多くのスキャンダルや不祥事が批判の嵐を巻き起こして、自民党政権を揺るがしてきました。
しかし、政党支持率の推移を見ると、自民党の支持率は依然高いまま。
どうして自民党の支持率が落ちないのかを、今回の記事では分析しました。
自民党の支持率が落ちない理由は、「キャズム理論」「キャッチアップ戦略」「経路依存性」「日本人の保守性」の4つのポイントから説明できます。
自民党の支持率が落ちない理由をはっきりさせれば、どのように世論を転換していけばよいのかも見えてくるかもしれません。
自民党の支持率の推移
テレビ朝日による自民党の支持率調査によれば、自民党は政権交代のあった2009年~2012年以外において高い支持率を保っています。
以下の支持率はすべて、その年の6月のもの。
- 2008年 37%
- 2013年 46.5%
- 2018年 47.7%
- 2022年(5月)49.3%
参照 政党支持率推移グラフ|世論調査|報道ステーション|テレビ朝日
特に安倍政権以降、自民党の支持率が落ちた時期はほとんどありません。
ほかの世論調査でも、自民党の支持率は3割~4割を超えています。
たとえば、日テレの世論調査によれば、2022年5月の自民党の政党支持率は42%でした。
どうして自民党の支持率は落ちないどころか、高いままなのでしょうか?
今回の記事では、自民党の支持率について焦点を当てます。
若者から支持を得る自民党
報道によれば、自民党を支持しているそうには若者が多いのだそう。
参照 なぜ若者は自民党に投票するのか?~2021衆院選~ | NHK政治マガジン
たとえば、自民党の政権である岸田内閣を支持するかどうかについて、10代、20代では支持率が70%を超えました。
20代で自民党を支持している人は、2017年で50%、2021年で41%と高齢層に比べて多いようです。
支持する理由について、以下のような理由が挙げられています。
- どこがやっても同じなら、信頼性の高い政党がよい
- ほかの党に比べて信頼性が高い
- 現在の日本で、ものすごく不便だったり困ったりすることがない
- 自民党の功績を評価している
- 政権交代にはリスクがあるから
自民党を支持する理由は、「コストパフォーマンスとタイムパフォーマンスに優れているから」というのが記事の分析です。
自民党の支持率が落ちない4つの理由
自民党の支持率が落ちない理由は、やはりコストパフォーマンス、タイムパフォーマンスに優れているからでしょうか。
そのほかの4つの理由について分析してみましょう。
キャズム理論
キャズム理論とは、イノベーター理論に内包されている理論です。
簡単に言えば、イノベーターばかりの初期市場で小さなシェアを取ることと、マジョリティがいるメイン市場でシェアを取ることの間にはキャズム(谷)があるという理論。
キャズム理論によれば、16%の普及率を超えるとキャズム(谷)を超えて爆発的に普及し始めるそう。
ところが、野党第一党の立憲民主党ですら支持率は6~7%ほど。
これではキャズムをまったく超えていません。
野党は、イノベーターやアーリーアダプターなどのマイノリティ層から支持を得ているだけ。
アーリーマジョリティ以降のマジョリティ層への支持を広げられていません。
野党はアーリーマジョリティ以降の層にターゲットを合わせ、戦略を練り直す必要があります。
一方、自民党はもちろんキャズム(谷)を超えています。
だからこそ、強いのかもしれません。
キャッチアップ戦略と差別化戦略
野党は「これからやる政策」を公約にする必要があり、与党は「これまでにやった政策」を実績とすることができます。
この違いは戦略にまで影響を及ぼします。
野党の「これからやる政策」は、与党の政策とは異なることが求められます。
野党は必然的に、差別化戦略を取らざるを得ません。
一方、与党は「これまでにやった政策」を実績として示せます。
とすれば、キャッチアップ戦略で事足ります。
キャッチアップ戦略とは、野党が掲げた政策の中で受けるもの、よさそうなものをキャッチアップ(まね)するというもの。
自民党が野党の政策をキャッチアップすると、野党の差別化戦略は潰えます。
したがって、野党は常に自民党と反対のこと(反自民)をする必要があります。
したがって、野党はスキャンダルでしか自民党を責められないのかもしれません。
経路依存性
経路依存性とは、制度や仕組みが過去の経緯や決定に縛られること。
たとえば、パソコンのキーボード配列であるQWERTY配列は、それより合理的な配列が出てきたにもかかわらず使われ続けています。
過去に決定した経緯に縛られ、合理的な選択ができない代表例がQWERTY配列です。
経路依存性と似たような現象として、ロックイン効果があります。
たとえば、スマートフォンが型落ちになったとしても、データ移行のコストが大きいために最新のスマートフォンの購入に踏み切れない現象がロックイン効果。
ほかにも、操作が慣れないために同じメーカーを使い続けるのもロックイン効果の一種です。
変えることにはコストが生じます。
そのため、経路依存性やロックイン効果が生まれて、自民党はより強固に支持を集めるようになるのかもしれません。
日本人の保守性
基本的に日本人は保守的です。
完全な民主主義にもかかわらず、政権交代がめったに起きないことは日本人の保守性の表れでしょう。
ただし、中野剛志や佐藤健志が指摘するように、「革新を保守する」ねじれた状態ではありますが――。
若者は自民党を革新政党、共産党を保守政党としてみているという記事もあるほど。
参照 「自民党こそリベラルで革新的」——20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている
日本人の保守性が、自民党の高支持率につながっている可能性があります。
まとめ
自分たちの政治主張が正しいとしても、世論に受け入れられなければ意味がありません。
民主主義は世論を反映した政治が行われるからです。
政党支持率では自民党が安定してトップであり、それ以外の政党は五十歩百歩の状態。
では、なぜ自民党の支持率が高いのかを分析する必要があります。
今回の記事では、自民党の支持率が高い理由を分析してきました。
自民党の支持率が高い理由は、「キャズム理論」「キャッチアップ戦略」「経路依存性」「日本人の保守性」の4点から説明できるでしょう。
分析を踏まえた上で、どのように自分たちの主張を世論に反映していくのかが問われます。
>自民党が野党の政策をキャッチアップすると、野党の差別化戦略は潰えます。
>したがって、野党は常に自民党と反対のこと(反自民)をする必要があります。
>したがって、野党はスキャンダルでしか自民党を責められないのかもしれません。
極端なことを言えば、安倍晋三を中心とする人々の汚職を暴き、全員豚箱に放り込みます。
あとは、自民党と同じ政策をします。
・・・・と、言えば、たぶん野党は選挙に勝てると思います・・。
森友加計問題に対する国民の問題意識は、当時も決して低かったわけではなく、各種世論調査でも問題大有りとする意識が高かったです。
ですので、この問題を解決します。は悪くなかったはずなのです。
あとは、もりかけを解決し、甘い汁吸ってたのを全員豚箱に放り込めば、あとは自民党と同じように政権運営します・・。
で、たぶん勝てると思います。
この、『自民党と同じように政権運営します』は、≪国防≫の部分です。
野党は、下手に自民党との差別化を考えるよりかは、不正解明による豚箱送りに専念して、他はあえて政策的には変えない方が選挙で勝てる気がしますね・・。
個人的に日本人が意識してる地味に最重要課題って、国防なんじゃないかと思ってますので・・。
ならばなぜ、過去2回自民党は政権交代をしたかと言いますと・・、
1993年時は、冷戦も終わって世界平和ムードで、そこまで国防意識しなくてもすんだから、野党側に勝てる要素があったのではないかと思います。
2009年時は、旧民主党に小沢一郎含む保守勢力が多くいたのと、当時はクリミア侵攻前でもあったので世界情勢がそこまで悪くなかったのも一因かと思います。(尖閣諸島中国漁船衝突事件前でもあります)
それに比して今の立憲民主党は、保守系政治家が離れ左傾化が進み、国防費GDP比2%さえ拒否しています。(左派の現ドイツ政権でさえウクライナ戦争で即座にGDP比2%を打ち出したのに、この違いです)
おそらく、国防における最低ラインでのこの国防費2%を打ち出すことのできない現野党に、次の選挙の勝機は無い・・、と言いますか、おそらくですが、このままでは、立憲民主党や社民党のリベラル系野党は、おそらく歴史的大敗北に喫する可能性が高いのではないかと思います・・。(共産党とれいわは、コアなファンが多いので左記の2党よりかはましな結果かもしれません)
立憲民主党は、ドイツを見習わなければ、大負けすると思います。
で、見習いそうもないので、おそらく大負けする可能性が限りなく高いんじゃないかと思います。
国防を軽視する政党には、おそらく選挙における大多数の無党派層は、この混乱の時代に支持を寄せないのではないかと思います。
そして、選挙における多数派である無党派層を取り込めない政党に、勝機はないんじゃないかと思います。
国防が意外に重視されているという観点は新鮮ですね~。
なお、無党派層の取り込みで言えば自民、維新が強いようです。
比例自民、無党派層の支持安定 立憲落ち込み維新は倍増 出口調査 [2021衆院選]:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASPB07DG4PBVUZPS009.html
・リンク先のグラフを見ますと、立憲民主党の無党派支持が、2017年に比べてちょうど、国民民主党分が抜けたぐらいなんですよね、2021が・・。
立憲民主党は共産党との選挙協力よりも、国民民主党との合併を努力すべきでしたね・・。
そうすれば、もう少し政権運営への信頼が、一般国民の分が増えたんじゃないかと思うんですが・・・。
まあ、立憲民主党にそれができないからこその、共産党との選挙協力であり、さらには国民民主党との分裂継続なんでしょうけど・・。
国防に関するスタンスの差が大きくなりすぎちゃいましたからねえ・・。
ドイツの現左派政権並みに、国防政策で国民民主党に寄り添えれば、合併して今一度政界再編も夢ではない・・・・・・、かも・・・・?
日本の選挙システムは、ほぼ比例中心のドイツと違って、第一党が比較的過半数を取りやすいシステムになってますし、第一党狙えないうちは、立憲民主党の国盗りはかなり難しいですかねえ・・・?