安倍元総理、凶弾に斃れる
奈良市での応援演説中、安倍晋三元総理が銃撃され亡くなられました。
たいへん残念です。ご冥福をお祈りすると共に、ご家族等の深い悲しみを思います。
犯人(41歳・男)はその場で逮捕され、取り調べを受けています。
動機については、以下のような報道です。
- 政治信条によるものではない
- 安倍元総理に不満があった
- ある宗教団体に恨みがあった
- その団体に安倍元総理がつながっていると思った
事件全容の解明はこれからですが、犯人には蛮行の責任をしっかり取ってもらわねばなりません。
警備体制の見直しも必要でしょう。
一方で、日本は和の国、話し合いの国。
暴力・恐怖に屈することなく、議論による政治が続ける責務があります。
各候補の話を聞き、政党の公約を読み、明日の参院選投票に臨みましょう。
その一環として、安倍元総理の業績や政治信条について振り返っておくことも大切だと思います。
安倍政権の業績
安倍晋三氏は第一次、第二次政権通算で8年8カ月間、総理の座にありました。
その信念は「強い日本を取り戻す」。まずは、それに沿うと評価できる主な仕事を挙げてみます。
- 教育基本法改正(愛国心や「公共の精神」を盛り込む)
- 道徳の教科化
- 防衛庁の省昇格
- 国家安全保障会議(NSC)設置
- 安全保障関連法成立
- 戦後70周年談話で、「敗戦国」としての立場をある程度克服
- 日銀の国債大量買入れで、ハイパーインフレなど起きないことを証明
逆に、信念に反する結果になりそうな仕事は……
- 消費税増税(5%⇒8%⇒10%)、法人税減税
- プライマリーバランス黒字化目標の閣議決定~消極財政
- 電力自由化、水道民営化の後押しなど、インフラ脆弱化・切り売り政策
- 種子法廃止、農協改革で食糧安全保障弱体化
- 「国境にこだわる時代は過ぎ去りました」~外国人労働者増
- 「女性が輝く社会」「生涯現役」~低賃金労働力増、設備投資抑制
- 結果的に経済成長抑制、国民の所得も抑制(平成9年を超えられず)
特に消費税増税と消極財政(緊縮財政)の害は絶大です。
我が国の経済規模は中国に抜かれ、その差はどんどん広がっています。
令和4年(2022)ではドル換算で
日本:約50兆ドルに対し、中国:約200兆ドルです。
参考:【2022年】世界GDPランキング 上位4カ国は前年と変わらず
政治家と総理、二人の安倍晋三氏
第二次安倍政権前、政治家としての安倍晋三氏は自らの「信念」に沿った政策を訴えました。
「瑞穂の国の資本主義」というキャッチフレーズもありました。
私たちも以下のようなことを大いに期待したものです。
- 積極財政への転換・脱デフレ・脱グローバリズム
- 内需中心の力強い経済成長による国民の所得向上
- 自虐史観の克服、戦後レジーム脱却、国防力増強
- 拉致問題解決、国土強靭化、エネルギー・食糧安全保障等
ところが総理になると、消費税増税・消極財政をはじめ、真逆の政策ばかり行います。
まったく腹立たしい。裏切りだ、安倍氏はウソをついていた。
正直、そんな気持ちを禁じ得ません。
しかし、総理大臣(自民党総裁)になるということは、立場に縛られることでもあります。
国会議員から、行政府の長に変わります。一政治家のままではいられず、ある意味、別人になるのです。
総理大臣の立場
国会議員、官僚はもちろん、財界や政商・国際金融資本など、様々な者たちの要望を総合・調整し、それを国家意思として打ち出す。自らの「信念」は後回し。とにかく支持率を高めに維持し、与党を選挙で勝たせる。そうして、とにかく政権を維持する。
それが総理大臣・安倍晋三氏でした。
自己責任論や消極財政を好む日本国民の代表になっていたのです。
「信念」に沿って積極財政をやっていたら、政権を維持できない。
そう判断していたのでしょう。
逆に言うと、国民の多くが積極財政を支持し、それを強く求めていたならば、話は違っていたはずです。
政権維持には、積極財政が欠かせない、消費税増税などもってのほか!という状況だったならば。
政治家・安倍晋三氏の遺志を継ぐ
総理辞任後の安倍氏は、積極財政の旗振り役となります。
自民党の財政政策検討本部の最高顧問として、国債発行による大規模財政出動にも言及しました。
また、防衛費増や反撃能力保持、核兵器共有の議論でも党内をリードしていたそうです。
これらは正しく、彼の信念「強い日本を取り戻す」に沿うものでしょう。
「戦後レジームの脱却」「対米自立」への前提にもなると思います。
今後、安倍元総理の「遺志を継ぐ」「弔い合戦」といったことが言われると思いますが、
継ぐべきは、「政治家・安倍晋三氏の遺志」です。
決して、「空虚な器」であった安倍元総理のものではありません。
「遺志を継ぐ」と称して、自民党などがグローバリズム寄り、国民の利益を切り売りするような政策を打ち出すことも考えられます。
そのような時、大いに自民党・政府を批判し、たくらみを潰えさせることが、正しく「遺志を継ぐ」こととなります。これこそが、本当の「弔い合戦」です。
トップ写真「第29回 東京国際映画祭 オープニングセレモニー 安倍晋三 内閣総理大臣」by Dick Thomas Johnson
・おそらく、今回の参議院選挙はこれで自民党の大勝利だと思いますので・・、まじめに憲法改正が視野に入ってくると思いますね・・。
おそらく次の衆院選か、場合によっちゃそれより早く(繰り上げでの選挙かなにか)で、憲法改正の動きが出てくるかと思います。
そして、この流れならおそらく憲法改正できます。
自身の悲願だった憲法改正が、自身の死をトリガーにして行えるというのは、これもまた、なかなかに皮肉な話しなのかもしれませんね・・。
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・・で、ここでもっとも注意しなければならないことが、改正された憲法に、財政規律条項が入れられるか入れられないか?・・だと思います。
・・このへんが、一番の関心事になっていくかもしれませんね・・。
財政規律条項って憲法改正論議でもあまり話題になりませんが、しれっとネジ込まれそうで怖いですね。国民の多数はまだまだ、「財源は税」の認識なので。
そうさせないためにも、選挙後、安倍さんの「弔い合戦」として、自民党の積極財政派の方々に奮起していただきたいところです。
ご指摘のマイナス政策(電力自由化、水道民営化、外国人労働者、派遣拡大など)は、グローバリズムですが、2012年のチャンネル桜新春対談で安倍さんは大阪維新の府市一体化や公務員削減を褒めてをります。驚きました。「戦後体制からの脱却」は戦前の誇りを持つた美しい日本を取り戻す事ではなく、戦後の体制をもう古いから「改革」して新しくする事と理解されてゐるやうでした。
またPB黒字化を国債の買ひ入れによる金融緩和で景気を良くして達成できるとお考へのやうでした。
だから、財政出動に重きを置かず一年で止め、増税しても金融緩和ですぐ景気回復するだらうといふリフレ派の進言を信じてしまつたのだと推理します。実質賃金が下がつても、若い人の失業がなくなつたのだから問題ではないと誤解してをります。
つまり安倍さんは大いなる「勘違ひ」をした善意の人だと思ひました。
折角藤井さんが傍にゐたのだから耳を傾けて反グローバリズムと積極財政を心底理解して本気で実行してゐたら、その為には麻生の首を斬らなければなりませんが、2013年からの10年間で名目GDPは軽く2倍を超えてゐましたね。残念です。これから令和の高橋是清が現れるかどうか、それ次第で日本の運命はガラリと変ぱります。岸田では駄目ですね。
誤解されないやうに追伸します。
チャンネル桜の対談の他に、大阪の松川るいの応援演説も見ました。
本人を持ち上げた後の持論で、核シェアリングにまで踏み込んで勇気を持つて国防を熱く語つておいででした。実に明快でユーモアも交へた演説は説得力があり、我が国になくてはならない真の愛国者だと改めて納得しました。人間として実に魅力的な政治家ですね。
本当に惜しい方をなくしました、国家的損失です。残念です。謹んで御冥福を御祈り申し上げます。
コメントありがとうございます!
安倍晋三氏は本当に人望のある政治家でした。自民党の政治家はもちろん、多くの国民から好かれていましたね。
それだけに、その人気を今後グローバリズム寄り・緊縮寄りの政治屋たちに利用される、端的に言えば岸田政権に支持が集まるのは避けたいところです。
松川るいさんのような政治家が議員になっていくのは、いいですね。国防にも不可欠の積極財政もしっかり訴えて、党内の雰囲気を変えていってほしいと思います。