新聞などの報道を見ていると、「親ロシア・反ワクチンの人は、政府やマスメディアを信用せず、フェイクにだまされ、自己に酔って陰謀論を撒き散らしている」という印象を受けます。しかし、このような論評は、ロシアの事情を考えること、ワクチン接種に疑問を持つこと自体を忌避させるものになっていないでしょうか。
反ワクチンと親ロシア
反ワクチン団体「神真都Q会」とツイッターの親露アカウント
反ワクチン団体「神真都Q会」がリーダー格の男らが建造物侵入容疑で逮捕されるという事件がありました。
同会は全国各地で新型コロナワクチン反対のデモ活動を行う団体です。
リーダーらは接種会場に押し入るなど、過激な抗議を行っていました。
こういった団体はSNSなどインターネットを通じて支持者を広げ、実社会において活動を過激化させると言われます。
4月21日(木)の産経新聞朝刊には、この状況を批判する記事が掲載されました。
そこでは「神真都Q会」が、アメリカの陰謀論団体とされる「Qアノン」の日本支部を称することから、「反ワクチン」そのものの「怪しさ」が示唆されています。
また、「ウクライナはネオナチ」と言うツイッターの親露アカウント9割が、過去に「反ワクチン」を拡散したという調査結果も同記事にありました。
大学教授、准教授への取材による見解
同記事はさらに次のような見解を記します。
●社会状況や政府に対して不満のある人が陰謀論にハマりやすい
●そのような人は50~60代に多い
●彼らは自己顕示欲からSNSで陰謀論を拡散する
●彼らは事実と意見の区別が付きにくく、自己評価が高い
●彼らはマスメディアにも政府にも不信感を持っている
●彼らはフェイクニュースにだまされやすい
いずれも大学教授、准教授への取材によるもので、正しい見解・情報と受け止める人が多いでしょう。
せんじつめれば、
「親ロシア・反ワクチンの人は、政府やマスメディアを信用せず、フェイクにだまされ、自己に酔って陰謀論を撒き散らしている」
上記の記事を読むと、そんな印象を受けます。
自由に議論させない空気
「陰謀論」「フェイク」のレッテル
この印象、「神真都Q会」リーダーらのように、過激な行動に走る者には当てはまるかもしれません。
しかしロシアの事情・立場を考えること、ワクチン接種に疑問を持つこと自体にも、「陰謀論」「フェイク」のレッテルを貼るものとなっていないでしょうか。
政府発表やマスメディアに疑問を抱くこと、それについて話し合うこと自体を忌避させる効果があるのではないかと思います。
これは自由に議論させない空気を作る、権威主義的なあり方です。
政府批判、社会批判がやりづらくなっては、国家が良い方に向かうはずがありません。
政府やマスメディアの誤謬
政府やマスメディアの誤謬はしょっちゅうです。
厚生省「非加熱血液製剤は安全です」
財務省「国の借金でたいへんだ」
朝日新聞「強制連行で従軍慰安婦」
などなど、無数にあります。
もちろん、ネット上のウソ、間違いに比べれば少ないでしょうが、その影響力は大きい。
また、新聞などマスメディアは「真実を伝える」「偏らずに報道する」イメージがある一方で、党派性があります。親米保守寄りの読売・産経、グローバル企業・投資家寄りの日経、親中韓リベラルの朝日・毎日など。
読者に合わせた論調になるでしょうし、広告主企業の意向に反することは報道しにくいでしょう。
(税務調査権を持つ国税庁~財務省の意向に反することも)
国民としては、読んで比べて自ら考えることが大切です。
ネットの普及で、これが手軽に行えるようになったのはたいへん良いことだと思います。
陰謀論・フェイクと過激化
フィルターバブル/エコーチェンバー
一方で指摘されるのが、フィルターバブル/エコーチェンバーの問題です。
ネット・SNSの普及で、自分好みの情報ばかりに触れるようになり、陰謀論・フェイクを信じて過激化する、というもの。
これについては異論もあります。過激化するのはごく一部、元から過激な思想傾向のある人のみ。多くの人は反対側の意見もよく読んでいます。結果的に、大抵の人は過激化するどころか穏健化するのです。
参考:「インターネットは社会を分断しない」。10万人調査で見えた実態
そもそも、偏った思想で過激化し、事件を起こす者が出るのは今に始まったことではありません。
二・二六事件、あさま山荘事件、日本赤軍事件など、ネットもSNSもない時代から事例は多くあります。
私たちの情報評価~『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』
とはいえ、私たちは自分の気持ちに合う情報を「正しい」「良い」と評価しがちです。
次のようなことを意識しておくのも大切でしょう。
新しいデータを提供すると、相手は自分の先入観(「事前の信念」と呼ばれる)を裏づける証拠なら即座に受け入れ、反対の証拠は冷ややかな目で評価する。(中略)
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』ターリ・シャーロット著 上原直子訳 白揚社
実のところ、自分の意見を否定するような情報を提供されると、私たちはまったく新しい反論を思いつき、さらに頑なになることもある。(p.24)
矛盾しているようだが、豊富な情報が得られるようになると、人は自分の意見にもっと固執するようになる。なぜなら、自分の考えを裏づけるデータを簡単に見つけ出せるからだ。(p.27)
認知能力が優れている人ほど、情報を合理化して都合の良いように解釈する能力も高くなり、ひいては自分の意見に合わせて巧みにデータを歪めてしまう。だとしたら皮肉な話だが、人間はより正確な結論を導き出すためではなく、都合の悪いデータに誤りを見つけるために知性を使っているのではないだろうか。(p.32)
ロシア・ウクライナ戦争および新型コロナ・ワクチンについて
以下、蛇足ですが現状でのロシア・ウクライナ戦争および新型コロナ・ワクチンについて、私見を挙げておきます。
ロシア・ウクライナ戦争
「悪の帝国」ロシア対「善良な」ウクライナ・西側国際社会という単純な構図には疑問を持つべきです。ハリウッド映画じゃあないんですから、当然ですね。
国益はもちろん、オリガルヒ(財閥)や巨大企業の利害が絡み合う、複雑な事情があると考えます。
戦時中の報道はプロパガンダ性が高く、「盛られがち」であることにも留意したいところです。
プーチン大統領は、グローバリズム・グローバル大企業優先主義に対抗する、ナショナリズムの担い手と目されていました。その意味で彼に期待する向きもありました。
ここで想定されるナショナリズムとは以下のようなものです。
ナショナリズム(nationalism):ネイションがそれぞれ独自の伝統を育み、干渉されることなくそれぞれの利益を追求し、それぞれが独立した進路を定めることができるとき、世界は最良の形態で統治されるという原則に基づく立場
『ナショナリズムの美徳』ヨラム・ハゾニー著 p.17
ロシア系住民の保護という名目があるとはいえ、今回のウクライナ侵攻で彼への期待は裏切られてしまったと言えるでしょう。ウクライナ国民をロシア領へ連れ去っているという報道もありますが、これが真実なら、許しがたい事態です。
我が国としてはウクライナへの支援を行いつつ、中朝露に対抗できるよう、核武装も含めて防衛力強化に努めるべきです。
税収分を多く防衛費に充て、その他支出の不足分は新規国債発行を大いに行う、超積極財政が期待されます。防衛のみならず、国力全体を大きく成長させる富国強兵路線です。
新型コロナ・ワクチン接種
ワクチン接種やマスク着用の勧奨、蔓延防止措置などの効果と逸失について、バランスよく考えることが大事です。報道やWeb記事、ツイッター上の各意見をいろいろと見ましたが、私としては、次のように思います。
○ワクチン接種勧奨は高齢者など重症化の可能性が高い人のみでよい。
○マスク着用も同上。山際新型コロナ対策担当相が「屋外でのマスク不要」に言及したのはよい傾向。
○指定感染症2類相当から5類へ変更する。ただし、治療費等の公費負担は継続。
○自粛を解除、生活・経済活動を再開する。ただし、それが政府支出減・増税につなげられないように注意。
○医療体制充実はもちろん、所得倍増のため新規国債発行で政府支出を大幅拡大すべき。
>しかしロシアの事情・立場を考えると
これは本当に、ロシアの事情なのでしょうか?
独裁者の事情なのではないでしょうか?
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私個人は、プーチンについては最初から人殺しだと思っていました。
政敵は、被選挙権をはく奪するか、逮捕するか、毒殺するか。
自身に懐疑的なメディアは言論統制して潰すか、殺すか。
自身に懐疑的な姿勢を鮮明にする国民は、逮捕するか、毒殺するか。
今回のウクライナ有事以前から、奴のやりようはこんな感じでした。
私はそんな奴が嫌いでした。
自分の都合で他人の自由を奪う、もしくは殺すなんて人間を、私は一片も好きにはなれませんでした。
ウクライナ戦争についての私の私見は、以下の通りです。
↓ ↓ ↓
ウクライナを見捨てる薄情な(肉屋の)豚達(マッチョ保守達)と『自由と人権と平等』
https://shin-geki.com/2022/03/04/%e3%82%a6%e3%82%af%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%8a%e3%82%92%e8%a6%8b%e6%8d%a8%e3%81%a6%e3%82%8b%e8%96%84%e6%83%85%e3%81%aa%e8%82%89%e5%b1%8b%e3%81%ae%e8%b1%9a%e9%81%94%e3%83%9e%e3%83%83%e3%83%81/
アメリカを嫌いな左派と、アメリカを嫌いな右派。――敵(アメリカ)の敵(ロシア)は味方理論――
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ワクチンも、接種できる人は接種した方が、個人的には良いと思います。
個人的に、ワクチン未接種で死んだ人や、重症化して後遺症で死んだ人だとか、治った後も後遺症で髪の毛が全部抜けた人、後遺症で肺を病んで酸素ボンベを手放せなくなった人、倦怠感で今でも苦しんでいる人も見ましたので。
ただし、どうしても接種したくない人は、強制はしませんので、せめて、マスク・手洗い・うがい等で最大限の防疫をするというのはお勧めはさせて頂きます。
ご自身やご家族の身の安全の為にも・・。
おそらく、それらの行為は防疫にはまったくの無意味ということはないとは思いますので・・。
また、ワクチン接種する人の妨害等も、これは勘弁ですね。
受けない自由も認めますので、受ける自由も認めてもらいたいものです。
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>我が国としてはウクライナへの支援を行いつつ、中朝露に対抗できるよう、核武装も含めて防衛力強化に努めるべきです。
まったくもってその通りかと思います。
同盟を結んでいるからと言って、必ずしもアメリカが戦ってくれるなどとは期待してはいけないと思います。
(特に、今回のような相手が核保有国だった場合などは・・)
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自国は、自国で守る。
アメリカは日露戦争の時の英国のように、武器・財政・その他諸々の支援をしてくれるくらいと考えていた方が良いでしょう。
血を流すのはあくまで日本人、アメリカは同盟とはいえあくまで援護、と・・・。
まあ有事の際の武器・弾薬・兵器の支援ほど、ありがたいものはないとは思いますが・・。
自分で自分の国を守ろうという気概もない国を、誰も助けようとはきっと思わないと、そう思いますので・・・。
コメントありがとうございます!
プーチンは人殺しというのは、その通りですね。
彼の悪行を数え上げたら、悪魔もビックリでしょう、きっと。
しかし、人殺しでなければ治められない国もあり、ロシアはそのような国なのだろうと思います。
フセインが治めていたイラクなどと同じように。
そのような国を真の「ナショナリズム」の国家にするには、アメリカ流の「独裁者を排除して民主化」ではダメだと思います。同胞相食む混乱とグローバル企業・グローバル資本の浸食が歴史の教訓と言えましょう。
真に求められるのは、日本の興隆です。天皇の下に、超積極財政の富国強兵による独立自尊の繁栄を見せること。日本への憧れを惹起し、各国自身の改善を支援する。そうすることでしか、「ナショナリズム」の理想は達し得ないと思います。
ワクチンについて、受ける自由・受けない自由の尊重は大事ですね。
手洗い・うがい・換気・室内除菌機などは大いに良いことだと思います。
マスクについては、着用したい人に外せとは言いませんが……
会合やイベントで着用義務が課されることで、
●対面コミュニケーションの阻害
●他人どころか友人・知人までも「ケガレ」とみなす心理の惹起
といった弊害があり、
新型コロナに関しては、マスクによる便益よりもこの弊害の方が大きいように思えるのです。
特に成長途上の子供たち・若者たちにとっては。
(世間的には種類を問わず、「マスク着用」であれば良しとする状況でもありますし)
そういう意味でも、まず屋外からマスク不要、という話が政府から出ているのは関係したいところなのです。
まああの国土、民族を収めるには暴力的強権が必要になってくるでしょうねえ・・・・・。
結局は、民主主義って民族自決が大事なのではないかと思います。
バルカン半島の国々が、各民族でそれぞれ分裂して初めて、民主主義と安定を得たように・・・。(過去、バルカン半島はヨーロッパの火薬庫と言われていた時代があった)
そういうふうに考えれば、ナショナリズム(ここでは民族自決)と民主主義は、意外と表裏一体な部分もあるかと思うと、興味深いですね・・。
・・と、いうわけで、ロシアも今回の戦争の敗北で、各自治共和国、ならびに民族がロシア連邦から分離独立すれば・・・・、
ロシアにも民主主義がやどるかもしれません。
ロシア連邦が解体されて、ロシア共和国かロシア国(プラス分離独立した各共和国)が生まれる時ですね。
バルカン半島の例を考えれば、民主主義と、民族自決による安定が生まれる余地があると思います。
そこまでいくかどうかは、不透明ですが・・・。
ところで、ロシアの話しをしてて思い出したのですが・・、
『戦争は女の顔をしていない』という第2次大戦時の独ソ戦を題材にした漫画が、とてもおもしろいですよ。これはお勧めです。(原作は小説ですが)
これこそ、プーチンに100回は読ませてやりたい本です。
あとは、『ラーゲリ 収容所から来た遺書』って漫画も、ソ連のシベリア抑留を題材にしてる漫画で、これも良かったです。
ちなみに、『日本のいちばん長い日』も、今、文春オンラインで漫画版が全話読めますよw
これもお勧めですw
(まあ上記3作品全部小説で原作があるんですがw)
どの作品も面白そうですね~!
以前紹介していただいた『昭和天皇物語』も買ってみましたが、とても良かったです!
探して読んでみますね~