仕事のAI利用/機械化と働く庶民、最低賃金引き上げ

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AI(人工知能)の導入や機械化の進展で、働く庶民の生活はどうなるか? 実際には、働く現場を楽にしてくれるものと言えますが、逆にAI導入も機械化もブレーキがかかっているのが現状です。これらをしっかり進めつつ、人々の生活・社会を安定させるにはどのようなことが必要か、考えてみましょう。

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AI利用/機械化で消える職業?

「AIに仕事を奪われる!」「10年後に消える職業!」的な記事、よく見かけますね。

例:10年後になくなる仕事/職業ランキングTOP50【2021最新版】

情報通信技術、機械化・自動化の進歩は誰の目にも明らか。
そんな中、自分の仕事がなくなるかもと言われれば、心穏やかではいられません。

もっとも、現在実用化が進められるAI(人工知能)自体は、あくまで「知能」。すなわち「すでに決まった正解を探す能力」です。
人間の「正解がなくても、どうすべきか考え続ける」能力、知性を代替するものではありません。

ですから当面のところ、AIは人間の仕事を助けてくれる、楽にしてくれるものと思います。

(参考:『AIは人間の仕事を奪うのか?』松本憲太郎/著 C&R研究所 平成30年)

とはいえ、利点ばかりではありません。個々の仕事においてはプラスでも、社会~国家全体としてはマイナスとなることも大いにあります。合成の誤謬ですね。

庶民・国民の立場から、AI利用/機械化の利点・欠点・対応について考えてみましょう。

AI利用/機械化が進められる理由

企業の利点

企業は利益を追求します。費用よりも売上が多くなければ、存続できません。
よって、以下のような点から、AI利用/機械化を進めようとします。

ア 少ない人数で長時間、途切れなく、多くの品物/サービスを生産する
イ 社員の経験・才能に関わりなく、標準的な品質を保つ、また品質を向上させる
ウ 危険な作業による事故を減らす、人的損害のリスクを下げる
エ 新たな需要への対応、新たな分野への進出

アは19世紀の産業革命以来、あくなき技術の進歩、機械化で進められていることです。

イは特に製造業で、熟練の技術を持つベテラン社員の退職に対応して求められています。彼らの技術をコンピューターなどで解析し、AIに学習させ、機械で再現できるようにしようというわけです。

ウは例えば、高所での作業をドローンにやらせるようなことが当てはまります。力仕事による体への負担を軽減する、動力付き補助器具などもそうでしょう。

エでは、電気自動車、自動運転といった分野に、IT企業がAI技術で参入するといった例が挙げられます。

庶民/被雇用者の利点

AI利用/機械化は、働く庶民(被雇用者)にも有利です。

ア AIや機械に働かせることで、個々人の業務負担が減ります。人手不足も軽減されます。

イ 仕事を覚えるのが簡単。求められるレベルに到達するまで、あまり時間がかからなくなります。

ウ 危険なことは機械にやらせる、あるいは機械が補助してくれるので、事故に遭ったりケガしたりすることが少なくなる。

エ 新たな市場を開拓して企業の売上があがれば、給与待遇もより良くなる可能性が高まります。

AI利用/機械化にはブレーキがかかっている

AI利用/機械化、そのための企業の投資が進むかどうかは、社会・経済環境に左右されます。
「人手不足」かつ「好景気」の状況であれば、どしどし進みます

逆に言えば、女性・高齢者・外国人・実習生といった安い働き手を雇える状況では、遅々として進みません。高額の投資をしても、その分を売上でカバーできない「不景気」ではなおさらです。

今はどうでしょうか。
消費税増税・社保負担増・コロナ禍で、人々の懐が貧しい。
今年7~9月期の名目GDPは年率換算で4.1%減。

「一億総活躍」「生涯現役」といった言葉がもてはやされる。
女性も高齢者も働かざるを得なくなり、おまけに外国人労働者(移民)も増える。

国家としては思い切りブレーキを踏んでいる状況です。設備投資に対する法人税控除などの施策もありますが、まだまだ不十分でしょう。実際、AI分野において日本は先進国と言えない状態です

ブレーキから足を上げ、アクセルをしっかり踏むことが求められます。
すなわち、消費税廃止、社保負担減、一律給付金継続、公共投資増、研究開発投資増などの積極財政による景気浮揚。そして移民規制強化です。(財源は国債発行でOK!)

AI利用/機械化による不利益とデンマーク事情

働く庶民にとって、AI利用/機械化は不利益ももたらします。

● 人間は機械の補助役となり、労働の価値が低く見積もられる
● 技術的経験の蓄積が価値を失い、「年功」の意味が薄れる
● 少人数で様々な業務をこなさねばならなくなる

そのような社会がデンマークでは現実化しているようです。

「パリの窓|デジタル大国」産経新聞 令和3年12月2日

記事の要点は……
〇10階建ての大ホテルで、ロビー・フロント(自動受付)・バーを警備員とバーテンの2人で回す。
〇地下鉄では、駅員1人で切符自販機前で案内をし、ホームの安全確認も行う。
〇機械にできる仕事は機械に任せ、「人間は気働き」
〇持ち場が広がり、様々な仕事を1人でこなすことに。

最低賃金大幅上げと雇用義務

企業/経営者 の思惑

そのような状況で、企業/経営者側はどう考えるでしょうか? 
大抵の場合、人件費というコストを圧縮しようとするのではないでしょうか。

●業務がギリギリ回る程度に、人員を抑える
●機械の補助に過ぎない、大した経験もいらない業務として、賃金を抑える

人員を抑えるのは、外国人労働者/移民を必要としなくなる方向ですから良いと言えます。
もっとも、職場の安全や余裕を失わない程度にしてもらわねばなりません。

最低賃金の大幅引き上げ

賃金抑制は働く庶民にとって困ります。
これが当たり前になってしまっては、日本経済全体が沈滞します。
多くの国民の懐が乏しくなるのですから、消費減少・景気減退・デフレ化に向います。格差も拡大するでしょう。

AI利用/機械化の進展にあわせて、政府は最低賃金の大幅引き上げを実施すべきです。
単純比較はできないとはいえ、デンマークは最低賃金1800円程度だそうです。
移民に対しても厳しい制限をかけているデンマークは、この分野では参考になるのではないでしょうか。

雇用義務または公務員増

さらに将来、雇用人員の抑制傾向が進むようであれば、一定の「雇用義務」を企業に課すことも考えられます。現在でも障碍者雇用の義務があるように、です。または、公務員を大いに増やしてもいいでしょう。

特に才能や創造性に欠ける人であっても、きちんと働いて世の中に貢献し、生活を立てられる。そのような社会は安定して発展します。政府には、この視点でもって施策を考えていただきたいものです。

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