ベーシックインカムは公共投資拡大の弱点を補うためにこそ実現すべし。
大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2019年8月8日(令和元年8月8日)
ベーシックインカムを論ずる場合の前提条件
本日は、ベーシックインカムを肯定する記事を書きたいと思います。
何卒最後までお付き合いいただければ幸いに存じます。
まず、ベーシックインカムを論ずる場合の前提条件を明確にしたいと思います。
この記事におけるベーシックインカムとは、社会保障などを一元化するものではなく、社会保障などとは別に基礎的な所得を日本国民に配る直接給付政策とします。
1、社会福祉(年金、雇用保険、健康保険etc)を一元化して、ベーシックインカムとして給付する議論(社会福祉の現金化と一元化タイプ)
参考記事:ベーシックインカム議論のポイント-通貨・技術・労働の意味
2、負の所得税として、低所得層に現金を給付する議論(貧困層補助タイプ)
3、社会福祉とは別に、積極財政として給付する議論(積極財政タイプ)
ヤン様(高橋様)のブログ記事から一部引用させていただきましたが、私の主張するベーシックインカムとは3の積極財政タイプと言えます。
さらに付言するならば、ベーシックインカムを導入するのは我が国日本です。
日本国民に対して、銀行口座を申告してもらい、その口座に銀行預金を振り込むという形式にします。
日本国民に対して、年間100万円(月額8万円程度)を配るものとし、デフレ脱却してインフレ経済下になったとしても、ベーシックインカムの金額は増えません。
ベーシックインカムに年齢制限は無く、所得制限もありません。
ただし、犯罪行為をして有罪が確定した場合においては、支給を停止します。
財源に関しては、すべて国債発行で賄います。
我が国日本のように、自国通貨を持ち、自国通貨建て国債を発行できる政府には財政的な予算制約は存在しません。
以上、この記事を説明する上での前提条件を提示しました。
※この前提条件に関する批判も是非お願い致します。
ベーシックインカムは勤労所得が得にくい人々を救う
ベーシックインカムの最大の利点とは、働きたいけど働けない人々を相対的貧困から救うことが可能になることです。
例えば、シングルマザー(シングルファザー)がこれに該当します。
シングルマザーも能力が高い人がいらっしゃいますが、特に小さいお子さんを育てている場合ですと、突然熱を出したり、突発的な病気などで出勤することが難しい場合があります。
シングルマザーが突然仕事を休むとなると、雇用主としては(悪意が全くなく、思いやりが溢れていたとしても)シングルマザーを雇うのに抵抗を覚えます。
民間企業でいきなり休んでも問題ないのは一部の大企業だけでしょう。
仮に雇う場合でも、いつ休まれても大丈夫なように正社員や重要なポジションではなく、非正規雇用や重要ではないポジションに据え置く可能性が高くなります。
そうすると必然的に労働という行為で、所得が得にくい境遇に陥ります。
少々古い統計ですが、上記を見てご理解いただけるのではないでしょうか。
正規給与所得者と非正規給与所得者を比較すると、非正規給与所得者は圧倒的に給料が低く、正規給与所得者と比べて、給与が4割未満なのです。
さらに付言するならば、高齢者で体が思うように動かせない方々、障害をお持ちの方、元気に働いていたが、うつ病になってしまった若年層など、様々な理由で働けなくなった方々がいらっしゃいます。
そういった方々を一括して、無差別に救うことができるのがベーシックインカムなのです。
お金があれば幸せになるとは限りませんが、不幸から身を守る盾になることは断言します。
ベーシックインカムの失敗例を学ぶ
南太平洋に浮かぶ島に、ナウル共和国という国家がございます。
人口は1万人に満たず、国土面積は21㎢程度です。
19世紀後半から始まったリン鉱石の採掘で莫大な収入が存在し、税金なし、医療・教育無料、年金保障など手厚い社会保障が存在し、ベーシックインカムが導入された国家です。
ナウル共和国の国民においては勤労意欲が失われ、失業率が90%を超えました。
リン鉱石が枯渇し始めると基本的なインフラを維持するのでさえ困難な事態にまで陥りました。
食料は輸入に頼っています。
そのほとんどが缶詰になります。
率直に申し上げれば、典型的なベーシックインカムの失敗例であると言えます。
我々は失敗例から多くのことを学べるはずです。
ベーシックインカムが成り立つ条件
上記のナウル共和国の失敗例を見て、ベーシックインカムが成り立つ条件をいくつか挙げさせていただきたいと思います。
1、国民生活を営むための物やサービスの大部分を生産できるだけの供給能力
2、勤労意欲の高い国民
3、ベーシックインカムの支給額が最低限度の生活を維持する金額であること
1つ目の条件について説明します。
ベーシックインカムが導入され、国民にある一定金額のお金が渡されたとしても、国内で消費されるのか否かは決定的に重要だと思います。
海外からすべて輸入するということになれば、自国通貨売りの外国通貨買いが発生するため、通貨価値が急落してしまいます。
自国通貨価値の急落により、どんどん輸入価格が上昇してしまい、最終的には海外輸入が事実上できなくなります。
価格が高過ぎて、購入できないような状態に陥ります。
そうすると、ベーシックインカムが事実上無意味になってしまいます。
お金を直接配ったとしても、それで物やサービスを購入しにくく(できなくなる)なるからです。
ベーシックインカムを導入するのであれば、その国家に多様な産業が存在し、自国民の需要を満たすだけの供給能力を保持していなければなりません。
2つ目の条件について説明します。
ベーシックインカムを導入したとしても、そのお金で物やサービスが購入できなければ意味がないということは物やサービスを供給する生産者が必要不可欠です。
したがって、勤労意欲に溢れ、ベーシックインカムだけではなく、労働によってもっと豊かになりたいと願う国民が多いと、好循環になります。
ベーシックインカムによる消費増により、物やサービスが沢山売れる、所得と雇用が生まれる、所得と雇用が生まれることによりさらに消費が増えるというインフレ・スパイラルに突入します。
3つ目の条件について説明します。
ベーシックインカムとは、最低限の所得保障ですから、本当に最低限の金額に抑制しなければなりません。
仮に、我が国日本において、月当たり200万円のベーシックインカムを支給したら、自発的失業が多発することは必定です。
であるならば、年間100万円の最低限の所得を保障して、勤労意欲を失わないレベルの支給額に留めておくのが妥当かと存じます。
勤労意欲を失ってしまったら、ベーシックインカムを利用して手に入れる物やサービスが供給されなくなるということにもなりかねませんし、公務員まで辞められてしまっては国家が機能不全に陥ります。
公共投資による乗数効果では弱者を救えるとは限らない
私はベーシックインカムだけではなく、国土強靭化計画にも大賛成であり、公共投資拡大を積極的に支持しています。
デフレ脱却とインフラの老朽化を同時に達成できる国土強靭化は是非とも行っていただきたい政策の中の一つです。
ただ、公共投資の拡大にも弱点があります。
公共投資による乗数効果では弱者にお金が行き渡らない可能性が高いのです。
乗数効果を簡潔に説明すると、公共投資を拡大する場合、公共投資を受注した企業だけではなく、それ以外の民間企業も仕事が増えて、所得が増えるということです。
政府支出を増やした場合、政府から直接仕事を受注した企業だけが潤うということはあり得ません。
例えば、日本政府が公共投資をする場合、土木関連会社や資材販売会社など、土木に関連する会社には政府から支払われたお金が行き渡りやすいと思われます。
土木作業員がお昼ご飯のときに、作業場の近所の定食屋さんに連日詰めかけたら、その定食屋さんは儲かるでしょう。
ただ、シングルマザーにはその恩恵は行き渡りにくいのです。
その定食屋さんでシングルマザーが働いていたとします。
その場合であっても、急に子供が熱を出してしまったら看病しなければなりませんし、病院に連れていかなければなりません。
その日、その時間は時間給が発生しないため、所得を得ることは難しくなってしまいます。
また、高齢者にはその恩恵は行き渡りにくいのです。
高齢者なので、体が弱く、長時間働けませんし、そもそも高齢者を雇う民間企業も少ないのが現状です。
つまり、労働によって所得を得にくい方々には公共投資での所得増は起こりにくいと言えます。
経済政策において、本当に救いたいのは、労働すら難しい弱者です。
その弱者を救うことが公共投資などでは難しいのであれば、直接給付という方法を採用すべきです。
ベーシックインカムでハイパーインフレは発生するだろうか
日本国民の1億2500万人に年間100万円のベーシックインカムが支払われると、年間では125兆円の財政出動となります。
限界消費性向は0.5とします。
増えた所得の内、50%は消費や投資に充てられると仮定するならば、62.5兆円の財政出動と同じだけのインパクトを日本経済に与えることができます。
インフレ率は年率2%は超えると思いますが、年率10%は超えないと予想します。
ハイパーインフレは年率1万3000%以上ですから、ハイパーインフレにはならないと予想します。
デフレで苦しむ国家で、ハイパーインフレを心配するのは杞憂です。
ベーシックインカムで爆発的に増えた消費で、民間の所得と雇用が増えるため、所得税と法人税による景気の自動調節機能(ビルトインスタビライザー)が働き、自然に景気過熱を抑制することになるでしょう。
さらに付言するならば、ベーシックインカムが導入されたら、経営者は設備投資を決断し、供給能力の増強に邁進するでしょう。
需要が爆発的に増えるのですから、その需要を掴み取れるだけの供給がなければ、資本主義社会で敗北すること確定です。
そうやって、供給能力が強化されれば、長期的にはインフレが鎮静化するのは道理でしょう。
一般物価は需要と供給のバランスで決まるので、需要が増えた分に対応するように供給が強化されれば、過度のインフレ(年率10%以上)は発生しません。
総括:現代日本であれば、ベーシックインカムを肯定してもいいのでは?
先日のベーシックインカムを否定する記事がございましたので、肯定する記事もあった方がよろしいのではないかと思い書かせていただきました。
ベーシックインカムを肯定する意見もありますよ? という意見表明であるとご理解いただければと思います。
ちなみに、私はリフレ派ではありません。
超・積極財政派であり、公共投資を大規模に実行し、富国強兵に邁進し、弱者を可能な限り救うことこそが我が国日本に必要なことだと考えています。
ある意味、究極の経済ナショナリストです。
政治家がもっと日本経済の供給能力を信じ、弱者の存在を認め、惻隠の情を持っていてくれればと思いますが、現状では難しいのでしょうね( ;∀;)
実は上記で記述したこと以外にも、ベーシックインカムの利点はあるのですが、それはまたの機会に。
以上です。
御提案に賛同します。
普段から、
「保守は嫌韓ばかりに熱中するな」、
「庶民の生活に温かい眼差しを向けるのが真の保守」
と放言する論者なら、まさか、本稿の提案に反対することはないと思います。
国富たる供給力を強靭化する公共投資も善し、国民を生活困窮から救う直接給付も善し。
国民が安心して仕事に励むことができ、カネの心配をせずに安寧に暮らすことができる社会の構築に役立つのなら、手段の清濁に拘らず、どんな政策でもやるべきです。
うずら様へ
コメントいただき、誠にありがとうございます。
コメントが少なくて寂しい思いをしていたところです。
容赦ない批判を覚悟していたのですが・・・
感謝の思いで一杯です。(*‘ω‘ *)
>>国民が安心して仕事に励むことができ、カネの心配をせずに安寧に暮らすことができる社会の構築に役立つのなら、手段の清濁に拘らず、どんな政策でもやるべきです。
私もそのように思います。
プラグマティズムというやつでして。
コメントいただければ、できるだけ返信するようにします。
今後ともよろしくお願い致します。
自分も賛同しますが全て国責で賄うはちょっと、ベーシックインカムを実現するなら年金と生活保護を無くし所得税を増やしあるそこは最低賃金アップ等で低所得者に感じさせない程度、自分的にはベーシックインカムで働く人は減る可能性としては共働きの人が専業主婦、もしくは生活が苦しく子供を産めずにいた夫婦が子供を産むと言う選択肢が増えるので幾つかの他の政策も解決を考えるべきかと思っております
名無し様へ
コメントをいただき、本当にありがとうございます。
まずは、日本語のお勉強を頑張ってください。
その後、再度コメントしていただければ、お答えしたいと思います。
以上、よろしくお願い致します。
すいません誤字が目立ちますが言いたい事はわかって頂けたかと
だいぶ消されてますが色々書いたので誤字目立つのだけ残したかなw
下手な日本語なのですがもう一つだけ質問させて下さい。刑務所から出た人はろくな働き口はありません罰と考えてベーシックインカムを止めるとの事になるとお金が無くなりまた再犯って事が多くなります、結局やり直したくとも犯罪に走る人もおると思いますがベーシックインカムを支払いを止め生活保護もその用な状況になりますと難しく貧困層をお金を払い救うとは治安を守ると言うメリットもあると思います。刑務所から出ても結局暮らせず結局万引きなどで何度も戻ってる人を知っていますそんな奴に税金使うのは勿体無いって気持ちも凄くわかるのですが結局の所刑務所に入れれても刑務所は満員状態ですし税金も結局かかるのです。それでもベーシックは止めるべきとお考えになりますか?
名無し様へ
コメントいただきありがとうございます。
内容が理解できるような日本語で記述いただきありがとうございます。
以下、回答させていただきます。
結論から申し上げれば、私の説明不足により誤解を与えてしまったようです。
>>ただし、犯罪行為をして有罪が確定した場合においては、支給を停止します。
上記の書き方だと、有罪が確定した後、未来永劫停止するという受け止め方をされても仕方ないですね。
この件に関しては私の説明不足でございました。
大変失礼しました。
犯罪行為が確定して、執行猶予もしくは懲役刑になった場合において、
その期間中はベーシックインカムの支給を停止するべきと考えています。
例えば、ある日本人が刑法などに違反したため、懲役5年の判決が出て、
5年間服役したとします。
その5年間はベーシックインカムは貰えませんよということです。
服役後、社会に復帰して真面目に働くためにもまずは手元にお金が無いと
厳しいと思いますし、お金がないと再犯確率が高まってしまいます。
そのため、服役後はベーシックインカムの支給を再開するべきと考えます。
ここで強調しておきたいのは、犯罪行為をせずに、
真面目に働いた方がベーシックインカムを受け取る総額が大きくなるということです。
犯罪行為に手を染めてしまうときに、その人の脳裏にベーシックインカムが貰えなくなるという
直接的デメリットが浮かべば、それなりの犯罪抑止効果があるのではないかと。
※もちろん、ベーシックインカムは万能ではございませんので、限界はあると思いますが・・・
最後になりますが、8月22日にベーシックインカムの記事を出します。
コメントください。
あなたのような方のコメントは何よりも励みになります。
※できれば誤字脱字は少なめでお願いしますね(#^^#)
以上、よろしくお願い致します。
ご返事ありがとうございます、スマホ馴れがまだあまりしてないので良く打ってて無かったりがあります😅言われる通りに勘違いしてましたね。刑期中は当然止まると言うかそれで刑務所の生活費賄うと当然的に思ってましたので
私は年間144万円程度の支給を所得税の累進性を強化して捻出すべきだと考えています。これにより、社会保障費の一元化、年金制度の転換(生活の保障ではなく豊かな老後のための年金)、少子化対策(子供を作ると家計が豊かになる)格差の是正、ブラック企業の駆逐(働かなくても生きていけることによって労働力は売り手市場になる)差別緩和(社会保障の一部は特権とみなされしばしば差別攻撃の対象となる)。
問題点はGDPの低下、そして労働を義務としている日本国憲法においては違憲であるため、憲法改正が必要なこと。ただ、GDPが国民を幸せにするかと言うと疑問ですし、労働を義務とすべき価値観はもはや古く、それぞれが多様な幸せの追及をしても良い時代だと思います。
田舎のおっさん様へ
コメントいただき、ありがとうございます。
>>私は年間144万円程度の支給を所得税の累進性を強化して捻出すべきだと考えています。
なぜ年間144万円なのかその根拠をお教えください。
また、なぜ財源は所得税の累進性の強化なのでしょうか。
我が国日本は財政破綻しません。
国債発行ではなぜ駄目なのでしょうか。
社会保障費の一元化に関しては、賛同できません。
社会保障費は何らかの理由があって支給されています。
それを止めてしまったら、困る人がいます。
特権的で差別的な社会保障が存在するのであれば、お教えください。
>>問題点はGDPの低下、そして労働を義務としている日本国憲法においては違憲であるため、憲法改正が必要なこと。
GDPとは国内総生産であり、直接給付政策により消費が喚起されるので、少なくとも低下することはないと思います。
相対的貧困層の限界消費性向は比較的高いと思われますので、どう考えても増えると思います。
※どれくらい増えるのかに関してはいろいろ意見はあると思います。
憲法に関しては勤労の義務はございますが、ベーシックインカムが違憲なら、生活保護も違憲になります。
ベーシックインカムは、勤労を禁じるような政策ではないので、憲法違反には該当しません。
>>GDPが国民を幸せにするかと言うと疑問ですし、労働を義務とすべき価値観はもはや古く、それぞれが多様な幸せの追及をしても良い時代だと思います。
私が主張しているのは、お金があれば幸せだとは必ずしも言えないが、不幸を防ぐ盾にはなるということです。
勤労を義務とするべき価値観は日本の美徳です。
言い換えるならば、ベーシックインカムを導入する国家にこそ必要な美徳が勤労なのです。
多様な幸せって何なのでしょうか。
相対的貧困に喘ぎ、経済大国日本に生まれた喜びを感じないまま死ぬことでしょうか。
あまりにも印象論で、論評できません。
以上です。
やる目的が結局分からない
積極財政も手段でBIも手段では?