安倍元総理暗殺後、旧・統一教会と自民党に批判が集まっています。議論がなされるのはよいのですが、少々的外れな炎上~非難となっている場面も多いようです。政治と宗教団体の関係を整理しつつ、カルト対策について、改めて考えてみます。
安倍元総理暗殺と旧・統一教会
安倍元総理の暗殺後、山上容疑者の供述により、旧・統一教会(現・世界平和統一家庭連合)およびかかわりのあった自民党議員に批判が集まっています。
旧・統一教会が批判される点としては、およそ次のようなものです。
教義
日本を「サタン(悪魔)の国」とし、天皇への冒涜的教説や儀式を含む
資金
信者の財産を把握し、莫大な額の献金をさせる。霊感商法で不当に高額な金銭を取る。
※2009年コンプライアンス宣言以降、霊感商法は減り、献金が主になっていると見られます。
運営
正体を隠し、別の団体としてSDGsなどの美名で人々に近づき、信者を獲得する。信者はマインドコントロールされるため、脱会が難しいと言われる。
政治
安倍元総理をはじめ、自民党などの政治家と関係を持つ。旧・統一教会は信者に選挙応援ボランティアなどをさせたり、信者票の割り振りを行う。政治家は関連団体の会合で挨拶したり、ビデオメッセージを送るなど。
政治と宗教、中間団体
現在、かまびすしく話題になっているのは「政治」の部分です。
現憲法の「政教分離」原則に反するのではないか、特定の宗教団体との癒着ではないか、といった批判です。
もっとも、この点について法制度的な問題はないと思われます。
政教分離と宗教団体の政治運動
「政教分離」原則は、「政治家や政府は宗教団体と関係を持ってはならない」ということではありません。正しくは次のとおり。※政府には地方公共団体も含まれます。
①政府は宗教団体に特権を与えてはダメ
(孔子廟のために公有地を無償提供していたのが違憲との判例あり)
②政府は宗教活動をしてはダメ
(地鎮祭や忠魂碑移転などは「宗教活動」にあたらないとの判例あり)
一方、宗教団体が政治家・政党を応援したり、政治運動を行うことも憲法上認められています。
創価学会と公明党の関係なんか典型例です。
自民党に影響力を持つ宗教団体としては、神道政治連盟が挙げられます。
野党においても、日本キリスト教協議会と連携することがあります。
宗教団体も「中間団体」
宗教団体もまた、いわゆる「中間団体」の一つです。
経団連や農協、日本労働組合総連合会(連合)、日本医師会などと同じく。
このような「中間団体」は、我が国が大衆政治~衆愚政治に陥らぬために必要な組織と言われます。
「バラバラの個人~大衆」は世間の雰囲気やメディア報道に煽られ、右往左往します。
「中間団体」は、そのような人々の「気分」で政治が動かされるのを防ぐものです。
旧・統一教会の問題は「教義」「資金」「運営」
自民党の議員たちが旧・統一教会と関わりを持ったことは、信者獲得の一助として利用されかねないこともあり、軽率だったとも言えます。
しかし、政治的に旧・統一教会を優遇したわけでもなさそうですから、ちょっと非難され過ぎではないでしょうか。
選挙応援などを受けたことで、慰安婦(戦時売春婦)などの歴史問題や竹島不法占拠について、韓国に対し腰が引けたとすれば、その点は大いに批判されるべきですが。
「ズブズブ」度合いで言えば、財界や竹中平蔵氏あたりに比べればずいぶん浅い部類です。
その要望に沿って法人税減税や各種規制緩和を実現させてますので。
旧・統一教会の問題は、やはり「教義」「資金」「運営」にあると考えるべきでしょう。
カルト対策を考える
カルトとは何か
旧・統一教会は「カルト」として批判されています。
「カルト」の定義は以下の2つを満たすものと言えましょう。
- 特定の宗教や教祖を熱狂的に信じる集団
- 構成員に対して強い影響力を確立し、それを利用して人権侵害に及ぶ団体
「偽装勧誘や強制による勧誘」「構成員に対する経済的な収奪」「組織的な詐欺商法」が取り沙汰される旧・統一教会は、確かに「カルト」にあたるでしょう。
教義・資金・運営を変えられるか
正直、旧・統一教会の最大の問題は天皇への不敬を含む教義にあると思います。言及するのも腹立たしい教義です。
しかし、我が国が「思想・信条・信仰の自由」を保障する以上、この点について転換させるのは困難でしょう。世論の厳しい批判で、自主転換するのを期待するしかありません。
一方、資金や運営における「カルト的体質」は政治により転換を余儀なくさせることが可能と考えられます。
安倍元総理暗殺も含め、現実に多くの人権侵害・社会問題を引き起こしていますから、自民党をはじめとする国会議員には早急に対応していただきたいところです。
では、具体的にどのような対応が考えられるでしょうか。
宗教法人認可の取り消し
まず挙げられるのは、税制上の優遇を受けられる宗教法人認可の取り消し要件の追加です。
「偽装勧誘や強制による勧誘」「脱退・棄教の自由の侵害」「構成員に対する経済的収奪」といった行為を認可取り消し要件として加えるのです。
非課税の優遇対象から外されてはたまりませんから、悪辣な「カルト的体質」を抑制する動機となります。
もっとも、何が偽装や強制、自由侵害にあたるか、どこからが収奪に該当するか、定義や線引きはなかなか困難。
敵もさるもの、うまく要件を回避して信者獲得・資金収集に勤しむとも考えられます。
かつてのコンプライアンス宣言や消費者契約法の改正で、霊感商法から献金収奪の巧妙化へシフトしたとも言われています。
認可取り消し要件追加はやるべきですが、それだけでは十分と言えないでしょう。
学校教育におけるカルト対策
併せて行ってほしいのが、学校教育における「カルトへの注意喚起」です。
ドイツでは宗教教育の時間に、カルトの信者獲得の手口などについて学び、警戒心を涵養しているとのこと。
参考:カルトの危険性を学校が指導、「宗教の自由」と見なさないドイツ 旧統一教会問題
日本の学校教育に「宗教科」はありません。
人権教育として道徳科、あるいは消費者教育として家庭科などでカルト対策を学ぶとよいのではないでしょうか。
即効性があるものはありませんが、時間をかけて日本人の「カルト耐性」を養っていくのです。
これは旧・統一教会のみならず、その他のカルト的宗教団体や過激な政治団体(中核派など)の勢力も削ぐことになると考えられます。
>自民党の議員たちが旧・統一教会と関わりを持ったことは、信者獲得の一助として利用されかねないこともあり、軽率だったとも言えます。
>しかし、政治的に旧・統一教会を優遇したわけでもなさそうですから、ちょっと非難され過ぎではないでしょうか。
政治家の名前が、カルト宗教の信者獲得に利用されて、それで結果、本来入信しないですんだかもしれない人達の人生まで壊し、そのために、余計なカルト宗教の被害者・犠牲者を生んだのだとしたら・・、やはり、ここは多少非難されても、政治家としてはしょうがないと思いますね・・。
本来ならば、議員とはそれだけ責任の重い仕事ですし・・。
カルト宗教は、それがカルトならば、司法の判断を受けるべきでしょうね・・。
そしてカルトと関わってしまった政治家の信用信頼が下がるのは、いたしかたないとも思いますし、それが嫌ならば、今後一切カルトとの関りは捨て、なおかつカルトに司法のメスを入れて、有権者の信頼を取り戻すべきでしょうね・・。
それができないなら、その政治家が選挙で落ちるだけかと思いますね・・。
ちな、全然スレに関係ないですが、おもしろい漫画を見つけたのでご紹介をば・・。
『あれよ星屑』
戦中・戦後の男女の関係、部下上司の関係、敵味方の話しがこれ以上ないほど生々しく描写されてる面白い漫画と思います。
今、ニコニコで見れるので宜しければどうぞ。
https://seiga.nicovideo.jp/comic/30485?track=verticalwatch_cminfo3
コメントありがとうございます。(ここのところ体調崩してて返信遅くなりました)
カルトとのかかわりについて、そればかりに政治的関心が集まるのもどうかと思っています。
政争に利用されるのも心配です。
立憲などは国会でこの件の追及に邁進するようですね。まあ、これで立憲の支持率が上がるとも思えませんが。
積極財政や防衛など、早急に議論せねばならぬ問題が山とあります。
国会においては、実のある議論を期待しますが……
>立憲などは国会でこの件の追及に邁進するようですね。まあ、これで立憲の支持率が上がるとも思えませんが。
まあ、おそらくそのとおりで、立憲の支持率アップには寄与しないかとも思います・・。(その代わり、自民党の支持率下落には多少なりと寄与するかもしれませんが)
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>積極財政や防衛など、早急に議論せねばならぬ問題が山とあります。
>国会においては、実のある議論を期待しますが……
皮肉なことに、2度の増税を強行し、日本経済から自力回復の芽を摘んだその張本人が、この令和の日本では最大の積極財政の推進者だったというのが、正直、腹立たしくもありその有様は見れば苦虫を嚙み潰したような気持ちにも幾分かさせられましたが・・・・、それはそれ、これはこれで、そうも言ってられない状況だから、不愉快ながらも自民党の安倍氏を中心とする積極財政派を注視していたわけではありますが・・・・、その肝心の安倍元総理が暗殺されてしまい、正直言って、自民党の積極財政派は壊滅状態みたいなものなのではなかろうかとも思ってしまいます・・・。
自民党最大派閥の安倍派は多頭体制に入り、まさにリアル鎌倉殿の13人状態(?)みたいな感じです・・。
岸田政権の支持率が落ちているこの状況で、高市さんのような自民積極財政派が、自民党タブーの消費税減税までをも含めた積極財政派としての飛躍を遂げてもらえればとも思いますが・・・・・・・・、
はたしてどうなるか、というところではあるかもしれませんね・・。
また、これを機に、国民民主の玉木さんも、どうかどんどん外野から積極財政の機運を日本国民や自民党に与えてもらいたいです。
れいわ新選組にも、左派系野党の側から立民に積極財政の刺激を与えてもらいたいです。
自民党の力が一時弱まれば、この2党の影響力も行使しやすくなったりとかは、あればありがたいですが・・・。
これ以上日本国民に、政治や経済への疲弊による不平不満が貯まれば、参政党やNHK党みたいに変わった政党が伸長しかねませんし・・、(自民党への不満は、立憲民主党などではなく、それ以外の第3極に流れる可能性が大だと思います。そこにはディープステートや陰謀論、民間人への暴露被害を拡散するような党も、世の中の不満票として流れる可能性がわりとあるのではないかとも思います・・)、ここらが、日本の命運のタイムリミットを決するのではないかとも感じますね・・。
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最後に、暑い夏が続きますので、どうぞお体お大事になさってください。m(__)m
このあたりの漫画が、かる~い気持ちでのんびりと良い感じに読める漫画と思います。もしよろしければ気分転換にご一読ください。
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千年狐 ~干宝「捜神記」より~
https://seiga.nicovideo.jp/comic/33974?track=mym_favorite
>自民党の積極財政派は壊滅状態みたいなもの
その点が最も憂慮するところです。岸田氏率いる自民党自体の支持率が下がるのは悪くないのですが。
国民民主には、若者からの支持も高まりつつありますし、期待したいところですが、いかんせん3年は選挙がないのが残念……。
とにもかくにも庶民としては、「財源は税」論の打破~積極財政を広めるという、遠回りの道を積み上げ続けるしかないでしょうね。
千年狐、面白いですね! 続きも楽しみです。次の原稿アップしたら読みたいと思います!