相対的貧困は日本でも大きな問題ですが、なぜかあまり話題に上りません。見えづらいだけなのか、それとも見て見ぬふりをしたいのかのどちらかです。
見えづらいのなら、見えやすいように可視化しようというのが今回の記事のテーマです。そのため、相対的貧困層の年収について取り上げます。
相対的貧困層の年収は1人世帯で160万円以下です。年収160万円以下は、月収で13万円強です。生活保護の給付が10~13万円であることを考えると、相対的貧困がいかに深刻な問題か理解できます。
このように、相対的貧困の基準となる年収を明らかにしていきます。
相対的貧困とは
相対的貧困とは「等価可処分所得の中央値より50%以下の人たち」を指します。
等価可処分所得とは、世帯の可処分所得を世帯員数の平方根で割った値です。等価可処分所得は、より生活実感に近い水準を判断するために用いられます。
たとえば、年収600万円の2人世帯なら「600 / √2」となり、1人あたりの等価可処分所得は424万円です。
2018年の等価可処分所得の中央値は254万円でした。相対的貧困率の貧困線は127万円になり、相対的貧困は約16%でした。
相対的貧困の年収は?
相対的貧困の貧困線である127万円は可処分所得です。可処分所得と年収は異なります。また、世帯人数ことの相対的貧困層の年収も知っておきたいところ。
おおよその計算をするなら、年収の約8割が可処分所得と言われています。127万円の可処分所得の場合、約160万円が年収です。
内閣府の資料では世帯人数ごとの可処分所得も公表されています。可処分所得と年収については「年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応)」を参考に表にしました。
世帯人数 | 貧困線 | 世帯年収 |
1人世帯 | 127万円 | 約160万円 |
2人世帯 | 177万円 | 約220万円 |
3人世帯 | 217万円 | 約270万円 |
4人世帯 | 250万円 | 約320万円 |
このように年収で算出してみると、相対的貧困が特殊ではないことがわかります。実際、相対的貧困の割合は約16%で、日本人の6人に1人が相対的貧困に陥っています。
相対的貧困は老人と若者、1人親世帯のシングルマザーなどに多いです。
年収が160万円なら、月収は13万3000円です。ここから所得税、住民税などが引かれます。生活保護が10万円~13万円の給付ですから、相対的貧困がどのような状態か想像に難くありません。
なお、月収13万3000円は時給830円のフルタイム労働で得られる金額です。
相対的貧困より生活保護のほうが、まだ生活に余裕がありそうです。
1人より2人や3人世帯のほうが生活にお金はかかりません。とはいえ、2人世帯では1人90万円、3人世帯では1人70万円という金額はいかにも苦しい金額です。
平均年収186万円のアンダークラス
近年、アンダークラスという言葉が出現しました。アンダークラスとは日本を6階層、ないし5階層に分けたとき、収入が最下層に位置する人たちのことです。
アンダークラスの平均年収は186万円で、日本に930万人います。
2025年に労働人口は減少するにもかかわらず、アンダークラスは1000万人を突破すると言われています。
多くの日本人が貧困層に陥ろうとしています。
アンダークラスの個人の平均年収は186万円で、相対的貧困層の年収は約160万円です。アンダークラスは貧困のギリギリ崖っぷちに立っています。
日本人の6人に1人、2000万人が相対的貧困
日本の相対的貧困率はG7でワースト2位で、OECD平均より高く約16%です。子供の貧困率は13.5%で7人に1人の子供が貧困に苦しんでいます。
相対的貧困率は6人に1人です。
この数字にあまり実感が湧かないかもしれません。
日本の6人に1人です。つまり、1億2000万人中、2000万人が相対的貧困です。
子供の人口は約1500万人で、そのうち200万人以上が貧困に陥っています。
これが我が国の実態です。相対的貧困は絶対的貧困と異なり見えづらいです。普段、あまり意識することもないかもしれません。
しかし、2000万人もの人々が貧困に陥っているのが現状です。
相対的貧困の原因は格差の拡大、高齢化などです。非正規雇用の拡大や正規雇用の縮小、終身雇用の崩壊などが原因です。
まとめ
相対的貧困は2018年基準で、可処分所得が127万円以下の人たちのことです。年収になおすと約160万円になります。時給830円のフルタイム労働で年収160万円です。
可処分所得が127万円以下とは、生活保護よりもきつい水準です。生活保護では月に10万円~13万円程度が給付されるからです。
日本において相対的貧困層は約16%で、6人に1人が相対的貧困です。2000万人が相対的貧困に陥っています。
一方、この現実はあまり話題になりません。見て見ぬふりか、それとも見えづらいのでしょう。筆者には日本が現実逃避しているように見えます。
相対的貧困の問題はとても切実で重大です。多くの人が「大変な問題だ」と、まずは認識することが必要です。
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