杉本五郎中佐遺著『大義』|解説 第四章『神国の大理想』 八紘一宇と「人類みな兄弟」

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宮崎市の平和台公園、八紘一宇の塔
(撮影&投稿者:Sanjo)

引き続き、戦前日本のベストセラー『大義』(杉本五郎著)の解説連載第5回です。 今回は第四章「神国の大理想」です。現代語での大意を示したうえで、これを現代に生かすべく、私なりの解釈・解説を行います。原文はこちらの「大義研究会」のサイトでご覧ください。

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第四章「神国の大理想」前半の大意

「養正ノ心ヲ弘メ、六合ヲ兼ネテ都ヲ開キ、八紘ヲ一宇トナサン」
(正義を養う心を広め、国内を統合して都を開き、天下を一つの家としよう)
という神武天皇の大宣言、
「四方ヲ経営シ万里ノ波濤ヲ拓開シテ、天下ヲ富岳ノ安キニ置カン」
(国内をしっかりとつくり固め、荒海の彼方を切り開き、天下を富士山のように盤石安泰なものとしよう)
という明治天皇の大信念は、どちらも神国日本の建国以来の大理想である。

あらゆるものが心服してやまない、天皇の真の御姿をこの世に現出させることこそ、人類救済の根源である。
八紘一宇(世界はひとつ屋根の下)の大理想実現の前に、まずは国内で、天皇の真の御姿を現出させようとせねばならない。これができなくては、神国も人類救済もあったものではない。天皇に帰一し奉れ。

けれども全員がそうするのが困難なことは今さら言うまでもない。各分野において権威ある者、要職にある者が、君臣一体を真に理解するならば、(その体験に程度の差はあっても)燎原の火のように国内に広がること、すなわち、程度の差はあっても、誰もが天皇を敬い申し上げるようになることは明白である。

いや、楠木正成公が笠置山において
「正成一人だに生きてありと聞召さば、聖運必ず開かるべしと思召し候へ」
(正成だけでも生き残っている限り、天皇陛下の将来は必ず開けるとお考えください)
と奏上したことを考えるとよい。一人で十分なのだ。一人でも大透徹するならば、その炎が国民すべての尊皇心を燃え立たせてしまう。

その身はすなわち神国、心はすなわち天皇の大御心、その足下は高天の原、大理想の実現に向かって堂々と進もうではないか。

(解説)禁断?の言葉「八紘一宇」

禅語、仏教用語を扱った第三章と違って、この第四章は割とわかりやすいかと思います。

まず最初の神武天皇の宣言。これは日本書紀に書かれています。日向の国から東征、大和の国を鎮定し、都を定めるにあたって出された詔勅の一部分です。ここから「八紘一宇」という標語が生まれています。

この「八紘一宇」は、敗戦後すぐに「軍国主義、過激ナル国家主義ト切リ離シ得ザル」語として、GHQによって公文書や教育での使用が禁じられました。そのため、現代の辞書では「大日本帝国の海外侵略を正当化するためのスローガン」などと書かれています。かの中曽根康弘元総理も「戦争前は八紘一宇ということで、日本は日本独自の地位を占めようという独善性を持った、日本だけが例外の国になり得ると思った、それが失敗のもとであった。」などと発言したそうです(昭和58年1月衆議院本会議)。

(解説)「八紘一宇」=「universal brotherhood」(人類みな兄弟)

しかしながら、本当のところはそうでない。
天皇の願いである「人々の安寧と世の平和」を世界に広め、「世界はひとつ屋根の下、ひとつの家族のように仲良く生きる」ことを求めるものです。

かの極東軍事裁判においてすら、「making the world one home」(世界を一つの家族にする)あるいは「universal brotherhood」(人類みな兄弟)と英訳されていますし、その判決文においては……

最も注目すべきは判決文である。判決は「八紘一宇」は「帝国建国の理想と称せられたものであった。その伝統的な文意は、究極的には全世界に普及する運命をもった人道の普遍的な原理以上の何ものでもなかった」と明言している

産経ニュース 平成27年4月3日「三原じゅん子の「八紘一宇」発言 その本義とは…」大原康男国学院大名誉教授 https://www.sankei.com/column/news/150403/clm1504030001-n1.html

イギリス、アメリカ、オランダ等の白人国家に搾取されてきたアジアを解放すること、「universal brotherhood」(人類みな兄弟)の実現を目指して戦った杉本中佐をはじめとする先人たちが胸に刻んだ言葉。 勝者である連合国/GHQによって禁じられたからといって、まるで「汚れたもの」のように捨て去ってよい言葉ではないはずです。

(解説)「億兆安撫国威宣揚の御宸翰」

続いて明治天皇の「四方ヲ経営シ万里ノ波濤ヲ拓開シテ、天下ヲ富岳ノ安キニ置カン」ですが、 こちらは明治元年3月14日、五箇条の御誓文と共に出された「億兆安撫国威宣揚の御宸翰」の一節。五箇条の御誓文は皇祖神に誓うものであったのに対し、「御宸翰」は国民に向けてのお言葉となっています。

この中の「万里ノ波濤ヲ拓開シテ/荒海の彼方を切り開き」について、
「海外侵略、アジア植民地化の野望を吐露している!」
と受け取る人もいるかもしれませんが、それは違うと思います。

「御宸翰」では、この一節に先立って
「各国四方に相雄飛するの時に当り独り我邦のみ世界の形勢に疎く(中略)遂に各国の凌侮を受け上は列聖を辱しめ奉り下は億兆を苦しめん事を恐る」とあります。

欧米列強が世界の海を舞台としてしのぎを削っている時に、江戸時代までの鎖国状態を続けていたら、列強の圧迫を受け、人々が苦しむことになる。そうならないために海外へ出るのだ、と少なくとも解釈すべきです。

さらに言えば、それでも不十分。
「御宸翰」の言葉は神武天皇以来の大理想の反映でもあるのですから、「八紘一宇」の志を含んでいる。「世界はひとつ屋根の下、ひとつの家族のように仲良く生きる」という理想を海外にも広めよう、ということ。それでこそ、「天下ヲ富岳ノ安キニ/世界の平和が盤石なものに」できる。

『大義』では割愛されてしまっていますが、実は「御宸翰」では「万里ノ波濤ヲ拓開シテ」の後に「国威ヲ四方ニ宣布シ/日本の威光を世界に広げ」とあることもその証。

国威とは天皇の御威光であり、それすなわち
「神の境地で人々の安寧と世の平和のために尽くす」という天皇の大御心、そしてその実現のために働く国民の努力(意識的でないものも含む)によって形成されるものです。

その後の日本による台湾・朝鮮・満洲統治が欧米の植民地統治に比べて圧倒的に人道的(もちろん、完璧なものではありませんでしたが)だったのは、このような思想基盤があったからでしょう。

(解説)天皇の真の御姿とは?

さて、その国威に重なるのが「天皇の真の御姿」ですね。 天皇とは「我執を持たず、太陽のような慈悲の心で人々の安寧と世の平和のために尽くす」お方です。お天道様の境地に立とうとされている。

「天皇の真の御姿」を現出させるには、「天皇に帰一する」すなわち、
私たち国民が天皇を敬い、大御心を自らの心として「人々の安寧と世の平和」のために尽力する必要があります。
天皇と国民が「君民一如」「君臣一体」となって理想に向かって進む姿、
これが「天皇の真の御姿」ということです。
そうしてこそ、「八紘一宇」実現にも向かうことができる。

ところが現状はどうか。「天皇の真の御姿」顕現の基礎たる国力がどんどん弱められています。

(解説)日本を良い国と思うなら

三原じゅん子議員はじめ、自民党には「八紘一宇」の意味を正しく捉えようとする政治家は割とおられるのではないかと思いますが、それならば、まずは我が国の現状を虚心に省みていただきたい。
ほぼ自民党が政権を担ったこの30年、国内において貧困層増加・格差拡大がどんどん進んでしまい、「今だけ カネだけ 自分だけ」の世の中。日本人同士ですら「家族/兄弟姉妹」として落第です。

その原因といえばデフレによる一般国民の所得減少、そしてそのエンジンであるプライマリーバランス黒字化・緊縮財政であることは明らかなのですから、そんなものは捨て去って、積極財政による所得向上および関連する法規制強化に邁進し、「八紘一宇」実現への一歩を踏み出してほしいものです。

建国の理想である「人類救済」もまた、その延長線上にある。天皇のもとに国民が心と力を合わせたとしても、現在のように国力が衰退していくようでは(他国に比べて経済成長できていない。かつてアメリカの2/3ほどあった名目GDPが、今やアメリカの1/4、中国の1/3)、「天皇の真の御姿」を世に示すことはできない。他国から見て、手本になるどころか侮蔑の対象となりかねません。誠に申し訳ないことに、今上陛下の即位の礼にあたって参列した各国来賓は、前回、30年前の上皇陛下の際に比べ、格が落ちてしまっています

日本は良い国であると思う人、日本に生れてよかったと思う人、日本が世界に類例のない偉大な国であってほしいと思う人。そのような人は現政権、与党自民党および公明党の政策の数々を容認できないのが自然です。

「自由貿易、規制緩和、緊縮財政」というグローバリズムのトリニティ(三位一体)を眼目とする政治を容認することは、今や天皇陛下の願いを足蹴にするも同じ。憲法改正や高い株価、韓国に対する厳しめの姿勢といった看板に目を眩ませられてはなりません。(しかも憲法改正案には財政均衡の義務化という毒薬条項が入っています。)

大切なのは天皇の願い、「八紘一宇」「人類救済」実現に我が国が近づいているかどうか、それが判断基準です。

次回は第四章「神国の大理想」後半です。

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