先日、以下のツイートをしたところ大きな反響がありました。
消費税はなぜ逆累進性が高いのか?
答え:年収1億円の人の生活費が1億円じゃないから
年収1億円(生活費1000万円)の人が払う消費税は100万円。
年収比で100分の1。年収200万円(生活費200万円)の人が払う消費税は20万円。
年収比で10分の1。消費税は低所得層に厳しい税制です。
本稿では消費税の逆累進性について、誰でもわかるように解説します。
そして、それ以外の消費税の問題についても多少、言及します。
日本における消費税の歴史
日本で消費税が初めて導入されたのは1989年です。最初の税率は3%でした。
1997年に消費増税が行われ5%に引き上げられます。
さらに、2014年と2019年に安倍政権で消費増税が行われました。
2014年に8%、2019年に10%に引き上げられました。
消費税導入のもともとの議論は、直間比率の是正でした。
法人税や所得税など、納める人と負担する人が同じ税金を直接税と言います。
逆に、消費税は納める人と負担する人が異なる間接税と呼ばれるものです。
所得税が中心だった税制では公平ではないとされ、”公平な”間接税の導入が議論されました。
消費税とは公平な税制と考えられていました。
なお、社会保障費のために消費税! などは後付けの言い訳です。
税の公平性が消費税導入の目的でした。
累進性と逆累進性
所得税などは累進課税と呼ばれます。
累進性とはなんでしょうか。
累進性とは、所得の多い人ほどたくさんの比率を負担する税制のことです。
たとえば、所得税は5%から45%の7段階に分けて累進性が設定されています。
他の例では、相続税や贈与税も累進課税です。
金額に応じて10%から55%で累進性を持たせています。
逆累進性とは、累進性の反対です。
つまり、所得の多い人ほど負担する比率が減る税制のことです。
消費税の逆累進性がなぜ高まるか
再び、冒頭のツイートを見てみましょう。
消費税はなぜ逆累進性が高いのか?
答え:年収1億円の人の生活費が1億円じゃないから
年収1億円(生活費1000万円)の人が払う消費税は100万円。
年収比で100分の1。年収200万円(生活費200万円)の人が払う消費税は20万円。
年収比で10分の1。消費税は低所得層に厳しい税制です。
消費税の逆累進性が高いのは、お金持ちと低所得層の消費性向の違いが原因です。
消費性向とは、所得に対して消費する比率のことを言います。
100万円の所得があり、消費が50万円なら消費性向は0.5です。100万円消費するなら消費性向は1です。
一般的にお金持ちほど消費性向は低くなります。
1億円稼いだお金持ちは、1億円そのまま消費することはほぼありません。
逆に、低所得層ほど消費性向は高くなります。
一人暮らしで15万円の所得の人は、そのほとんどを生活費として消費します。貯蓄などほぼできません。
所得1億円の人の生活費が1000万円だったとします。
とすると、消費税は100万円かかります。
1億円の所得に対して1%の比率です。
低所得層で15万円の所得の人は、生活費も15万円でした。
とすると、消費税は1万5000円かかります。
15万円の所得に対して10%の比率です。
お金持ちは所得に対して1%の比率で消費税がかかり、低所得層は10%の比率で消費税がかかる。
すなわち、逆累進性が働いていることになります。
消費税は格差拡大させる税制
累進課税は格差を縮小させるものでした。
逆累進性はもちろん、格差を助長します。
低所得層ほど課税比率が重くなり、お金持ちほど課税比率が低くなるからです。
消費税はお金持ちにとって優しい税制であり、低所得層にとって厳しい税制です。
最初の議論を思い出しましょう。
消費税は直間比率の是正で、税の公平性のために導入されました。
しかし、蓋を開けれてみれば不公平な税制だったのです。
逆累進性以外の消費税の問題
消費税は逆累進性以外にも問題があります。
課税とは規制したいものに対して行います。
たとえば、CO2排出を規制したいならCO2に課税します。
過剰な内部留保を規制したいなら、法人税を高めることで達成されます。
なぜなら、法人税は「利益」にかかる税制なので、企業は利益を計上しないように経費や投資にお金を回します。
このように課税とは、規制したい対象にかけるものです。
であれば、消費税も何かを規制するはずです。
消費税が規制するのは言うまでもなく消費です。
日本は長年、デフレで苦しんでします。
デフレとは需要<供給の状態で需要過少です。
需要過少にもかかわらず、日本は消費増税で消費に対して罰金を課しました。
これでデフレを脱却できるわけがありませんよね。
逆累進性以外に、消費税にはこのような問題もあります。
まとめ
消費税導入は当初、公平な税制のためでした。公平な税制のために直間比率の見直しを行ったのです。
ところが、実際の消費税は不公平な税制でした。
お金持ちに優しく、低所得層に厳しい税制だったのです。
逆累進性があり、消費税は格差を助長します。
くわえて、日本はデフレにもかかわらず、消費税は消費懲罰とも言える動きをします。
すなわち、税による規制です。
格差拡大やデフレが問題視される日本において消費税は有害です。
消費税の減税や廃止こそが日本経済を復活へと導きます。