アベノミクスは成功か失敗か? 2010年代中盤には、成功と評価する声が多数でした。しかし現在、アベノミクスは失敗だとささやかれています。
アベノミクスは、どうして失敗と評価できるのか? そしてなぜ失敗したのか?
アベノミクスが失敗した原因は、たった1つです。
緊縮財政をしてしまったからに他なりません。一番マズかったが、消費税増税です。
アベノミクスをどのように評価し、失敗の原因がなんだったのか? を解説します。
アベノミクスとはなにか?
- 異次元の金融緩和
- 機動的な財政政策
- 民間投資を喚起する成長戦略
アベノミクスの定義とは、上記3つの政策になります。それぞれ簡単に、どのような政策がとられたのか解説します。
異次元の金融緩和
異次元の金融緩和は、端的に言えば日銀がお金を発行するという政策です。民間銀行から国債を引き受けて、その額と同じだけのお金を発行して当座預金に振り込む形になります。
お金を発行すればお金の量が増えて、貨幣価値が下がる=インフレになると期待された政策す。
機動的な財政政策
機動的な財政政策は「機能的な財政政策ではない」という点に注意しましょう。2013年当初は積極財政を意味していましたが、2014年以降は「小回りがきく財政政策」程度の意味になりました。
民間投資を喚起する成長戦略
成長戦略は基本的に規制緩和と構造改革が柱です。民間投資を喚起するといいつつ、レントシーキングまがいのことも行われています。水道事業民営化やカジノ法案などがそうです。
アベノミクスが成功したとされる事例への反証
成功か失敗かは何で評価するべきか?
アベノミクスはどのようにして、成功か失敗かを評価するべきでしょうか。評価の基準としてふさわしいのは、当初の目的を達成したかどうか? でしょう。
アベノミクスの当初の目的はデフレ脱却です。従ってデフレを脱却したかどうか? によって、評価されるべきでしょう。
アベノミクスが成功したとされる根拠
- アベノミクスで株価が2倍に!
- 円安で輸出企業が最高益に!
- デフレを脱却しつつある!
- 賃上げを実現した!
- 失業率を減少させ有効求人倍率が増えた!
- GDPが増加した!
アベノミクスが成功したとされる根拠として、上記の事例が引き合いに出されます。しかし「アベノミクスという経済政策によって、日本経済のトレンドが変化したのかどうか?」が重要です。つまり「アベノミクスをしてなくても、上記6つの事柄が起きた可能性が高い」のなら、アベノミクスの手柄ではないことになります。
アベノミクスは経済トレンドを転換させたか?
よくアベノミクスで引き合いに出される失業率の低下、有効求人倍率などのトレンドの転換点は2010年です。銀行貸し出しDI――要するに銀行が貸し出しをしたいか渋っているかの指標――の上昇も同様です。
また輸出企業の収益は世界経済の好調が原因であり、アベノミクスだけが原因とはいえません。賃金についても、実質賃金はむしろ低下しています。
アベノミクスの成果と胸を張っていえるのは、せいぜい円安くらいなのです。
2013年以降のマシな景気や経済は、リーマンショックからの自律的な回復と世界経済の好調によるところが大きいです。アベノミクスを実行していなかったとしても、同じような状況になっていたと判断可能です。
その証拠に2019年から世界経済の好調が崩れ始め、それに倣うように日本経済は景気後退がささやかれ始めました。つまり日本経済は、外需の好調によって支えられていたことが明白になったのです。
またアベノミクスは、デフレ脱却に失敗しています。「脱却しつつある」とは「まだ脱却できていない」ことと同義です。
アベノミクスが失敗する構造的なたった1つの理由
上述してきたとおり、アベノミクスは少なくとも成功とは言いがたいでしょう。一方で失敗といえる根拠は多くあります。
- 実質賃金が民主党政権より下落した
- デフレ脱却できていない
- 日本を外需依存の構造にした
内需が伸びないので、3.の外需依存に陥ることになります。つまり「国内でものが売れないから、外需を取りに行くしかない」という構造です。
では内需が伸びないのはなぜか? 実質賃金の下落や、デフレのせいです。どうしてデフレを脱却できず、実質賃金も下落したのか? 消費税増税を行い、緊縮財政を続けているからに他なりません。
アベノミクスが失敗したたった1つの原因は、緊縮財政です。具体的な政策でいえば、消費税増税が最もダメージを与えました。
2019年10-12月期のGDPは、6.3%減という結果になりました。これはリーマンショックの5.4%減より、ひどい数字です。しかもリーマンショックはダメージを受けた翌年、反動でGDP増加が見込めます。実際に2010年から、失業率などの経済指標が転換しています。GDPも4.2%成長しました。
しかし消費税は、そうではありません。リーマンショック級のダメージを、消費税が上がったその日から永続的に受け続けるのです。したがって諸費税増税の翌年に、反動でGDPが成長するなどということもありません。
緊縮財政さえなければ、アベノミクスは成功していた
アベノミクスの水道事業民営化など、規制緩和にはうんざりです。しかしそれでも、緊縮財政さえしなければアベノミクスは成功していたに違いありません。
2014年、2019年の2度にわたる消費税増税がなければと、想像してみてください。実質賃金は下落どころか増加していたに違いありませんし、個人消費も上向いていたでしょう。内需は確実にいまより、旺盛になっていたはずです。
アベノミクスが失敗した、たった1つの原因。それは緊縮財政をしてしまったことだったのです。
お邪魔いたしますです。
おいらも、アベノミクスは失敗だと思うです。で、新しい疑問です。
>アベノミクスが成功したとされる根拠
2、円安で輸出企業が最高益に!
これって、生産性の差=他国との物価の差で、輸出が有利になってるのでは? って考えてるです。
逆に、輸入品が割高になっていって、コストプッシュインフレが起こりやすく・・・もう、なってるですかね。
デフレ圧の高い政策ばかりだったのに、経済政策を打ち出したのは、さすがにまずいって事かなとも考えてるです。