前回記事で日本に来たカンボジア人の縫製業技能実習生を取り上げました。
母国カンボジアの縫製・製靴業労働者の最低賃金は、現在月額170ドル(1万9000円)、
2019年1月1日から月額182ドル(約2万500円)になる予定です。
日本の生産性を上げるチャンスを潰し、日本人労働者の賃金上昇を妨げる外国人労働者、
この問題を考えるとき、途上国の賃金が上昇すれば外国人が出稼ぎに来なくなることに気付くと思います。
例えばカンボジアの最低賃金が大幅に上がれば彼らは日本に来なくなります。
ところが、日本政府と日本の経済界はカンボジア政府に最低賃金をあまり急激に上げないようお手紙を書いていたのです。
当時の
在カンボジア日本大使 隈丸優次氏
JBAC(カンボジア日本人商工会)会長
JETRO(日本貿易振興機構)プノンペン事務所長
この3人が連名でフンセン首相にお手紙を書いたと堂々と公表しています。
中韓、欧米の企業や政府も同じようなことを要請しているだろうと想像しますが、①~⑥の中で③の最低賃金の件は常識的に考えると秘密にしそうなことであり、それをあろうことか堂々と公開していることに大変驚いたとともに、日本の政府と財界の感覚がここまで麻痺しているのかと恐ろしくも感じました。
これではカンボジア人が可哀想です。
これは2017年1月号のプノンというカンボジアで発行された日本人向けのフリーペーパーのコピーです。
プノンは、カンボジアに在住または観光や出張等で訪れた人なら簡単に無料で手に入れることのできる雑誌のようです。
日本人が少ない国にはありませんが、ある程度数がいると日本人相手にビジネス、レストランなどの情報をまとめたこの手の雑誌は結構どこの国にも複数あり、月刊誌のため情報の更新が早く日本人にはよく読まれています。
情報が新しいのでガイドブック代わりに使うことも多く、観光で行きたい場合、知人を通して手に入れることもあります。
日本人の賃金低下を進める日本政府と経済界は、
外国でも同じように外国人労働者の賃金上昇を嫌い押さえつけようとしていたのです。
国籍と国境を無視して人の移動を自由化している今、外国が低賃金のままではいつまでたっても私たちの賃金は上がりません。
「お前の代わりはいくらでもいる」・・・その通りで何十億人といるのです。
企業に屈し企業の言いなりに動く政府を支持し続けることがどんなに愚かなことなのか、よく考えてみてください。
参考:下に雑誌のこの部分の全体コピーを載せておきます。