ネトウヨ、ルサンチマン、自己責任論とウィークネスフォビアの考察

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 先日、拙ブログにて書いたルサンチマンの意味と原因とは?自己責任論もルサンチマンが原因ですが、何かまだ足りない。そう直感してました。
 書いたあとに、ルサンチマンの原初たる「嫉妬」を考えてました。

 上記の稿で、プロフェッサーカオスさんからコメントを頂きました。そのコメントで「思考がつながった!」と直感しました。

 ルサンチマンとネトウヨ。深い関係があります。もちろん、一般の日本人やネトサヨなどもです。
 社会にはびこる自己責任論。弱者叩き。そしてウィークネスフォビア。
 これらは、どのように繋がり、形成されるのか? 考察します。

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ルサンチマンと嫉妬

 ルサンチマンとは、嫉妬ややっかみです。

 では嫉妬とは?
 嫉妬するためには、優越感がまず必要になります。「あいつより、俺のほうが上」という優越感がないと、嫉妬はできません。
 例えば「恋人を寝取られた! Shit!」も、「他人より自分のほうが、恋人に愛されている」という優越感がないと嫉妬できません。

 では他人への優越感は、何から生まれるか? 自己絶対化です。「自分は間違っていない」「負けてないはずだ」「あいつより上だ」etc……。すべて語尾に「はずだ」が付きます。
 優越感が裏切られたとき、人は嫉妬し、ルサンチマンを抱くのです。

 宗教的にいえば、超越的ななにかに出会わず、自己万能感を抱いている状態。自己相対化ができていない状態、と言えます。
 この状態を「大人になりきれていない思考(ピーターパン症候群的思考)」と、本稿では表現します。

ウィークネスフォビアという弱点恐怖症

 フォビア(phobia)とはなんでしょう? 日本語では「恐怖症」と訳されます。ウィークネス(weakness)とは、弱点や欠点です。
 ルサンチマンを抱くピーターパン症候群的思考では、優越感こそが自己絶対化を支えます。
 したがって「弱点などあってはいけない」のです。

 「弱点などあってはいけない」ので、「弱点の多い弱者」は「自己責任」という思考経路になります。弱者は「非難されても当たり前」という、歪んだ結論にルサンチマンはたどり着きます。

 またウィークネスフォビアは「弱点を見せるほうが悪い」ともなります。芸能人のスキャンダルなどに、嬉々として非難を浴びせるのは「強者を引きずり下ろすチャンス」だからです。

 自己絶対化は、自己無謬化でもあります。したがって、デマかどうか? なども気にしなくて良い。なぜなら「自分は間違わない(はず)」だからです。

ネトウヨという現象を、ルサンチマン・嫉妬考察で分析する

 ネトウヨとは、自らの弱さを「愛国という、権威との一体化」で覆い隠そうとします。
 これまでの分析にも、よく当たります。

  1. 自己責任論を振り回すネトウヨが大半
  2. 事件になるほどのデマをネトウヨは撒き散らした事実
  3. 屁理屈と詭弁で、マウントを取りたがる
  4. 数々のコメントに見られる、幼稚な思考
  5. 愛国で覆い隠すウィークネスフォビアと、攻撃性の顕著化

 炎上なども、ほぼ一緒の現象です。
 統計や研究によれば、極論や炎上は「ネット上の0.5~数%によって引き起こされる」のだそうです。

 優越感を持つことでしか、自己を保てない。そういった人は、数%ほど存在するのでしょう。

 ネットはある種の「ルサンチマンや嫉妬の増幅器」とも解釈できます。
 もちろん、真実性のある言論も増幅するでしょうが……。

メディアで囁かれる「不寛容な社会」の到来

 上述してきた構造で、ルサンチマンは増幅されます。またルサンチマンの増幅とともに、自己責任論はますます蔓延するでしょう。
 優越感と嫉妬、ウィークネスフォビアの蔓延です。

 メディアで囁かれる「不寛容な社会」の到来です。

 この問題に、新自由主義も関連しています。
 なぜなら、新自由主義とは「弱肉強食」のイデオロギーだからです。

 新自由主義が浸透すればするほど、人びとはウィークネスフォビアに陥るでしょう。よってルサンチマンも、増幅するはずです。

 古谷経衡さんは「ネトウヨは、衰退していく」と分析します。しかしネトウヨを社会現象と捉えるならば――愛国主義かどうかはともかく――似たような現象は、増大するのではないか?

 例えばアメリカのトランプは、SNSで支持され当選しました。イギリスのブレグジットでも、SNSの果たした役割は大きかったようです。
 SNSが世論を、動かしたのです。
 したがってネトウヨ的現象も増加、増大していくのでは? と考えます。

 ルサンチマンの増大は、社会に何をもたらすのか。
 最終的には全体主義ではないだろうか? と思います。

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Muse
4 years ago

今回の記事を読むと、ルサンチマンとウィークネスフォビア、自己責任論、不寛容の精神そして新自由主義といった5つのキーワードが密接に関連していることがわかります。しかも、この問題は個々人の性向というミクロレベルから社会全体の風潮というマクロレベルまで及んでおり、到底一筋縄では行かない問題だといえます。

本稿では、一見、いわゆるネトウヨを主に槍玉に挙げているように見えますが、”ネトウヨ的現象”は多かれ少なかれ現代日本社会全体に蔓延している。この記事を読んだネトウヨ達が「また、自分たちを攻撃している」と文句を言ってきそうですが、上記の5つのキーワードのうち後ろの3つは、いわゆる上級国民、富裕層、勝ち組エリートと称される人間達の思想信条でもある。Twitterで不届きな言動を繰り返すホリエモンこそが彼ら(つまり勝ち組)の本音を代弁しているといえますね。

自分から言わせれば、ネトウヨだけでなく、いわゆる”勝ち組”(もちろん例外もいるが)をはじめ、自分よりもさらなる弱者(例えば生活保護受給者など)をバッシングするワーキングプア等を含め、およそ自己責任論と不寛容の精神で凝り固まっている連中はみんな人間のクズです。情弱のネトウヨだけならまだしも、こいつらを含めたクズどもが社会にうじゃうじゃいるから、あのどうしようもない安倍クズ政権がいつまでも続いている。本当に今の日本は、上から下までクズだらけ。「日本死ね!」とでも言いたくなる気持ちも分かりますね(笑)。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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