MMT、進撃界隈で大揉めしていることへのど素人的見解

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 そもそもMMT(現代貨幣理論)とはなんでしょうか?

 一見すると難しそうですが、ポイントだけ押さえれば、意外と簡単に分かります。

 ポイントは、こうです。

 日本やアメリカやイギリスのように、自国通貨を発行できる政府(正確には、政府と中央銀行)は、デフォルト(債務不履行)しない。

 自国通貨建ての国債は、デフォルトすることはない(アルゼンチンなど、デフォルトの事例は、外貨建て国債に関するものだけ)。   

 だから、アメリカや日本は、財源の心配をせずに、いくらでも、好きなだけ支出ができる。
 ただし、財政支出を拡大し、需要超過になって、インフレになる。

 と、中野剛志さんは語っています。
 この通りであれば、私にとってみれば、一体、何に揉めてんのか、正直、不思議でした。

 これって、今までこの界隈の人達、みんなが広めようと頑張ってきたもの、そのものじゃないの?

 非常に不思議に思った私は、進撃の庶民で繰り広げられていた議論を拝見しました。すると、どうも「信用貨幣論」なるものが一番の議題のようです。ただ、進撃界隈で議論になっているのは、この「信用貨幣論」の中の「民間銀行が創出する銀行預金が貨幣として使用される」、という考え方、つまり民間銀行による「万年筆マネー」の理屈についてのようです。

 ここで議論となっている「信用創造」とは、通説で言われるところの「信用創造」ではないようです。

 通説で言われるところの「信用創造」とは(信用創造 – Wikipediaから)

 信用創造とは、銀行は受け入れた預金以上に貸付けることができるか否かを問うものであって、それを肯定するもの(マクラウド)、否定するもの(リーフ(Walter Leaf)の論争の後、今日では個々の銀行は預金以上には貸付け得ないが、一国の銀行群全体としては本源的預金に数倍する貸付けを行いうる(C.A.フィリップス)というのが通説となっている。

 預金準備率が10%の時、銀行が融資を行う過程で以下の通り信用創造が行われる。
1.A銀行はW社から預金1,000円を預かる(そのうち900円を貸し出すことができる)。
2.A銀行がX社に900円を貸出、X社が900円をB銀行に預金する(そのうち810円を貸し出すことができる)。
3.B銀行がY社に810円を貸出、Y社が810円をC銀行に預金する(そのうち729円を貸し出すことができる)。
4.C銀行は729円をZ社に貸し出す。

 A銀行は1,000円の預金のうち、100円だけを準備として残り900円を貸し出す。A銀行が貸し出しを行うと貨幣供給量は900円増加する。貸出が実施される前は貨幣供給量はA銀行の預金総量1,000円のみであったが、貸出が実施された後の貨幣供給量はA銀行預金1,000円+B銀行預金900円=合計1,900円に増加している。このとき、W社は1,000円の預金を保有しており、借り入れたX社も900円の現金通貨を保有している。この信用創造はA銀行だけの話ではない。X社がB銀行に900円預金することで、B銀行が10%の90円の準備を保有し残りの810円をY社に貸し出す。さらに、Y社がC銀行に810円預金することで、C銀行が10%の81円の準備を保有し残りの729円をZ社に貸し出す。このように、預金と貸出が繰り返されることで、貨幣供給量が増加していく。

 以下の図は、1,000円の本源的預金が、預金と貸出がされるたびにその何倍もの預金額となり、貨幣供給量が増えていくことを示している。

確かに此の説明では有閑爺さんの仰る「又貸し論」そのものですよね。

 では、議論になっている「信用創造」(万年筆マネー)とはなんでしょうか。中野剛志さんの著書、富国と強兵から引用します。

 イングランド銀行の季刊誌は、「現代経済における貨幣:入門」に続いて、「現代経済における貨幣の創造」という解説を掲載し、その中で、貨幣供給についての通俗的な誤解を二つ指摘している。

 一つは、銀行は、民間主体が貯蓄するために設けた銀行預金を原資として、貸し出しを行っているという見方である。

 しかし、この見方は、銀行が行っている融資活動の実態にあっていない。現実の銀行による貸し出しは、預金を元手に行っているのではない。たとえば、銀行が、借り手のA社の預金口座に1000万円を振り込むのは、手元にある1000万円の現金をA社に渡すのではなく、単にA社の預金口座に1000万円と記帳するだけである。つまり、この銀行は、何もないところから、新たに1000万円という預金通貨をつくりだしているのである。

 銀行は、預金と言う貨幣を元手に貸し出しを行うのではない。その逆に、貸し出しによって預金と言う貨幣が創出されるのである。貨幣が先で信用取引が後なのではなく、信用取引が先で貨幣が後なのである。

 つまり、銀行は元手となる資金の量的な制約を受ける事がない!潜在的には無限に貸し出しを行う事が出来る!!(制約は借り手の返済能力)というわけです。

 この辺の理屈は「国家戦略特区ブログ」のみぬささん、「反自由主義・反グローバリズム コテヤン基地」のヤンさんが解説しておられますので、御一読を。

令和新時代MMT教本 | 「国家戦略特区」blog

信用創造とは?わかりやすく図解で解説 イングランド銀行公式見解も参照 – 高橋聡オフィシャルブログ バッカス-反グローバリズム&LIFE

 私は、どう思うか。

 やはり中野剛志さんの著書「富国と強兵」の中のこの一文を以って答えが出ているのではないかと思っています。

 現代のような複雑かつ大規模な資本主義経済が可能となったのは、その中心に、銀行による信用創造があるからなのである。逆を言えば、もし、預金を元手に融資を行うと言う通俗的な銀行観が正しかったとしたならば、事業は極めて厳しい資金制約をうけることとなり、今日のような成長する資本主義経済というものは、到底成り立ちえなかったであろう。

 蛇足ですが(笑)青木泰樹さんのお言葉を以って、この記事を閉めたいと思います。

(この動画、良かったですよ。MMTなるものの現実的な立ち位置がよく分かります。)

京都大学レジリエンス実践ユニット・MMT勉強会:「 MMT(現代貨幣理論)の論理構造と実践的意義」【講師:青木泰樹】

「万年筆マネーは事実。民間経済において内性的貨幣供給説は事実。これを説明できない主流派経済学はなんなんだ。」

管理人より:
 改行などを整形させていただいております。また動画URLがなかったので、おそらくこれだろうと、追加させていただいております。
※青木泰樹先生がMMTに言及している動画は、ググりましたらこの一本だけでした。

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