「MMTを語る者達」に疑念を持つ方々への共感

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 零細応援さんが「MMTを語る者」についてこう疑念を語られています。

 では、現在において、私たちがケインズ主義者としての立場を確立したときに、MMT論者と共闘できるかと言うと、それは難しいのではないかと思います。なぜなら、ケインズ主義とMMTとは見過ごしに出来ない重大な問題意識のズレがあるからです。

 それは、MMT論者のほとんどが、

(1)財政支出に関する政策以外は眼中にない

(2)インフレを起こす政策に対して消極的である

であるという二つの特徴を持つからです。

 (1)つまり、MMT論者のほとんどは、緊縮財政を批判しているだけで、それ以外のものは批判していません。MMT論者のほとんどが、政府は無限に貨幣を発行出来るのだから、政府支出においてそれを使えば良いというところで議論が止まっていて、既存の税制および金融制度に関する議論はおざなりにしています。このサボタージュは、ケインズ主義との共闘において容認できないことです。

 具体的に言うとMMTの眼中にないのは、①税制、②社会保障制度、③金融制度、④雇用制度の4つです。これに、⑤自由貿易主義者であることも含めて良いかも知れません。

 しかし、彼らが「雇用・利子および貨幣の一般理論」をどのように読み解いたのか知りませんが、①②③④の変化による消費・貯蓄行動の変化というテーマはケインズ経済学の最も重要な基盤であったはずです。古典派経済学との分岐点もそこにあります。

 MMTが①②③④に対して、どうでも良いことなので放置しろと主張するのであれば、国民を貧困化させる制度が維持されたまま、手当て的な支出に関する裁量だけが政策のテーマとなります。

 つまり、これは、ベーシックインカムの発想と同じもので、社会保障の給付はできるだけ少なくし、自己の救済は基本的に自己責任としながら、また、解雇の自由化や移民受け入れを推進しながら、そして、それは大した問題ではないと言いながら、国民に手当て的な支出を行えば事足りるというものです。

 もちろん、MMTがとりあえず積極財政を行わせるのが目的で、①②③④は次の時に考える別の問題だと言うのなら、ある程度は納得しても良いかも知れません。しかし、MMTはそうではなく、むしろ、それは重要な問題ではないと、①②③④の議論を排除するスタンスを持っているのです。

 つまり、MMTを受け入れてくれるなら、そして、財政政策の自由を少し認めてくれるのなら、その他の政策は手をつけないと、新自由主義者と取引しているようにも見えます。そこが薄気味悪いのです。

「働く人のためのケインズ革命」 おまけ、MMT(新貨幣理論)批判、愚か者の落とし穴

 そして、正党さんが三橋さんの「令和の政策ピポット」(三橋さんはMMTに強く賛意を表されています。)について、こう語っています。

税制を整えることが抜け落ち、リフレ派が失敗したインフレ率2%まで金融緩和と同じ、インフレ率2%まで財政政策ダーに開いた口が塞がらなかった。

「自称バランス感覚を持った男が色んなことを語る」 平成から令和

 お二人が懸念される通り、国民の貧困化が固定される税制を始めとした数々の制度を、そのままにしたまま、ただやみくもに、財政政策を拡大するのみでは、ますます格差は拡大し、富める者は富み栄え、中間層はますます下流層へと転落するでしょう。そのことはアメリカを見ればわかります。GDPは確かに拡大していますが、国内の格差は拡大し、一部の富めるモノがますます富み栄え、多くの者は下流層へと転落しています。

アメリカのGDPの推移 - 世界経済のネタ帳
アメリカのGDPの推移をグラフ及び時系列表にて掲載しています。

アメリカの所得格差と国民意識

 ただ、中野剛志さんはその著書において、機能的財政論の第一原則として、課税と言う手段は、それを用いて、国内経済全体に影響を及ぼせる事、そのためのモノである事を強く主張されていますし、三橋さんも税制や構造改革について多くを語られています。

 MMTとは、国定貨幣論を基礎に、ケインズのマクロ経済学とラーナーの機能的財政論を統合したものであると、中野さんは著書、富国と強兵の中で仰っています。つまりMMTが採用され、それを基に国家が運営されたならば、その後の国家の姿は、その国家を運営する者達がどうのような税制を実施するか。つまり、彼らの価値観が問われるというコトになるでしょう。

 ここで、どうしても我慢できないので、少々苦言を呈したいと思います。

 私が最近の三橋さん、藤井さんを見ていて強く感じるのは、財務省を始めとする緊縮財政派との争いに重心を置きすぎるというコトです。

 TPP11,日欧EPAを始めとする数々の規制改革、我々日本国民の暮らしを守ってきた大切な制度の破壊について、もちろん、そのことを誰よりも言及してきたのは三橋さん、藤井さんですが、ただ、其れでも言いたい。それは、それを行っている者達について、あまりにも甘いんじゃないかと言う事です。

 最近拝見した動画の中で、安倍総理自身は財政についてよく理解しているけれども、周りも全て財務省のプロパガンダにやられていて、一人ではどうしようもない。正しい事をしようとすればスキャンダルがリークされ、それによってマスコミに叩かれ、政権が危険にさらされる。財務省と戦うには多くの国民が事実に気づき、声を上げていかなければならないんだー。などと、言いだす始末。なんですか、それは。

 確かに多くの国民に財務省のプロパガンダに気付いてもらい、国家の衰退を招く緊縮財政を止めなければなりません。

 ですが、政権のスキャンダルってなんですか?

 たとえば森友、加計問題の事ですか?

 テメーらのやりたいことが国家の規制にひっかかるのをイヤがり、民主主義という制度の中では当たり前の、迂遠な方法で進めていくのを我慢できない子供のような奴らが、ドラクエかなんかの呪文のように一足とびに物事を進めることができる「国家戦略特区」などというモノを作って、散々、好き放題やらかし、結果、それがバレそうになると、テメーは知らぬ存ぜぬを突き通し、罪は下っ端に押し付け、最終的には国家の文書の改ざんまでやらかした。これってスキャンダルなんて軽いモノですか?

 実は私は消費税増税は実施されるんじゃないかと思っています。なぜなら、森友、加計問題において、政権側は借りを作り過ぎたからです。その借りを返す力が自分達にある間にきちんと返しておかねば、彼らはこれから夜もおちおち眠れないんじゃないですか。

 かつてTPP問題の時に、多くの方々がその危険性を語っておられた通り、水道法改正、農業法改正、種子法改正、漁業法改正、カジノやら移民、次々と国内法が変えられています。そういった絶望的な状況下にあって、いくら緊縮財政を食い止めたいからと言って、そういった最悪な規制改悪を、数の力で押し切ってきた者達を擁護するような発言には激しい怒りしか感じません。

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団塊年金老人

子供、孫世代が我々が受給しているのと同等の年金を受け取るために我々が出来る事は、現在受給している年金を万が一の為とか、子供たちに少しでも残すとか考えずに全額使い切る事で宜しいのですか?私はMMTを勉強中で圧倒的に支持したいのですが、どなたかご教授ください。

名目的な額であれば、さっさとインフレにして経済成長すれば解決ですが、実質的な額となると、人口が増えない限り難しいと思います。現行の年金制度それ自体は、給付する分を不足に感じるのであれば国債で補填すれば良いでしょうし、そもそも同じ社会保障なので、年金も税金のようなものと考えることができたなら、「払い損」とか「貰い得」みたいな話にはなりません。

中低所得者からはあらゆる社会保障費の徴収は行わず、資産を持たない65歳以上には現在の厚生年金を上回る程度の十分な給付を行うのが本来(年金に相当する給付を行うにあたり、年金制度は必須ではない)ですが、まあ、そうした思想が理解されたとしても、今ある制度を変更することは政治的にも難しそうです。。。

sadatajp

森友、加計問題他、最近大騒ぎになってる政治スキャンダルの大半で非難されるべきは官僚。
なのに、多くが安倍政権批判に使ってる。それに乗せられてる。官僚の落ち度そっちのけで。
その結果、官邸が抑え込まれ、官僚の望むように進んでる。
緊縮財政を望んでるのは、明らかに官僚。財務省。安倍政権ではない。
安倍を叩けば叩くほど、緊縮財政は酷くなる。

sadatajp

日本の政治システムの中で、同じ省庁で長年やってるベテラン官僚集団を政治家がどれだけコントロール出来るか考えてみて下さい。あなたの基準では誰が総理をやっても失格になります。あなたの期待に応えるスーパーマンは実在し得ません。

sadatajp

下衆の勘繰りを“される”のを防ぐのは無理だよ。
バカは何だって一緒くたにする。何やっても疑う奴は疑う。
防ぎようがない。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民