「こども庁」か「こども家庭庁」か?|家庭支援とジェンダーフリー

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子供に関する施策の司令塔として創設される予定の「こども庁」。
その名称が「こども家庭庁」に変更されました。

妥当な変更だと思いましたが、これを問題視する声もあります。
「こども庁」創設の提言者でもある、山田太郎参議院議員。
彼は名称変更に納得せず、「私はギリギリまで戦っていきます」とツイッターで述べたとのこと

令和5年度(2023)の「こども家庭庁」創設に向け、法案の提出~審議が行われるとのことですから、名称についても議論が続く可能性がありそうです。

「こども庁」か「こども家庭庁」か? 
名称の問題ではありますが、これはより大きな問題を象徴するものと思えます。
すなわち、苦境にある子供たちをどれだけ救い、より良い成長へ導けるかの問題です。
今回は、この問題について考えてみたいと思います。

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「こども家庭庁」とは?

本題に入る前に、「こども家庭庁」とはどのようなものか、確認しておきましょう。
報道によれば

○内閣府の外局で、首相直属の機関

○これまで各省庁が別々に行ってきた子供関連政策を総合する司令塔

○厚生労働省・内閣府が担当してきた保育所、認定こども園、児童手当、児童虐待防止といった分野を所管する

○文科省が所管を続ける幼稚園や義務教育についても情報共有し、連携する

○専任大臣を置き、各省庁の大臣への「勧告権」を持つ。

○企画立案・総合調整、成育、支援の3部門を持つ

要するに、縦割り行政で分野により途切れがちであった子供政策・子供支援について、総合的に管理・実行しようというものです。

こども真ん中! 家庭が辛い子供もいる?

「家庭」という言葉で傷つく

さて、名称変更です。「こども庁」→「こども家庭庁」で何が問題視されるかといえば、

「家庭が辛い子供もいる!」です。
児童虐待、家庭内不和~暴力、ヤングケアラー(児童・未成年が親の面倒を見ねばならない)という問題があり、家庭こそが子供にとって「苦しみの場」となることがある。

そのような「家庭不全」の環境にある子供は「家庭」という言葉で傷つく
あくまでも「こども真ん中」で子供を救うべき。
ゆえに、組織の名称に「家庭」を入れてはいけない!

というのが「こども庁」派の主張のようです。

家庭をこそ支える施策が必要

しかしこれは木を見て森を見ず、視野が狭すぎます。

そもそも「こども家庭庁」は、出生・乳児期~幼稚園/保育園~義務教育~高校教育~成人まで、子供の成長を一貫して支える組織。
そしてほとんどの場合、子供の成長に一貫して関わり続けるのは家庭です。
組織名に「家庭」を加えることは理の当然と言えましょう。

ちなみに、「家庭不全」の子供を救う組織としては児童相談所があります。
壊れた家庭環境から子供を引き離し、保護するものです。
こちらの名前には「家庭」は入っていませんね。

もっとも、「家庭」に苦しむ子供を救うには、家庭をこそ支える施策が必要な場合もあります。
「不全」な家庭から引き離すのみならず、その家庭を救うことでこそ、救われる子供たちも多いはずです。

「家庭不全」は貧困から ~こども庁では貧困対策が弱くなる

児童虐待と貧困

例えば、児童虐待ですが、その原因の多くは「家庭の貧困」にあるようです。

参考:貧困は本当に児童虐待の原因か? データと事例から探る

↑によれば、平成21年(2009)の少々古いデータではありますが、
虐待につながると思われる家庭・家族の状況として、「経済的な困難」33.6%、「不安定な就労」16.2% が挙げられています。

また、児童虐待の死亡事例では、「生活保護世帯」「市町村民税非課税世帯」といった貧困層が84.2%にものぼっています。(平成18年(2006)調査)

もちろん「おカネ」だけが虐待の原因ではありませんが、少なくとも「おカネ」があれば問題を軽減できることは間違いありません。

政府による家庭への経済支援

貧困が解消されれば、「家庭不全」の多くも治まる。
家庭が子供の安らぐ場となる可能性が高まります。

そのためには、公たる政府が、家庭への経済支援をしっかり行うことが必要です。
例えば、以下のような。

給付金支給継続あるいは生活保護の受給促進

最低賃金大幅アップ

低所得者(生活保護「一歩手前」層)への育児・教育、医療・介護、住宅・家賃の扶助増

公共投資など、政府支出増による景気浮揚⇒賃金所得向上

財源は国債発行。独自通貨「円」発行・国債はすべて円建て・変動相場制の三拍子そろった我が国に財政破綻の懸念はゼロです。大いに政府支出を増やし、家庭を救っていただきたいところ。

まずは家庭を支えるのが正当な手順

家庭が幸せな場所ならば、子供たちは当然、そこで暮らすことを望みます。
その希望を叶える努力を最大限に行った上で、なお「家庭不全」である場合に、家庭を措いて「子供真ん中」の手段を考える。それが正当な手順です。

最初から家庭を優先順位の下位に置き、「こども真ん中」としたのでは、家庭を救う経済対策の動機が薄れてしまいます。やはり、新組織名は「こども家庭庁」が正解なのです。

「こども家庭庁」に潜むジェンダーフリー思想

「こども家庭庁」創設にあたって、有識者会議の報告書が今年11月29日付で出されています
これを基本に組織づくり、運営が行われると思われますが、以下のような問題点が目につきました。

●p.5「子供が自らに関係あることについて自由に意見が言え、大人はその意見を子供の年齢や発達段階に応じて十分に考慮すること
⇒大人の側に覚悟・見識がなければ、単なるワガママや甘え、思いつきを助長することになりかねないのではないでしょうか。 

●p.5やp.13など、ジェンダーの視点を強調し、女性・男性ともに労働と家事・育児を両立することを理想化しているように見えます。「男が外で働き、女は家事と育児に勤しむ」という形を希望する人々のことは、無視されています。

●p.19「保護者や周囲の人、学校、メディアなどが、固定的な性別役割分担意識等を植え付けず、また、押し付けないための取組を進める
⇒まるで思想統制のようです。❝男らしさ・女らしさは悪!❞と言わんばかり。
各家庭とも、自分たちの考えで子育てを行ってよいはず。「男は料理するな!」「女は高校に行くな!」とまでいけば問題かもしれませんが、ある程度の「男らしく」「女らしく」は子育てに有用です。

このように、どうもリベラル、ジェンダーフリー思想に偏り過ぎではないかと思われます。
「子供のため」をダシに、伝統的規範や家庭・社会を解体する思想が込められているのです。

「こども家庭庁」創設はたいへん結構ですが、この点については国民の注視が必要だと思います。

参考:歴史認識問題研究会「知っておきたい「こども庁」問題Q&A」

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