消費税10%増税の軽減税率の対象はどうやって選ばれたのか?

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 消費税増税の軽減税率に、生理用品が入らないことがネットで話題になってます。トイレットペーパーやオムツなども、軽減税率の対象外です。

 いくつか記事を当たってみても、なぜ対象外なのか? 謎が深まるばかりです。
 一方で、必ずしも生活必需品ではない新聞は、軽減税率の対象です。

 また軽減税率の議論の当初を調べると、自民党が「大増税政党だ」ということもわかりました。
 軽減税率の不可思議な点について、いくらか解説したいと思います。

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軽減税率がなぜ、議論に上ったか?

 軽減税率はなぜ、適用されるのでしょう? どのような目的で、軽減税率は作られたのでしょう?

 なぜ軽減税率に新聞が入り、必需品の「オムツ」が入らないのか? 財務省に聞いてみた(税理士ドットコム) – Yahoo!ニュースによれば、財務省の回答は以下のようです。

  • 合理的な線引ができるか
  • 消費税の逆累進性の抑制
  • 日々の生活での利用頻度

 低所得者の負担を軽くする、というのが軽減税率の趣旨のようです。
 しかし論理的に考えれば……この趣旨は「おかしい」事に気が付きます。なぜなら、軽減税率は現行の8%のまま据え置くだけであり、逆累進性の抑制に乏しいのでは? と思われます。

 2015年当初の軽減税率議論が始まったときの、自民党の議論をフォーカスしてみましょう。

軽減税率議論当初の自民党案は「大増税」だった

 軽減税率の議論が始まった当初、自民党案は「生鮮食品のみ軽減税率」という主張でした。加工食品や調味料などは、除外されていたのです。

 具体的にはパン、そばや素麺などの麺類、各種調味料ほぼ全て、カップラーメン、お惣菜などは「対象外」だったのです。
 この自民党案は、いくつもの問題点があります。

  1. 一人暮らしで、毎日自炊をする人は3割しかいない
  2. ワーキングプアほど、自炊頻度は低くなるのでは
  3. 一人暮らしの自炊理由の7割弱が「手早く作って、節約したい」

参照:ひとり暮らし20代 自炊と調理に関する実態調査 | 象印調査シリーズ | 知る・楽しむ | 象印

 私は毎日自炊です。やはり手軽ということで、どうしても麺類などが多くなります。自炊派の中でも「お惣菜を買ってきて、ご飯と味噌汁だけ作る」なんて人も多いでしょう。

 自民党の当初の軽減税率案は、生活実態や実感を踏まえない「増税したい案」だったといわざるを得ないでしょう。

不思議と軽減税率対象品目に選ばれなかった生理用品

 毎日、一番多く使う紙は? といわれれば「トイレットペーパー」でしょう。印刷業者さんとか以外は。
 じつはトイレットペーパーは、軽減税率の対象ではありません。生理用品全般が、対象外になっています。
参照:全文表示 | なぜ生理用品は「軽減税率の対象外」なの? 消費増税まで3か月、ツイッターで話題に : J-CASTニュース

 生理用品は何をどう考えても、生活必需品です。
 財務省に取材したなぜ軽減税率に新聞が入り、必需品の「オムツ」が入らないのか? 財務省に聞いてみた(税理士ドットコム) – Yahoo!ニュースでは、財務省の回答も存在します。

「生理用品は、合理的な線引が難しい」

 とのこと。思わず「はい?」と言ってしまいました。
 そもそも電気やガス、生理用品などは記事によれば「議論すらされなかった」そうです。したがって「合理的な線引が難しい」との回答は「言い訳」でしょう。

なぜか新聞には軽減税率が適用される不思議

 軽減税率は大雑把にいって「食料品(酒類除く)と新聞」が対象です。

 軽減税率の趣旨は「低所得者の逆進性抑制のため」だったはずです。であれば「生活するために必要なモノすべて」が議論されていないとおかしいでしょう。
 ところで――新聞って生活必需品でしょうか?

 日本新聞協会によれば、活字とは「心の食料」なので軽減税率を求めていたのだそうです。
 では書籍が軽減税率の対象外なのは、なぜでしょう?

 有害図書の問題があり、線引ができないからだそうです。
 有害図書とは「性や暴力の表現で、青少年の人格形成に有害であると判断された本」だとか。

 私にはスポーツ新聞のアダルト面も、該当するのでは? なんて思ってしまいますが、スポーツ新聞も当然ながら「軽減税率対象」です。

なぜこうまで、軽減税率の理屈は矛盾を抱えるか

 政府や与党としては「増税ありき」です。自民党の当初案から察するに、本当は「おまけ程度の軽減税率で、増税したかった」のでしょう。

 軽減税率のお題目は「低所得層の負担が大きくならないため」です。
 ところが消費税そのものが逆累進性が大きいため、低所得層の負担を本気で軽くすると、税収が下がります。

 消費税は、消費懲罰という面もあります。需要を低下させる働きが存在します。
 一般的にマクロ経済を考えれば、需要減はデフレ圧力となり、国民の所得下落を促します。

 端的にいえば、消費税とは「低所得へ下落する国民を、生産し続ける税制」です。
 では「生産した低所得層へ、配慮をするとどうなるか?」は明確です。消費税の目的である「安定財源」が「不安定」になるに決まっています。

 論理的に考えれば、消費税そのものが「矛盾を孕んだ、欠陥税制である」と解釈するしかありません。
 欠陥の上に加速を積み重ねればどうなるか?

 あまり想像したくない結末が、待ち受けているに違いありません。

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Muse
1 年 前

>ところで――新聞って生活必需品でしょうか?
 日本新聞協会によれば、活字とは「心の食料」なので軽減税率を求めていたのだそうです。

でも今どき、新聞協会の言うそんな屁理屈を真に受けている人なんているんでしょうか?売上が下がる一方の新聞の更なる売上減少を食い止める(という無駄なあがきの)ために、財務省の撒いたエサに食いつき、その代償として「消費増税反対の論陣を張らない」という裏取引による動機以外には全く考えられないんですが。。。

>軽減税率のお題目は「低所得層の負担が大きくならないため」です。

しかし、軽減税率の導入は末端の消費者にとっても実質的にはほとんどメリットが感じられません。せいぜいやらないよりはマシという程度。というのも、今年の4月~6月にかけて食料品、それも生活必需品ともいえる種類のものが相次いで値上げしましたが、これは軽減税率に備えて、前もって本体価格それ自体を値上げしておこうという魂胆がみえみえです。いくら食料品自体の税率が据え置かれても、途中の流通コストは10%の税率となり、卸売業者は大損になるので、無理もないでしょう。

>論理的に考えれば、消費税そのものが「矛盾を孕んだ、欠陥税制である」と解釈するしかありません。
あまり想像したくない結末が、待ち受けているに違いありません。

こんな自明の理がわからない、あるいはわからないふりをして、消費増税を強行し、あるいは賛同する勢力(政治家、官僚、経済界、メディア、エコノミストども)と、いまだに財政破綻論を真に受け、消費増税已む無しとして政権与党に投票するような情弱民衆が、日本国家と日本国民を奈落の底に突き落とす元凶です。

当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
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