副業のデメリットにフォーカス!世間の副業推進は本当に正しい?

この記事は約7分で読めます。

 2019年に働き方改革が施行され、副業が解禁されました。
 マスコミや政府は副業を強力に後押ししています。
 ニュースや報道では、副業に関するメリットばかりが報じられ、まるで副業をしていないことが時代遅れのように書かれます。

 メリットばかりが書き立てられる副業の、デメリットについてフォーカスしてみました。
 なお、個人的には副業を否定していませんし、私も副業をしています。
 副業を始めるなら、本業に支障が出ないようにワークライフバランスをしっかり検討しましょう。

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副業解禁が進む背景

 副業解禁が進む背景について解説します。
 大きな流れとしては以下の通りです。

  1. 所得の下落に伴う副業ニーズの増加
  2. 働き方改革で副業が解禁
  3. マスコミや政府が副業を後押し

所得の下落

 副業がこれだけ推進されるのは、所得の下落が関係しています。
 1997年の平均所得は467万円でしたが、2021年の平均所得は436万円と30万円近く下落しています。
 1世帯あたりの平均総所得額も、1994年に664万円でしたが2021年には552万円に。

 日本の平均所得は1990年代後半から下がり始め、現在では下げ止まっている状態です。
 所得が下落すれば、所得を上げるためには働く時間を増やすしかありません。
 そのため、副業や兼業がメジャーになってきました。

働き方改革

 厚生労働省では、2019年に施行された働き方改革をもとにして、副業や兼業の普及促進を図っています。
参照 副業・兼業|厚生労働省

 もともと副業や兼業への法規制はありませんでしたが、厚生労働省が発表しているモデル就業規則で副業や兼業の解禁を奨励。
 政府が副業を推進する理由は以下の4つです。

  1. 子育てや介護と仕事を両立する手段になる
  2. 新たなスキル開発になる
  3. オープンイノベーションや企業の手段になる
  4. 第二の人生の準備に有効

 世間やマスコミだけでなく、政府も副業を推進しています。

マスコミの後押し

 マスコミも副業を後押しする記事を多くリリースしています。
 Googleニュースで「副業」と検索すると、以下のような記事がずらりと出てきます。

  • 副業をやらない理由探しはそろそろやめよう
  • コロナ禍に負けるな! クルマで稼げる5つの副業
  • 副業人材契約、地域活性化へ
  • 「副業」がうまくいくと、「本業」もうまくいく
  • 【かんたん副業】スポットで手軽に稼げる情報ビジネス入門

 ざっと記事を見ると、マスコミも副業を大いに後押ししていることがわかります。
 なぜマスコミが副業を後押しするのか。
 副業は記事のネタになりやすく、書きやすいからです。

副業をしている人の割合

 所得が下落し、政府やマスコミが副業を推進しています。
 実際に副業をしている人は増えたのかどうか検証してみましょう。

 厚生労働省の資料によれば、1997年の副業者数は815万人で雇用者全体の1.5%。
 2017年は128万人で、全体の2.2%でした。
参照 副業・兼業の現状

 同じく厚生労働省の資料によれば、令和2年(2020年)に副業をしている人の割合は9.7%にまで増えています。
 そのうち、正社員が副業をしている割合は5.9%でした。
参照 副業・兼業に係る実態把握の内容等について

 副業をする理由については、「収入が少ないから」が39.7%、「収入を増やしたいから」が56.6%でした。
 副業をする理由の多くは収入に関係しています。

副業が経済に与えるデメリット

 多くのマスコミや報道が、副業のメリットについて解説しています。
 そのため、今回の記事では副業のメリットには触れません。
 副業のデメリットについてのみフォーカスします。

人手不足の解消によるデフレ圧力

 副業とは、基本的に「本業+副業」という形です。
 したがって、1人あたりの生産性や生産量は増加します。
 1人あたりの仕事量が増加すれば、人手不足の解消が進むはず。

 デフレとは需要<供給で起こります。
 したがって、生産性や生産力の増加はデフレ圧力です。

 副業の解禁はデフレ圧力として日本経済に働いた可能性があります。

ワークライフバランスの悪化

 副業は、本業とは別に働くことを意味します。
 そのため、労働時間は「本業+副業」となります。

 本業で週に40時間、1日8時間働いて、その上で副業をするとすればワークライフバランスが悪化。
 ワークライフバランスの悪化はうつ病、過労などの原因です。

格差拡大の助長

 厚生労働省の資料によれば、年収300万円以下で副業をする割合が高く、それ以降は下がっていき、1000万以上になるとまた高くなるとのこと。
 このグラフからは、低所得層が副業でなんとか収入を増やそうとし、中間層は副業の必要性を感じていないイメージが浮かび上がってきます。

 本来、本業で中間層くらい稼げるようになるのがベスト。
 しかし、副業を解禁したことで本業の低所得が問題視されない可能性も。

 副業解禁は自己責任を前面に押し出し、格差拡大を助長するかもしれません。

個人にとっての副業のデメリット

 個人にとっても副業は大きなデメリットがあります。

疲労が大きい

 本業がある場合、1日8時間労働をこなした後でさらに働くことになります。
 休日を利用して副業をするなら、副業をしているために休日が取れなくなります。

 よほどタフな人でもなければ、副業で大きな疲労を抱えることに。

本業に支障が出る

 大きな疲労を抱えれば、本業に支障が出るかもしれません。
 本業はその人の大きな収入源。
 副業で本業に支障が出るのは本末転倒です。

会社とのトラブル

 副業で大きな疲労を抱え、本業に支障が出た場合、会社とのトラブルに発展する恐れも。
 ほかにも、副業に時間を取られて本業の残業ができないといったケースも考えられます。

 副業をする場合は、ワークライフバランスをしっかりと検討しましょう。

税金関連が手間

 年間に20万円以上の所得がある場合、個人で確定申告する必要があります。
 確定申告はなかなか手間のかかる作業です。

副業で損失が出る

 副業で株やFXをする人もいますが、あまりおすすめはできません。
 株やFXは運の要素が強く、リスクが高いです。
 副業をしているつもりで、損失を出してしまうことも。

 また、副業のためにスキルを身に付けようと、高額な講習やスクールに通う人もいます。
 しかし、しっかりと選ばないとスキルが身に付かず、高い授業料だけ払う羽目になることもあります。

企業にとって副業のデメリット

 現在、副業を解禁している企業は全体の55%との統計があります。
 しかし、残りの45%は副業を禁止している模様。

 企業にとっての副業のデメリットを解説します。

本業に支障が出る

 企業にとってもっとも大きなデメリットは、副業をすることで本業のパフォーマンスに支障が出ることです。
 副業をすれば、物理的に労働時間が長くなります。
 とすると、パフォーマンスが落ちるのも必然でしょう。

 副業を禁止している企業の多くは、本業で100%のパフォーマンスを発揮して欲しいと思っています。

情報漏洩のリスク

 社員情報や顧客情報はもちろんのこと、社員が持っているスキルが情報漏洩のもとになることも。
 副業解禁は情報漏洩リスクの増大につながります。

まとめ

 今回の記事では、副業のデメリットにフォーカスしています。

 世間の報道やニュースでは、副業のメリットばかりが言い立てられます。
 まるで、副業をしないことが時代遅れのようなニュアンスで書く記事も。

 しかし、本来は本業の所得を向上させ、国民を豊かにすることが政治に求められるはず。
 副業は、国民が貧困化したために発生したニーズに過ぎません。

 にもかかわらず、副業は時代の流れのようになっています。
 だからこそ、副業のデメリットについて記事で振り返ってみました。

 なお、デメリットにフォーカスしたものの、個人として副業を否定してはいません。
 私自身もWebライターを本業にしつつ、Web制作を副業としています。

 副業はワークライフバランスをしっかり検討して始めましょう。

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