いよいよ、大阪都構想の住民投票が近づいてきました。11月1日に、住民投票が予定されています。
筆者は2015年から5年間にわたり、大阪都構想の記事を書き続けてきました。そんな筆者が大阪都構想2020のデメリットについて、わかりやすく解説します。
大阪市民の皆さん、必見ですよ。
大阪都構想とはそもそも何か
大阪都構想とは、大阪市を解体して4つの特別区に再編する構想です。
二重行政の解消や、行政コストの削減による財政効果があるとされています。あるとされているだけで、じつはありません。
「え? いやいや、財政効果がないとか嘘でしょ?」
本当です。
2015年に野党や専門家が厳正に試算したところ、財政効果は年間わずか1億円でした。よほど甘く見積もっても、150億円です。維新が主張していた4000億円には、遠く及びません。
また近年、嘉悦大学による試算が出ました。10年間で1兆円の財政効果がある、との試算です。この試算は専門家たちから、ボコボコに突っ込まれています。
「ここの計算おかしいやん!」
「なんでこんな前提条件になるん?」
「ここの変数、この入れ方はあかんやろ!」
大阪都構想とは何か? そう聞かれたら筆者は迷いなく「維新の実績作りの政策です」と回答します。
大阪都構想5つのデメリット
財政効果という大きなメリットがない以上、残るのはデメリットだけです。
デメリット①予算と権限の縮小
大阪都構想が実現すると、大阪市は解体されます。
大阪市は政令指定都市と言って、大きな権限を持つ大都市です。大阪都構想で4つの特別区に再編されると、この権限は失われます。
また多くの予算も、大阪府に取り上げられます。
政令指定都市は、日本中の自治体が目指している大都市です。逆に特別区は、半人前の自治体と呼ばれることも。
予算も権限も、そして自治組織としても半人前になるのが大阪都構想です。
デメリット②住民サービスが低下する可能性大
予算と権限が縮小されると、住民サービスが低下する可能性は高いです。予算と権限が縮小するのに、住民サービスが拡大するはずがありません。
維新は「ニアイズベターで住民サービスが良くなる」と嘯きます。いくら近くなっても、権限も予算もないなら意味がないですよね。
デメリット③行政が非効率的になる
大阪都構想は二重行政を解消して、行政を効率化することで財政効果を生み出すと言われていました。
しかし実際は、行政が非効率化します。
今まで大阪市という1つの組織でしていた仕事を、4つに分散したらどうなるか? あなたの会社の経理部を4つに分割して、経理部①、経理部②……としたら、仕事は効率化しますか?
むしろ非効率化しますよね。
誰でもわかる、一般常識です。
大阪都構想は大阪市を廃止して、大阪市の仕事を4つに分けます。つまり、非効率化します。
加えて一部事務組合というものが、行政に絡んできます。
今までは「大阪府・大阪市」の二段だったのが、「大阪府・一部事務組合・特別区」という三段になります。
デメリット④住所が変更される
大阪市が廃止され、解体されるのが大阪都構想2020。大阪市の皆さんは、住所ももちろん変更になります。
余談ですが大阪府大阪市天王寺区四天王寺に住んでいる人は、大阪都構想が実現すると「大阪府天王寺区天王寺四天王寺」という住所になりますよ。圧倒的ではないか! 天王寺は!
新しく住所を覚えなければならないのも、デメリットの1つです。
デメリット⑤大阪市を廃止したら二度と戻れない
大阪市を一旦解体し、廃止すると二度と戻れません。
なぜなら現状では、特別区を市に戻す法律がないからです。加えて一度分割してしまうと、利害関係の対立も生まれます。
「一度やってみて、ダメやったらもどせばええやん」
これは通用しません。一度やってみて、ダメだったとしてもそのままです。
大阪都構想のデメリットについては、以下の記事もどうぞ。
大阪都構想で気をつけたい5つの大嘘
大阪都構想の一番大きなデメリットは、維新の嘘が多いことです。
嘘ばかりつく人が「これ、大阪都構想って言うねん。ほら、ええやろ? やらしてぇな」と言い寄ってきたら、あなたはどうしますか?
嘘①松井一郎市長は否決されたら政治家を辞める
松井一郎市長は報道によれば、大阪都構想2020が否決されたら政治家を辞めるのだそうです。
――それ、2015年にも言うてたやん。ほんで、やめてへん。
本当なら松井市長は、すでに政治家をしていません。一度目の約束を守らなかった人が、二度目の約束を守ると思いますか?
嘘②大阪市は解体しない
維新は大阪都構想を主張するときに、大阪市は解体しないと言っていました。少なくとも2012年には、ポスターにもしています。
ところが実際、大阪都構想は大阪市を解体するものです。維新は濁して「大阪都構想は特別区を設置するだけ」と言い続けていました。
ここ数年間でようやく、維新は大阪都構想で大阪市を廃止すると認めました。
こんな大嘘をつくのが、維新です。
嘘③大阪都構想で大阪都になる
大阪都構想が可決されても、大阪都にはなりません。
なぜなら大阪都構想で特別区を設置しても、法律上は「都と見なす」だけです。見なすだけであり、そうはならないのです。
大阪府が大阪都になるためには、もう一度住民投票が必要です。
嘘④財政効果が10年間で1兆円ある
2015年時点の財政効果は、二重行政の解消で出てくるとされました。しかしその金額は、わずか1億円と試算されました。
そこで維新は、別の財政効果を主張し始めます。嘉悦大学に出させた試算は、人口U字効果から財政効果が出るとするものです。
この理論によれば自治体は、50万人がもっともコスパが良いとされます。50万人以上の自治体は、非効率的になるのだそうです。
世界の大都市を否定する、画期的な理論です! 本当ならば……ですが。
多くの専門家が、この試算に疑義を唱えました。
二重行政の財政効果が否定されて、別の財政効果があると主張し出す。嘘つきの、典型的な行動です。
嘘⑤二重行政が解消される
二重行政解消は、今でも大阪都構想の大きな看板です。財政効果もない二重行政の解消が、どうして看板になるのか筆者には理解できません。
加えて上述したとおり、現在の「大阪府・大阪市」の二段から「大阪府・一部事務組合・特別区」の三段になります。
二重行政を解消して三重行政になるそうです。なかなか独創的かつ、画期的な解決法ですよね。もちろん、筆者から皮肉を込めて。
以下の記事に上述した嘘、他の嘘を画像付きでまとめています。
最大のデメリットは維新が嘘つきなこと
大阪都構想の最大のデメリットは、維新が嘘つきなことです。
嘘がないならば、是々非々の議論もできたでしょう。しかし嘘が混じっているのに、どうして是々非々の議論ができますか。できるわけがありません。
大阪都構想2015で維新は「これがラストチャンスです!」と、閉店商法をしていました。ところが5年後の今年、またもや大阪都構想の住民投票です。
嘘つきがする政策が、良い政策なわけがありません。
今回の住民投票でしっかりと否決して、大阪都構想とさよならしませんか?
まとめ
大阪都構想の住民投票は、あと一ヶ月後です。
「大阪都構想「賛成」48%、「反対」は34%…読売世論調査 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン」によれば、大阪都構想は賛成多数の模様。
5年以上も記事を書き続けてきましたので、あとは良識ある大阪市民の皆さんの判断次第です。
他県の皆さんは「どうせ大阪のことやし、俺ら関係ないし」と思っているなら、大間違いです。以下の記事もどうぞ、参照してください。
>5年以上も記事を書き続けてきましたので、あとは良識ある大阪市民の皆さんの判断次第です。
他県に住む者としても、良識ある?大阪市民の賢明な判断を期待したいところですが、個人的な印象としては全く望み薄ですね。そもそも、大阪市民の中で「大阪都構想=大阪市解体構想」のデメリットに気づいている人間が果たして現実にどれだけいるのか?
関西民放各局がずっと以前から”維新礼賛報道”一辺倒を続けており、大阪市民が”つんぼさじき状態”に置かれている状況下では、(そもそも関心のある人間にしかアクセスされない)ブログやSNS等のネット活動で真実を伝えようとしたところで、徒労に終わることは目に見えています。せめて数年前から、ヤンさんのようなごく一部の良識ある大阪市民が周囲のリアル環境でも繰り返し熱心に伝え、拡散されていれば、事態は好転していたかもしれません。
住民投票まであと一か月。(万が一の奇跡でも起きない限りやってくる)大阪市消滅の日を”哀悼の意”をもって迎えたいと思います。
民主主義で多数が独裁者を望めば、民主主義は死ぬしかありません。
大阪市民の多くが「大阪市を解体したい! 廃止したい!」と思えば、それを止める術は民主主義には備わっていません。
大阪市消滅の追悼式(?)はもうすぐです。さて、どうなるのでしょう。
以前あなたに紹介した、じゅんちゃんなる動画投稿者の方が、大阪都構想がいかにして間違っているのか、新しい動画を作成したので、⓻大阪を想う気持ちがとても強いあなたに拡散してもらいたいと思い、動画を紹介します。
大阪都構想が住民を騙す展開になると言えるその理由〜財政効果以外の観点からも欺瞞がわかる〜哲学入門チャンネル。
https://www.youtube.com/watch?v=BMV9eNeSP6Y&t=41s
先ほどあなたの、ブログにて書き込みをしましたが、貴方の他の人への返信を見ていると、何か音がチィブな感じを強く受けてしまったので、きついことを言ってしまいました。
故郷を想う気持ちがあるのなら、最後まで戦っていきましょう。
>何か音がチィブな感じを強く受けてしまったので
いえ、それは間違ってませんよ?見通しは暗いと思っています。
「見通しが暗いという現実」を提示することは、諦めとは別ですよ。
暗いものは暗いと、まずは認めるスタンスです。
なお私は5年間戦っていますので、もうそろそろ休みたいのですが(笑)
お疲れ様です。
大阪市民の一人として私見を申しますと、大阪市民は大阪市の解体を理解した上で賛成してますよ。大阪市をぶっ潰すがキーワードでしたからね。
ぶっちゃけ単純な損得でなく大阪市解体を望んでるんだと思います。
要は、これは僕はそうだという話なんですが、政令指定都市制度に反対なんですよ。
大阪経済の上澄み液である大阪市は、大阪府に匹敵する強い権限を持っています。
府全体の広域行政を考える上で、これは船頭多くして、となって邪魔なんです。
古くはこういう大都市は新しい都道府県に独立しようとするものもありました。都道府県側としては当然押さえつけて手元に置いておきたい。
これらをどっちつかずで中途半端な折衷案としたのが政令指定都市制度だと認識しています。
でも僕は、そうではなくあくまで府の直轄であるべきだと思っています。権限同士がぶつかる、縄張り争いが起こるのは本意ではないのです。
おそらく多くの賛成派もそう思っているでしょう。
これはもう損得ではないでしょうね。
ずっと府市対立に晒されてきた大阪市民は、損得では納得しないと思います。
二重行政は単なる無駄の象徴ではなく、府市対立の象徴なんですよ。
相当ハチャメチャなご意見に聞こえます。
なぜなら「損だろうが嘘だろうが、政令指定都市などという面倒くさいものは廃止」と聞こえるからです。曲解でしたら謝罪します。
「損だろうが嘘だろうが」だとするなら、どんな論理や正論も耳に届かないことでしょう。なぜなら最初から「損してもいいし、嘘でもいいから」です。
それはもはや理性ではなく、おっしゃるとおり感情です。
とするなら感情で大阪市という自治体を廃しようとしているのです。
――なんて恐ろしいことでしょうか!
まぁ、そう思われるのも無理ありません。実際感情によるところが大きいでしょうからね。
その感情は「面倒」ではなく「いがみ合うのが見るに耐えない」といった感じだとは思いますが。
面倒だったら都構想なんてやりません。
多分ね、大阪市民の都構想への原動力は、かつて橋下市長と松井知事が握手した、
そのシーンが原点だと思いますよ。たったそれだけのことがずっと出来ていなかったわけですから。
それ、橋下市長自身がかつて府知事として体験したことでしょうし。
僕は若輩者(といってももうおっさんですがw)ですのでそこまでではないですが、根は深いと思いますよ。
なので、三橋先生も藤井先生も、ソロバン弾いてるうちは大阪市民に届く言葉ではないと思います。
まぁ、とはいえ全くの感情のみ、ってわけでもないです。利益あってのことでもあります。
ただ、ここでいう利益と言うのは皆さんの考えているものとはちょいと違うと思います。
具体的にソロバン弾いていくら儲かるといった、目先の利益ではないです。
分かりにくい話になりますが、都構想(大阪市解体構想)って統治構造の問題なんですよね。
で、コレコレいくら儲かるだのという利益は本来、その統治構造の元で具体的な政策を実施することで得られる話なんですね。
つまり、都構想そのものは利益の話の前段階になるので、それそのものが利益を生む、それそのものに利益を求めるといった話ではないです。
維新は大阪の与党と言えますので、主張の内容に「都構想そのもの」と「その後の具体的な政策論」を一緒に話してるから分かりにくいですけどね。
例えば都構想実現後に選挙で維新が負けて、道頓堀プール計画wが頓挫することもありえるし、それはあっていいわけです。その後に就任する新しい府知事は自民かもしれない。その場合は都構想による統治構造の変更は、自民から出た府知事に広域行政の連携強化という恩恵を与えるでしょう。
おそらく議論は平行線なので一つだけ。
>三橋先生も藤井先生も、ソロバン弾いてるうちは大阪市民に届く言葉ではないと思います。
大阪都構想住民投票 世論調査データ&解説ポータル|ABCテレビ×JX通信社
https://www.asahi.co.jp/abc-jx-tokoso/
これによれば反対派が追い上げています。現在はほぼ均衡したんだそうです。
届いてますよ。どう考えても。
よって現状とthekさんの仮説は食い違います。とすると仮説ないし、thekさんの現状認識が間違っているのでは。
ああ、大阪市民ではちょいと主語が大きすぎましたね。
どっちかって言うと、10年ほど前の都構想の様々な議論を見てきた人は、って感じですね。
まぁこのあたりの話は少々ややこしいんですが、ちょっと皮肉な話があるんですよね。
大阪の府市対立って、今は一時的にとは言え収まってるんですよね。
府市対立って大阪市の政令指定都市としての権限+潤沢な経済力に加えて、府市が敵対していることが原因ですので、解決方法は大きく分けて三つ考えられます。
・大阪市の権限を大阪府に譲渡して、大阪府の直轄地とする(大阪市解体)
・大阪市を独立して、新たな都道府県を一つ作る(大阪府が大阪市から手を引く)
・大阪府と大阪市を同勢力が牛耳る(一時的な対処療法)
三つ目の方法が既に行われていますので、府市対立は一時的には抑えられています。
で、この状態に満足してこれ以上を特に望まない人と言うのも居るわけで
これが維新が頑張った結果と言うのがある意味皮肉なわけですね。
反対派が以前より増している理由の一つはコレじゃないかと思います。
まぁ10年も政権が続けばしょうがない話かと。
ただ、僕としてはこの対策はあくまで対処療法であって、そもそも権限が競合している現在の統治構造そのものに問題があると思います。大阪府の広域行政はあくまで大阪府が音頭を取って行うべきでしょう。
大阪の南北を縦断する府道を新たに通すとして、わざわざ大阪市だけ避けないといけなくなるのもおかしな話でしょう。
それに新自由主義の維新にいつまでも政権に居座り続けて欲しくもないですし。
維新が政権に居座り続けることで訪れた仮初の和平状態をよしとする人は、維新の熱烈な支持者なんじゃないだろうかと皮肉に思ってしまいます。
大阪市の独立というのも僕は反対です。僕はあくまで大阪市民であると同時に大阪府民なんですから。
ま、そもそも地理的に歪になりすぎますしね。
そして、大阪市を解体するというのは、大都市圏の統治構造として見てみれば結構理に適ってると思うんですよね。
都道府県の要となる中心地を府の直轄地として、それ以外には市を置き治めてもらう。
府全体に関わる広域行政を、その直轄地を基点として計画する。
古くは国家運営でも封建制度などで使われている手法じゃありませんか、コレ?
国の直轄地以外には領主を配置する方式ですし、そもそも現代でも東京がやってますしね。
統治構造として本当に問題だとしたら、まず東京市の復活運動から始めないといけないでしょう。
>どっちかって言うと、10年ほど前の都構想の様々な議論を見てきた人は、って感じですね。
ちょっと意味がわからないです。
府市対立は20年前からの話ですよね。10年前は橋下vs平松時代で、すでに維新の時代です。
※なお私の認識では、橋下府知事が平松市長に喧嘩を売って対立したと記憶しています。
いったいいつ府市対立を経験なされたので?
そもそも府市対立って市民が経験するほどありました? 私は16年間大阪市に住んでいましたけど、府市対立を気にしている市民なんて1人もいませんでしたよ?
私自身も経験していません。
失礼ですけど「府市対立していた」という言説に騙されている、思い込まされているのではありませんかね?