「身を切る改革」とは?「身を切る改革はバカの一つ覚え」と解説

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 維新の会の松井一郎大阪市長が公用車でホテル通いをしており、雑誌「女性自身」にすっぱ抜かれました。このスキャンダルに対して「身を切る改革と言っていたのに!」との批判が寄せられています。

 維新の会などが掲げる身を切る改革とは一体何で、どんなものなのか解説します。
 結論から言えば2000年代初頭に行われた「聖域なき構造改革」の焼き直し、しょぼくしたものです。

 デフレ下で身を切る改革を断行すれば何が起きるかも議論します。

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身を切る改革の源流

 身を切る改革の源流は小泉純一郎政権の「聖域なき構造改革」です。2001年に樹立した小泉政権が掲げたスローガンで、当事者たちは「新世紀維新」と称していました

 郵政改革や官から民へ、地方分権などさまざまな改革が推し進められました。労働派遣法が改正されたのも改革の一環であり、非正規労働者を増加させる原因となりました。

 このときに唱えられたのが「国民は痛みに耐えて!」です。正確には「今の痛みに耐えて、明日を良くしようとする米百俵の精神こそ、改革を進めようとする今日の我々に必要ではないか」と小泉元総理は述べました。

 「米百俵の精神」とはこうです。明治3年、長岡藩が困窮していたときに三根山藩から米百俵が送られてきました。その米百俵を食べずに投資に使い、学校を建てたことが米百俵の精神として語り継がれています。

 日本の改革の代表格は小泉政権であり、聖域なき構造改革は「節約すること」がメインでした。なお小泉改革は「節約した分をどこかに投資する」ことはしませんでした。
 米百俵の精神と言いながら、投資をしないのが日本の改革の源流です。

 また聖域なき構造改革の当事者たちが「新世紀維新」と称していたのも非常に興味深いでしょう。

身を切る改革とは

 身を切る改革とは聖域なき構造改革、小泉構造改革を源流としています。じつは民主党政権下でも身を切る改革という言葉は使われました。

 民主党政権のときの首相官邸は「「身を切る改革」、力強く進めています。 | 首相官邸ホームページ」にも見られるように、身を切る改革を標榜していました。

 現在では維新の会が身を切る改革を掲げていますが、元々は民主党政権が掲げたスローガンです。民主党政権が身を切る改革を掲げたのは、小泉構造改革への対抗でした。

 現在、身を切る改革の代表者面をしている維新の会では、身を切る改革を以下のように定義しています。

  1. 議員定数・報酬の削減
  2. 政治資金の用途を明瞭にする
  3. 企業団体献金の禁止
  4. 議会の古い慣習を改める
  5. 議会運営の抜本的改革

参照 身を切る改革を含む政治改革|政策|日本維新の会

 要するに「多くの改革をさせてほしいが、そのためにはまず自分たちが身を切る改革をして姿勢を示す」が、身を切る改革の中身です。

 身を切る改革の先に待っているものは行政改革、地方分権、規制改革、財政健全化などです。内容は聖域なき構造改革の焼き直しです。

 20年前にした改革をもう一度! が身を切る改革の内容です。

デフレと身を切る改革

 日本は1997年の消費増税により、1998年からデフレ化しました。2013年に一度はデフレから脱却できそうになったものの、2014年の消費増税でまたもデフレギリギリの低空飛行を続けました。
 そして現在、コロナ禍により再デフレ化しました。

 日本経済は20年以上、デフレないしデフレギリギリの状態が続いています

 果たして改革はデフレを改善したでしょうか?

 デフレとは需要<供給の状態です。したがってデフレ脱却のためには需要を増やさなければなりません。日本の改革は総じて「節約・効率化」です。つまり需要を減少させます。
 改革はデフレを改善するどころか深刻化させてきました

 改革の目玉は大抵「行政改革」と「規制緩和」です。規制緩和は供給力を強化し、デフレを悪化させる政策です。
 行政改革は行政をスリム化して公務員を減少させ、政府支出を減少させます。すなわち需要の減少です。

 バカの一つ覚えのように日本は「聖域なき構造改革!」「抜本的改革!」「身を切る改革!」などとやってきた結果、経済成長が止まりました。

 未だに緊縮財政は支持され、改革の音頭は鳴り止みません。20年以上、何も学んでいないのが日本という国家です。

身を切る改革とルサンチマンや不満

 冒頭に取り上げたように松井一郎大阪市長が公用車でホテル通いしており、週刊誌にすっぱ抜かれました。どうやらすっぱ抜いたのは女性自身です。

 この公用車でのホテル通いに多くの批判が集まっています。批判内容は「身を切る改革とか言っていたくせに! 国民は痛みに耐えているのに、政治家が至福の時間とかけしからん!」です。

 身を切る改革を唱えている松井市長は自業自得ですが、批判内容はさらにバカバカしいですよね。本来は「痛みがないようにしろ!」と批判するのがスジ

 もし「国民を豊かにしてくれるけど私腹を肥やす利権政治家」と「国民は痛みに耐えなければいけないけど清貧でクリーンな政治家」がいたら、あなたならどちらを支持しますか? 筆者は断然、前者を支持します。

 何? 松井市長は「国民に痛みに耐えさせて、自分は贅沢するけしからん政治家」だって? それはそうかもしれませんね。
 でも批判が「お前も贅沢するな!」では「バカ×バカ」でバカバカしい話になるだけです。

まとめ

 身を切る改革は本当にバカバカしく、どうしようもないものです。しかし身を切る改革が国民受けするからこそ維新の会は掲げています。

 「国民の皆さんと痛みを共有して!」とか言うと受けがいいわけです

 医者が「患者と痛みを共有して!」とか言い出したらぶん殴りますよね? 「さっさと痛みを止めてくれ!」と
 ところが政治家はそんなふざけたことを言っても、批判されるどころか支持されるんです。

 もはや政治家も国民もふざけて政治をしている。そんな風にしか思えない「身を切る改革」の解説でした。

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Muse
5 ヶ月 前

>「国民の皆さんと痛みを共有して!」とか言うと受けがいいわけです。
医者が「患者と痛みを共有して!」とか言い出したらぶん殴りますよね? 「さっさと痛みを止めてくれ!」と。

これは名言です。大阪の街頭で(維新に限らず)バカな議員がいつもの寝言をほざいていたら、ヤンさんもこちらの名言で応酬してみたらいかがですか?(笑)

ところで、かろうじて大阪市解体構想は食い止められましたが、維新のクズどもは「府市一体、広域行政一元化」条例の制定とか、区の権限を強める「総合区制度」の導入を目論んでいます。もう、大阪維新の息の根を止めない限り、こいつらはゾンビのように何度でも復活して悪だくみを繰り返すはず。大阪市民が維新を完全に見放して支持率を激減させない限り、そうなるでしょう。

5 ヶ月 前

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