業はコストカットに走ります。
 コストカットで人件費が削られ、失業率が上がる可能性も高いでしょう。

 このように、コストプッシュインフレはしばしば不況を伴います。

 原油価格の高騰がこのまま続くようなら、生活に困窮する人が増加する可能性が高いです。

コストプッシュインフレへの対策

 コストプッシュインフレへの対策は3つあります。

  1. 利上げ
  2. 緊縮財政
  3. 投資による供給力拡大

 この中で利上げ、緊縮財政はともに悪手です。
 正解は投資による供給力拡大になります。

 どうしてそうなるのか? わかりやすく解説します。

利上げ

 コストプッシュインフレへの対策の1つは利上げです。

 日銀は長期金利を操作することで、経済に介入できます。
 長期金利を引き上げると、資金需要が減少して需要縮小につながります。

 コストプッシュインフレとは需要>供給で供給過少の状態ですから、需要が同じく過少になれば抑制可能です。

 理論的に需要減は、コストプッシュインフレ抑制につながります。
 しかし、需要減は国民の貧困化と同義です。

 国民を貧困化させてコストプッシュインフレを解消するのは本末転倒。
 利上げはコストプッシュインフレ解消の悪手です。

緊縮財政

 緊縮財政も利上げと同じく、需要を縮小させる効果があります。
 しかし、需要減少=国民生活の貧困化という理由でやはり悪手です。

 有識者やエコノミストの中には、円安を理由に利上げを主張する人たちがいます。
 彼ら曰く「円高になればコストプッシュインフレが相殺できる」だそう。
 しかし、利上げは同時に国内景気を冷やして国民生活を圧迫します。

 コストプッシュインフレが続けば、それを理由に緊縮財政を主張する有識者やエコノミストが必ず出てくるでしょう。

 しかし、上述したとおり「利上げ」「緊縮財政」はコストプッシュインフレ解消の悪手です。

投資による供給力拡大

 需要を縮小させるのがダメなら、供給を拡大するしかありません。

 供給拡大には投資が必要です。
 たとえば、原油価格の高騰が原因であれば、代替エネルギーの開発が必要です。
 代替エネルギーとしては原発や再エネが考えられるでしょう。

 輸入食料の価格が高騰しているなら、国内での食料生産を拡大しなければなりません。

 投資による供給力拡大とは、積極財政と同義です。
 とすると、インフレがさらに昂進するのではないか? との疑問が出てきます。
 しかし、本来はコストプッシュインフレでないときに投資しておくべきだったのです。

 コストプッシュインフレが起きてからはじめるなら、インフレが昂進するリスクは仕方ありません。

コストプッシュインフレとスタグフレーション

 コストプッシュインフレが昂進すると、たいていはスタグフレーションになります。
 スタグフレーションとは、インフレかつ不況の状態です。

 具体的には「失業率の増加」「賃金が上がらない」といった不況と、物価の上昇が同時に引き起こされる現象です。

 スタグフレーションはデフレ以上に庶民を苦しめます。

 コストプッシュインフレはスタグフレーションに発展しやすい現象です。
 コストの高騰によって企業収益が圧迫され、企業は価格転嫁を図ります。この価格転嫁によってインフレーションが進みます。
 一方、収益の圧迫はコストカットに走るインセンティブを企業に与えます。

 よって、人件費の削減によるリストラ、所得減少などが引き起こされるでしょう。
 こうしてコストプッシュインフレはスタグフレーションへつながります。

まとめ 今後の日本の状況はどうなる?

 コストプッシュインフレがどれくらい続くかによって、日本の今後の状況は左右されるでしょう。
 コストプッシュインフレの原因は原油価格の高騰、世界的な経済の再開、サプライチェーンの寸断などでした。

 中でも、原油価格の高騰は大きな原因です。
 現在のところ、原油価格の高騰が収まる見通しは立っていません。
 また、世界経済の再開、サプライチェーンの寸断はコロナ禍の状況次第といった面があります。

 しかし、バイデン大統領は「アメリカのインフレ率はいまがピーク」と強気の姿勢です。

 どちらにせよ、コストプッシュインフレの原因は外的要因にあります。
 嵐が過ぎ去るのを日本は粛々と待つしかありません。

 もちろん、積極財政による投資で供給を拡大しながら――ですが。

 

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当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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