人命軽視の緊縮主義者

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“あなたにとって、命とお金、大切なのはどっち?”

この命題はかなり一般的なもので、これを調べたアンケートなんていくらでもあると思っていましたが、意外と見当たりません。

ネットでいろいろ検索したところ、12年前に北海道教育委員会が小中高校生を対象に行ったアンケートが見つかりました。

アンケートによると、「あなたは、命より大切なものがあると思いますか。」という質問に対して、 “命より大切なものがある”との回答が全体で24.6%ありましたが、その内訳をみると、「家族」や「友達」という回答が多くを占め、「お金」という下賤な回答は、小学生と高校生の一部でほんの僅か確認された程度です。

【参照先】

北海道教育委員会「「命の大切さに関する意識調査」」

http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/ssa/grp/inochihoukoku.pdf

一方、博報堂生活総合研究所の調査(2018年)によると、20~60歳代の男女を対象にした「お金について、あなたにあてはまるものを教えてください。」という質問に対して、「お金は命の次に大事なものだと思う」との回答は29.2%で、20年前からほとんど変化ないそうです。

【参照先】https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/939.html

大人になると、友達よりお金の大切さを痛感させられるんでしょうね…。

私にもその気持ちはよく解ります。

一般人の感覚だと、“命よりもお金のほうが大事だろ。いざというとき頼りになるのは、なんてったってお金なんだから”と心の中では思っていても、それを口に出すのは憚られますよね。

ですが、命よりもお金を尊ぶ緊縮主義者のような輩は、そんな常識など歯牙にもかけず、新聞という(自称)公器を悪用し、「他人の命よりもお金のほうが大事に決まってるだろっ‼」と堂々と言い放つのですから呆れ果ててしまいます。

『MMTと南海トラフ地震』(日経新聞「大機小機」 執筆者:毛毯)

MMTと南海トラフ地震: 日本経済新聞
政府の中央防災会議が、南海トラフ地震で予想される被害の最新の試算を公表した。想定死者数は、建物の耐震化が進んだこともあり9万人ほど減った。それでも最悪で23万人もの犠牲者が出るという。東日本大震災の死者・不明者の12倍強にもなる。

「政府の中央防災会議が、南海トラフ地震で予想される被害の最新の試算を公表した。

想定死者数は、建物の耐震化が進んだこともあり9万人ほど減った。それでも最悪で23万人もの犠牲者が出るという。東日本大震災の死者・不明者の12倍強にもなる。建造物などの直接損害額は約170兆円。「東日本」の推計損害額より1ケタ多い。(略)

大震災となれば、政府は災害復旧など待ったなしの財政出動を迫られる。南海トラフ級なら税収も落ち込もう。政府総債務残高が国内総生産(GDP)の2.4倍と先進国最悪の日本の財政は、いつ表面化するともしれない巨額の潜在的財政需要の”爆弾”を抱えている。

米国発の「現代貨幣理論」(MMT)が脚光をあびている。民主党リベラル派のホープとされる女性下院議員が支持を公言し、大統領選でも論点になりそうな気配だ。(略)

理論の提唱者のステファニー・ケルトン・ニューヨーク州立大学教授は、本紙のインタビューで「日本政府と日銀はMMTを実証してきた」とも語っている。

こう聞くと、国民に負担増を求めることに臆病な日本の政治家諸氏は、新理論に飛びつくかもしれない。だが、ちょっと待ってほしい。

MMTの危うさは、インフレになりかけたら、歳出削減や増税をすればよいと、いとも簡単に片付けるところだ。平時でも難題だが、緊急時にやれることではない。

MMT論者に次の2点を確認しておきたい。

(1)南海トラフのような巨額の潜在的財政需要を抱えている事情を知っても、なおMMTを勧めるのか

(2)財政赤字が増えるにまかせて南海トラフ地震に遭遇しても、財政破綻の引き金にならないと断言できるのか。(略)」

毛毯氏の主張は、

①日本財政は、政府総債務残高が先進国最悪のGDPの2.4倍に達する非常事態

②MMT支持派が、南海トラフ地震の巨額被害を理由に積極財政論を唱えるのはケシカラン

③大地震で23万人の人的被害と170兆円の経済損害が出るらしいが、税収の落ち込みによる財政破綻というリスクを回避するほうが重要

というもので、いかにも日経のコラムらしく、“人命よりも財政規律最優先”という緊縮主義者(反国民主義者)の歪み切った哲学を垣間見ることができます。

彼は、南海トラフ地震による人的・経済的被害を指して、「巨額の潜在的財政需要の”爆弾”」と表現していますが、これって、大地震により犠牲となる人命や消失する財産を“お荷物視”しているわけで、これほど薄汚く、欺瞞に満ちた鬼畜な思想を知りません。

毛毯氏はMMT批判を盾に、さも、財政再建の遅れを懸念するようなきれいごとを述べています。

ですが、彼の本音をぶっちゃけると、不幸にして、東日本大震災の十倍以上もの大被害をもたらすであろう未曽有の大震災に遭遇した人に対して、「お前らの損失を補填するために貴重な血税が使われるんだぞっ! そのせいで、財政再建が遅れるし、税収も足りなくなるじゃないか‼ この不始末をどうしてくれるんだ(# ゚Д゚)」と、眉を顰め、面倒くさそうに舌打ちしているだけです。

彼は「国民に負担増を求めることに臆病な日本の政治家諸氏は、新理論に飛びつくかもしれない。だが、ちょっと待ってほしい(*朝日新聞風*)」なんて言ってますが、ここ20年来、国民に負担を求めることに臆病な政治家なんていましたっけ???

消費増税にしろ、社会保険料や医療費負担の引き上げにしろ、年金支給条件の劣化にしろ、時の政権の連中は、平気で国民負担増ばかりを求めてきましたよね。

こういう明らかな事実を無視して、素知らぬ顔で大嘘を吐くのは、緊縮主義者の常套手段です。

他人の命よりお金優先の反国民主義者の主張には、一行目はおろか、一文字目から疑い、否定してかからねばなりません。

最後に、緊縮バカの連中に次の2点を確認しておきたいですね。

(1)南海トラフのように、東日本大震災の十倍以上にもなる甚大な被害・損害を見込む未曽有の災害を前にしても、防災ハード整備を放棄して、なお、誰の得にもならぬ財政再建とやらを優先させるのか

(2)緊縮財政を続け、我が国の防災・減災力を弱体化させるにまかせたまま南海トラフ地震に遭遇しても、多大な人命と財産被害を防ぐことができ、日本没落の引き金にならないと断言できるのか

彼らからまともな回答が返ってくるとは到底思えませんが…

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