日本経済にとって円高と円安どっちがいい? という議論は、わりと奥が深いです。
先日、反緊縮勢を対象としたアンケートがTwitterで行われました。
その結果、ほぼ半々で円高・円安への支持が均衡しました。
反緊縮勢の間でも、円安と円高のどっちがいいかは割れるようです。
そこで、今回の記事では「円安と円高のどっちが日本経済にいいの?」という問いへの結論を出します。
円安と円高どっちがいいのか? いろいろ考えると、結論は「円安」でした。
なぜそうなるのかも含めて解説します。
円高と円安とは?
最初に、円高と円安について復習しておきましょう。
円高とは?
円高とは、ほかの通貨に対して円の価値が相対的に高まることです。
たとえば、いままでは1ドルは100円でした。これは、換言すれば「1ドルを両替するのに100円必要」といった意味です。
ところが、為替が動いて1ドルが50円になりました。
ドル側から見ると「1ドルの価値が100円から50円に落ちた(安くなった)」と捉えられます。
一方、円側から見ると「いままで100円していた1ドルが、50円になった。1円の価値が上がった(高くなった)」と解釈可能です。
より少ない円で1ドルに両替できるようになることを「円高」と呼びます。
円安とは?
円安は円高の逆です。
1ドルが100円だったのが、1ドル150円になると円安です。
1ドルに対して、円の価値が落ちた(安くなった)と捉えられます。
1ドルを両替するのに必要な円が多くなることを「円安」と呼びます。
「1ドル/100円」「1ドル/150円」のように、円を分母にして値が大きくなれば円高、小さくなれば円安と考えるとイメージしやすいでしょう。
円高と円安それぞれのメリット・デメリット
円高と円安それぞれのメリット・デメリットを整理しましょう。
円高のメリット・デメリット
円高のメリットは輸入品が安くなることです。
たとえば、日本が必須としている資源も安く輸入できます。
海外旅行に出かけるのも円高の方が有利です。
1ドル100円なら10ドルのランチに1000円必要ですが、1ドル50円なら500円ですみます。
一方、円高のデメリットは輸出です。
国内で1万円の商品は、円高で1ドル50円だと200ドルになります。
輸出品の価格が上がることで競争力がそがれ、輸出にとって悪影響です。
円安のメリット・デメリット
円安のメリットは輸出と株式への影響です。
国内で1万円の商品は、円安で1ドル200円だと50ドルになります。
輸出価格が低く抑えられるので、輸出品の競争力が高くなり好影響です。
また、株式にも好影響があると考えられています。
ただし、株式は金利などにも影響されるため、円安=値上がりというほど単純ではありません。
円安のデメリットは輸入品の価格上昇です。
資源や穀物など日本にとって必須の輸入品の価格も上がるため、国内物価は押し上げられます。
日本経済にとって円高と円安のどっちがいい?
日本経済にとって円高と円安のどっちがいいのでしょうか?
結論は「円安」です。
その理由をいくつかの理由から筋道立てて解説します。
内需立国
日本の輸出依存度は1980年代でも10~15%、2000年代に入ってからも20%未満です。
意外なことに、日本は輸出立国ではなく内需で成り立っています。
そのため、輸出に有利な円安ではなく、資源や輸入品が安くなる円高の方が望ましいとする議論も。
消費者の観点から見れば、確かに円高が有利です。
では、円高が日本経済にとっていいのでしょうか?
輸入品との価格競争
円高によって輸入品が安くなると、国内製品は輸入品と価格競争しなければなりません。
100均に並んでいる中国製品を見れば、安い輸入品の脅威が理解できます。
これらの製品と国内産業が競争する必要があります。
企業は安い輸入品と価格競争するためにコストカットに走り、人件費や投資を減らすでしょう。
とすると、円高はデフレ要因です。
逆に、円安だと輸入品が高くなり、為替が非関税障壁として機能します。
国内製品は価格競争に巻き込まれないため、しっかりと利益を上げられます。
国内への投資も円高より円安の方がはかどるでしょう。
円安による雇用への影響
円安は一般的に、雇用に対して好影響があるとされています。
好影響を与える理由は2つです。
- 輸出に対して円安は有利に働き、輸出企業の利潤を押し上げる
- 円安で輸入品が高くなり、価格競争で国内企業が有利になる
まず、円高で輸入企業が有利になっても、需要のパイは日本国内までです。
しかし、円安で輸出企業が有利になれば、需要のパイは世界となります。
したがって、輸出有利の方が国内産業に雇用が生まれるでしょう。
くわえて、円安では輸入品が高くなり、為替による非関税障壁が働きます。
国内企業は価格競争でも有利に立ちます。
そのため、人件費の向上や雇用への好影響が見込まれるでしょう。
このように、円安は国内雇用に対してプラスの影響をもたらします。
結論「円安の方が日本経済にプラスに働く」
円高と円安どっちがいいか?
結論は、日本経済にとって円安の方がいい! です。
消費者にとって円高はプラス要因ですが、消費者は労働者でもあります。
雇用にとって円高はマイナス要因であり、円安はプラス要因です。
くわえて、円高はデフレ要因ともなります。
もちろん、極端な円安や円高は望ましくありません。
安定した為替が求められます。
その上で、円高と円安のどっちがいいか? と問われれば、円安が結論です。
まとめ
円高と円安どっちがいいか? 日本経済にとってどっちがプラスなのか?
今回の記事では「円安の方がプラスに働く」と結論づけました。
もちろん、為替は小幅安定していることが望ましいです。
強いてどちらがいいか? と論じれば、円安の方がメリットが大きいでしょう。
現在、円安が進行しています。
この円安は、日本経済にとって決して悪い話ではありません。