昨今の急激な物価高により、経済感度が極めて鈍かった日本人にも、さすがに“物価高+税・社保負担高+収入安”のトリプルパンチが効いたのか、物価上昇や税負担の重さに不満を訴える声が高まっています。
そうした市政の動きに強い危惧を抱いたのか、政府や与党周辺の増税緊縮派はマスゴミを使って、“増税必要論”や“国民負担強化論”のPRに注力し始めました。
ここ最近でも、政府税調の消費税率引き上げや退職金への課税強化、国民年金保険料の納付期間延長、EV車への課税強化など、生活苦のさ中にある国民感情を思い切り逆撫でするかのごとき冷酷かつ無情な提言が立て続けになされていますね。
この手の大逆張り手法は増税緊縮派の十八番で、普通の神経なら「えっ、こんな時に増税なの?」と驚くようムリ筋なアドバルーンを平気な顔して大々的にブチ上げ、国民があっけにとられている間に、「しゃーないな。本当は税率15%にしときたいけど、今回は12%におまけしといたるわ」と増税や社保負担増を妥協させ、国民負担増という成果を少ずつ勝ち取っていく戦法です。
「ボールを思い切り遠くに投げて論点誘導し、議論の主導権を握ったうえで多少の妥協をエサに成果を勝ち取る」という単純明快なこの戦術…。
これぞ積極財政派が常用すべき戦術ですが、現実にこの戦術を多用して成果を上げ続けているのは増税緊縮派の連中なのです。
彼らは「このままでは財政破綻を免れない」、「ハイパーインフレになる」と可能性ゼロ未満のウソを堂々と吐き、論理よりも感情で国民を恫喝します。
そして、財政破綻を回避するためにはさらなる増税が~、年金破綻を防ぐためにはもっと社保負担を増やさねば~と議論のボールを大遠投し、“消費税率10%→15%へ”、“社保料負担5年延長へ”と馬鹿げた提言をすることで、議論の起点を国民に不利な地点へ大きく動かします。
この議論の起点こそが重要なのです。
本来なら、消費税率を5%まで下げる、あるいは全廃するという議論をすべきなのに、逆に税率15%への増税を認めるか否かというところまで論点をズラされ、国民はいつの間にか、“税率12%で妥協できるなら御の字”、“現行の税率10%のままなら大勝利”という心理的トリックに引っ掛かってしまっていますよね。
我が国が平成・令和の失われた30年を通じて経済敗戦を喫してきた最大の原因は、増税緊縮派の仕掛けた議論のボールの大遠投戦術に、経済無知な国民がうかうかと乗せられてきたことにあります。
このままでは増税緊縮派による増税ボールや社保負担ボールの大遠投大会を眺めながら、国民は後進国への凋落を余儀なくされるでしょう。
いまやるべきは、
- 増税緊縮派の議論には絶対に乗せられないこと
- 積極財政派から、消費税廃止・諸税の税負担軽減:社保負担全廃・BI導入・公共料金負担の軽減・教育費用完全無償化などといった大胆な提言を躊躇なくブチ上げること
です。
増税緊縮派の機先を制する形で国見負担軽減や国民所得増に直接つながるよう議論のボールを大遠投して主導権を握り、彼らを狼狽させねばなりません。
増税緊縮論に対して受け身を取ってばかりでは、この先も永遠に負担増を課され、経済的大惨敗を喫するのは間違いないでしょう。
30年も続く経済禍を大転換したいのなら、何よりも国民の利益につながる有益な経済政策を積極的に発信し提言せねばなりません。
さて、昨今の中国や北朝鮮の挑発行為、ロシアのウクライナへの醜悪な侵略・虐殺行為など、国際情勢は緊迫度を増し、我が国の防衛力や軍事力強化は待ったなしの状況ですが、これとて増税緊縮派は税負担増を国民に押し付ける好機としか捉えていないようです。
『防衛費増額「国民全体で負担を」 安定財源、増税が軸 財政審』
「財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は28日の分科会で2023年度の予算編成で最大の焦点となっている防衛力の強化を巡り議論した。委員からは、財源は「国民全体で広く負担するのが基本」として増税を軸に検討する必要があるとの意見が相次いだ。(略) 委員には継戦能力を確保するためにも借金に依存しない安定財源が必要との意見が多く、防衛費増額の財源確保には増税論議が避けられないとの見方が示された。(略)」
防衛や軍備は、国民の生命と財産を護るための最重要事項ですが、増税緊縮派は、その費用ですら“借金に依存しない”だの“安定財源だの”という屁理屈を捏ねて、間違いなく消費税や所得税増という形で国民に負担を押し付ける算段です。
財政審は防衛費は税金という安定財源で賄うべきと陳腐な提案をしていますが、ただでさえ疲弊している国民の懐からさらに税金を分捕ろうとするなんて、日本の経済基盤をさらに弱体化させ、国防に対して国民の怨嗟を向かわる“下策&愚策”でしかありません。
たかが5兆円程度の防衛費増額なら、国債発行で問題なく調達できますし、安定財源云々に拘るなら、“通貨発行”という超一級品の安定財源に頼ればよいだけのお話です。
私としては、不毛な財源論議に終止符を打つ意味でも、通貨発行による財源捻出を本気で議論すべきと考えます。
積極財政派の中でも、必要な財出予算の源を国債増発に求める意見が大勢を占めています。
日本の社会基盤や経済基盤を考慮すれば、国債増発による経済的悪影響はほぼ発生しないと思われ、私自身も国債増発による財源捻出に何ら異論はありません。
ただ、経済無学な多くの国民は、いまだに「国債=国民に課された借金」という根拠ゼロ未満の誤ったイメージを払拭できず、国債増発と聞けば、即、将来の税負担増という発想に陥りがちです。
国民の脳内は、国債と税負担とが表裏一体の関係にあるかのような誤解に占拠されており、増税緊縮派の誤誘導に容易に騙されやすい構造になっています。
それゆえに、いつまで経っても「歳入は税金で賄うべき」、「歳出財源は税金以外にあり得ない」といった虚言や妄想が堂々と罷り通っているのです。
各方面からいろいろとご批判はありますが、私としては「税を財源にしてはならない」、「歳入は通貨発行を主に、国債を従に創り出すべき」と強く主張していきたいと考えています。