大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年10月27日(令和4年10月27日)
経常収支の黒字幅縮小と日米の長期金利差を原因とする円安が今年になってから進行して、悪い円安という言葉がニュースを騒がせる事態になっております。
本日は円安のメリットに関して基本的なところを説明できればと思います。
財務省が円安是正為替介入を実施
10月24日、一部報道で政府・日本銀行(日銀)が10月21日深夜から22日未明にかけて為替介入を行い、「円安」の是正を試みたのではないか、と話題になりました。
引用元:政府・日銀の為替介入でも止まらぬ円安 そもそも「円安」って悪いことなの?
政府・日銀は9月22日に、24年3カ月ぶりとなる円買いによる為替介入を行っており、それからわずか1カ月しかたっていません。
Google検索で「ドル円」と打ち込み、検索していただくとドル円チャートが表示されます。
年初来のドル円チャートを表示していただくと、今年の3月初旬頃から円安が進行していることが容易に理解できるかと存じます。
急激な円安に対して財務省は円安是正為替介入を指示しました。
日本銀行は過去の円高是正為替介入を実施したときに積み上がっていたアメリカ国債を売却しました。
その結果、USドルを手に入れ、それを為替相場で売却して、日本円を手に入れました。
USドル売りの日本円買いを実施することで、円安を食い止めようとしています。
なぜ財務省は円安是正為替介入に踏み切ったのでしょうか。
輸入物価の高止まりと円安のダブルパンチ
現在、西側諸国(日本を含む)はロシア産の原油や天然ガスの購入を抑制しております。
なぜならば、ロシアがウクライナに対して侵略戦争を仕掛けたからです。
その侵略戦争を止めされるため、経済制裁を実施しています。
その結果、原油価格や天然ガス価格が高騰し、物価を底上げしました。
※現在はOPECプラスの大幅減産となっても景気後退懸念から価格は下落基調です。
また、ウクライナは穀物生産大国であるため、食糧価格高騰を招いています。
ロシアとウクライナの麦類の生産量は世界有数だ。
引用元:ロシアのウクライナ侵攻 穀物生産、食料貿易へ影響懸念
ロシアは小麦7600万tで世界4位、大麦1900万tで世界2位。ウクライナは小麦2600万tで世界7位、大麦は830万tで世界5位となっている。
戦争の最中に作付けは難しいので、食糧生産が低下します。
その結果、食糧供給が低下して、価格が高騰しているのです。
円安が物価上昇を悪化させている
総務省統計局から2022年9月の消費者物価指数が発表されました。
対前年同月比で消費者物価指数総合(CPI)は3%増となりました。
また、対前年同月比で生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は1.8%増となりました。
1.2%程度の費用増大型物価上昇(コストプッシュ・インフレ)と言えます。
この費用増大型物価上昇(コストプッシュ・インフレ)は輸入する物品の価格が高くなったことだけが原因ではありません。
我が国日本は資源や食糧を海外からの輸入に頼っています。
円安が輸入する資源や食糧の価格高騰に拍車を掛けているので、悪い円安と言われています。
財務省は物価抑制策として、円安是正為替介入を実施しているのです。
しかしながら、円安にはメリットも存在するということを忘れるべきではありません。
円安で製造業の国内回帰が始まっている
アパレル大手のワールドは、岡山県の工場などで生産能力を増強し、百貨店向け製品の国内生産比率を4割から9割に高める。
引用元:製造業、国内回帰相次ぐ 円安で輸出強化の動きも
コロナ対策のロックダウン(都市封鎖)で、海外からの輸入が滞ったためだ。
JVCケンウッドは、カーナビの製造をインドネシアや中国から日本に移し、長野県伊那市にある工場の生産規模を5倍に増やす。
上記で紹介した企業以外でも、生活用品メーカーのアイリスオーヤマは工場を中国から日本に移すそうです。
円安であるため、日本人の賃金が海外と比べて安くなっております。
また、国内で製造して国内で工業製品などを販売することになれば、物流費用を抑制することができます。
海外の工場を閉鎖して日本国内で製造した方が総合的なコストカットになります。
したがって、製造業が国内に回帰することになりました。
海外勢に奪われてきた雇用と所得が日本国内に戻ることになります。
外国人労働者の日本離れが加速する
車の座席シートのカバーを縫製する工場です。
引用元:名古屋名物“モーニング”円安で苦渋の値上げ、外国人実習生「働いていたくない」
ここで5年働いているベトナム人実習生のホ・ティツガーさん。
「円安ドン高」の影響で、母国にいる家族への仕送り額を増やさざるを得ない状況に。
(中略)
ベトナム人実習生、ホ・ティツガーさん:「円安なので日本で働いていたくない」
止まらない円安は外国人実習生の“日本離れ”にもつながっています。
外国人労働者は本国にいる家族に仕送りすることが多いようです。
その場合、日本円を外貨に両替して送金することになります。
円安になると、同じ外貨を得るためにはより多くの日本円が必要になります。
実質的に、送金できるお金が目減りしてしまうのです。
例えば、毎月500USドルを本国に送る外国人労働者が存在していた場合を考えてみましょう。
1USドル=100円の場合であれば、500USドルを購入するために5万円が必要になります。
しかしながら、1USドル=150円の場合であれば、500USドルを購入するために、7万5千円が必要になってしまいます。
したがって、外国人労働者はより高い賃金を求め、日本で働くことは無くなります。
外国人労働者が減少することで、労働市場の供給が低下します。
その結果、日本国民の給与水準が引き上げられるかもしれません。
大手メディアに踊らされることなく、冷静に
結局のところ、大手メディアは視聴率、部数、PV数を獲得するために、悲観論を垂れ流します。
もちろん、嘘ばかりではありません。
しかしながら、物事には様々な見方というものがございます。
大手メディアに踊らされることなく、冷静に物事を判断していただければ幸いに存じます。
以上です。
仰せの通り、円安のメリットは大きいですね。アベノミクスの効果もこれでした。
ところで英国トラス首相の減税で一時ポンド安にはなりましたが、すぐ戻りました。
辞める必要はないと思ひましたが、インフレだからまずかつたのでせうか。
分析して頂けると幸ひです。
TO:雷蔵ファン様
コメントをいただき、誠にありがとうございます。
イギリスの財政政策に関して、基本的なことを押さえつつ、
本来あるべき減税政策とは何かという点まで踏み込んだ記事を出そうかと思います。
少々お時間いただければ幸いに存じます。
以上、よろしくお願い致します。