アメリカでは人種や社会階層による国民の分断が深まっていると言われますが、
コロナ禍の我が国では、「家事分担」が夫婦を分断しつつあるようです。
「いるのに何もしない」夫にイライラ…コロナ禍の“家事分担”で妻の不満が爆発?
森田悦子2020.7.25 10:00AERA
この「分担/分断」問題を、「進撃の庶民」的に考えてみたいと思います。
共働き増で注目される「家事分担」
昭和55年(1980)には専業主婦世帯:共働き世帯=6:4であったのが、令和元年(2019)では逆転、3:7に変化。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」
専業主婦が減り、共働き世帯が多くを占めるようになった結果、この「家事分担」による分断が注目を集めるようになりました。
妻も夫も金を稼ぐための仕事で疲れているのに、専業主婦が多かったかつてと同様、家事・育児の多くを妻が担っていると言われます。その負担率は夫:妻=1:9~3:7だとか。
というわけで……
わき上がる不満
妻側としては主人/ダンナ/ダーリンにもっと家事・育児を担ってほしい。いや、進んでやるのが当たり前だ!という気持ちが湧き上がる。
夫側にも言い分はあります。自分の方が長時間労働である、カミさん/奥さん/ハニーの要求レベルが高過ぎる、家事は苦手だ……など。
まあ、夫婦・家庭の事情は千差万別。しっかりと互いに自由時間を取るなどして心に余裕を作った状態で、改めてどうするかを話し合う必要があるのでしょう。以下の記事にあるように、心に余裕が持てた時点で、ほぼ問題は解決に向かうのかもしれません。
【#ねばからの解放】その家事、本当にやらなきゃダメですか? 母たちが3時間自由に過ごしたら
2020/8/16(日) 16:00配信 レタスクラブニュース
「経世済民」と「分担/分断」問題
とはいえ、各家庭の努力だけでは限界もありましょう。私たち「進撃の庶民」が常々訴える「経世済民/積極財政/反緊縮」が、この問題の解決に大いに役立ちます。
「経世済民/積極財政/反緊縮」とは何か?
「経世済民/積極財政/反緊縮」とは何か? 国民の財布を豊かにし、安心して文化的な生活を送れるようにする政治です。もう少し具体的に書きますと、
- コロナ禍においては、政府が給付金や補償金を惜しみなく支出する
- 消費税や社会保険料など、国民の税負担を軽くする
- 低賃金・長時間等のブラックな労働/雇用が許されないよう、法律/ルールを整備する
- 政府は公共投資を拡大し、道路や橋、水道、ダム、堤防などの整備、補修を進める など
要は政府がお金を大いに使う、ということです。
政府がお金を使う効果
10万円給付金が顕著な例ですが、政府が支出をすると私たち国民の財布が豊かになります。
政府が道路工事などにお金を使うと、もちろん土建屋さんももうかりますが、今度はその土建屋さんたちがそのもうかったお金を生活費、子供の教育費、飲み代などに使う。
すると、近所のスーパーがもうかり、学習塾がもうかり、居酒屋がもうかる。
そうするとまた……
といった具合に、政府が使ったお金は消えることなく、使われた分だけ継続して皆の財布を豊かにしていきます。ところが……
政府はお金をケチっている
この20年以上、政府はお金をケチる「消極財政/緊縮財政」、私たち一般国民のお金は減ってしまっています。
「進撃の庶民」では、この傾向を転換し、政府がお金をしっかり使って、一般国民が豊かになるようにするための世論喚起をしているわけです。
家計で使えるお金が増えると、家事負担は減らせる
私たち国民の財布が豊かになる――家計で使えるお金が増えると……
〇ルンバや食洗機、乾燥機付き洗濯機など、便利な器具が買える
〇外食や中食でも充実したものが食べられる
〇家事代行サービスや子供の一時預かりサービスを利用できる
〇子供を遊ばせるにも、有料の遊戯場や遊園地を使える など
家事負担を大いに軽減することが可能。財布ばかりか心にも余裕ができて、夫婦間のギスギスは減ることに。
ちょっとしたプレゼントと共に感謝の気持ちを伝えあい、二人で外食などすれば、さらに夫婦円満が進みます。
ところが、これを邪魔するものがあります。
「国の借金コワイ」の呪い
ア「国の借金は、国民一人当たり800万円以上!」
イ「国債などの国の借金で、財政破綻する」
ウ「政府がお金を使うには税金を増やすしかない、コロナ増税だ!」
エ「政府がお金を使いまくると、物価が上がってインフレ率がコントロールできなくなる、ハイパーインフレーションで破滅だ!」
という「国の借金コワイ」の呪いです。「財政健全化」「プライマリーバランス黒字化」の呪いでもあります。
解呪/ディスペル
ゲームや映画ならともかく、呪いというものはそもそも幻想・思い込みですから、
ア~エもまた幻想に過ぎません。
ア 解呪
「国の借金は政府の貨幣発行残高であり、国民にとっては資産。増えるのが当然」
イ 解呪
「独自通貨発行、変動為替相場制、国債はすべて円建ての日本で、財政破綻はあり得ない」
ウ 解呪
「税に頼らずとも、国債発行によりお金を使える。政府がたくさんお金を使えば、国民の所得や消費も増え、税収は自然に増える」
エ 解呪
「需要に対して供給がまったく追いつかない場合に極端なインフレが起こる(ハイパーインフレでは1年で物価が130倍)が……
政府がお金をたくさん使うと景気が良くなるため、もうけるチャンスとばかりに、各企業が設備投資などを進めて供給力が向上し、極端なインフレにはならない。
また、政府は適正なインフレ率(年2~3%)に気をつけながら、お金を使えばよい」
「良妻賢母」の呪い?
以下の記事や識者コメントでは、「良妻賢母の理想」が呪いであるかのように述べられていますが、夫婦を傷めつけ、分断する真の呪いは「国の借金コワイ」。
これを解くことこそが、男性も女性も、夫も妻も救うことにつながるのです。
かつては『VERY』のような30代主婦向け雑誌も「理想の母親像」の特集を組み、良妻賢母規範を押しつける傾向にありましたが、近年は夫、子どもといった「誰かのためにがんばる」母であることよりも、一人の女性として生きることを重視しています。「自分をもっと愛してあげたい」(2019年2月号)というようにスタンスが変わってきています。
甲南女子大学教授 米澤泉 コメント/【#ねばからの解放】「理想の母になれない人」の理想と現実、母親たちを苦しめるものの正体は 2020/8/15(土) 16:00配信 レタスクラブニュース
家事・育児は大切な営み
そもそも家事・育児というのは多くの人が思っているように、大切な営みです。
昨年の調査でも「主婦はお金のために働くのと同じくらい充実している」と考える人は66.8%と、2/3以上にのぼっています。
「世界価値観調査」1990~2019年 日本時系列分析レポート p.12
政府は「女性活躍推進!」「女性も輝く時代」などと言って、働いてお金を稼ぐことこそが「活躍」「輝いている」というイメージを振りまいていますが、これこそ新たな呪いかもしれません。
家事・育児にがんばる人は、すでに「活躍」し「輝いている」のです。
感謝されるべき存在ですし、そこに理想を見出し努力しようとしてよいはずです。
上記アンケート調査によれば、
設問「彼氏・夫に専業主婦になってくれ!と言われたら専業主婦になる?
~経済面で心配無い場合、専業主婦になれるならなりたい??~」
回答結果は、約7割が「なりたい」だそうです。
感謝とメッセージを
政府が減税してお金をたくさん使って、景気向上、一般国民の給与が増えれば、家計的に共働きする必要もなくなり、上記の「なりたい」が叶えられます。
共働きを望む家庭でも、もちろん「家事負担の軽減」「生活の質の向上」が図れます。
というわけで、この記事をお読みいただいた方々には、
家事・育児をがんばってくれている妻(あるいは夫)に感謝を!
そして、政府・自民党・政治家などには「消費税は減らして! 政府はもっとお金を使って、国民を豊かにして!」のメッセージを送っていただければと思います。
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