格差社会が問題になり始めたのは2000年代からです。
2000年代は非正規雇用が増加し、日本国民の平均所得が下がり始めた頃。
そこから四半世紀近く経ちますが、一向に格差解消は進みません。
それどころか、日本の格差社会はさらに深刻になっています。
今回の記事では、日本の格差社会の原因についてわかりやすく解説。くわえて、格差社会を解決する対策についても議論します。
格差社会とは
格差社会とは多くの場合、所得格差や経済格差を指します。
しかし、格差社会が行き過ぎれば、所得格差や経済格差だけでなく「教育格差」「地域格差」「世代間格差」「貧困の再生産」といった問題に結びつきます。
格差とはそもそもなんでしょうか。
Web辞典を引いてみると以下のように書かれています。
資格・等級・価格などの違い。差。
格差(かくさ)の意味 – goo国語辞書
何らかの差が生じると、それは格差と呼べます。
とすれば、格差社会の対義語は総中流社会、平等社会です。
完全な平等は資本主義ではあり得ません。
格差が行き過ぎることが、格差社会の問題です。
格差社会とは、格差が行き過ぎて社会問題化していることです。
格差社会の原因
格差社会の原因について解説します。
資本主義
トマ・ピケティは著書「21世紀の資本」の中で、「r(資本収益率)>g(経済成長率)」という法則を見つけました。
資本主義では経済成長や所得向上より、資本から得られる収益の方が大きくなります。
とすると、資本を多く持っている富裕層がより裕福になり、富の偏在が発生。
こうして資本主義では格差社会が生まれると発見しました。
格差社会の原因は資本主義そのものだったのです。
資本主義である以上、ある程度の格差は避けられません。
しかし、社会問題化するほどの格差を解消するため、政治という仕組みがあります。
格差社会問題は、政治の機能不全と換言できるかもしれません。
デフレと緊縮財政
政治の機能不全として挙げられるのが、デフレと緊縮財政です。
日本は1998年からデフレに突入し、失われた25年を過ごしました。
ところが、一向にデフレは解消しません。
政治が機能不全を起こし、緊縮財政にこだわり、デフレを脱却できなかったのです。
デフレは日本国民の所得の下落させ、貧困化を引き起こしました。
貧困化によって格差が拡大し、格差社会問題が深刻化したのです。
産業構造の変化
格差社会を問題にするとき、産業構造の変化も見逃せません。
1990年代まで日本は、二次産業である製造業が中心でした。
しかし、2000年以降は二次産業が減少し、三次産業が増加しました。
三次産業であるサービス業は、生産性が上がりにくい業種です。
そのため、所得が向上せず、非正規雇用が拡大し、格差が広がった可能性があります。
非正規雇用の増加
非正規雇用の増加も格差社会の大きな問題です。
非正規雇用は正規雇用より所得が低く、雇用が不安定になります。
そのため、非正規雇用が拡大すれば貧困も同時に拡大します。
1990年に881万人だった非正規雇用は、2020年に2090万人と2倍以上になっています。
労働者に占める非正規雇用の割合は、今や4割近くに達しました。
一方、1990年代と比べて正規雇用は微減しています。
非正規・正規間の格差は大きな問題として取り上げられています。
格差社会の何が問題なのか
格差社会の問題は格差そのものではなく、貧困こそが問題です。
たとえば、相対的貧困率が小さく大半の人が余裕を持って暮らせる社会なら、富裕層がいて格差が大きかったところで問題になりません。
富裕層との格差より、生活がギリギリの貧困層がいることが格差社会の問題です。
格差とは、必ず発生するものです。
完全に平等な社会などあり得ません。
しかし、問題は格差の中で貧困に陥る人々いることです。
格差社会問題の対策は、平等化より底上げを優先するべきでしょう。
格差社会への対策
格差社会の対策について解説します。
積極財政・高圧経済
格差社会の問題はイコールで貧困問題です。
とすれば、解決策は所得向上や失業率の低下、非正規雇用の正規雇用化になります。
積極財政と高圧経済は、格差縮小に貢献します。
高圧経済とは、アメリカの財務長官イエレンが提唱する経済政策です。
インフレや完全雇用を下回る失業率を容認し、積極財政を持続することで履歴効果の解消を狙います。
履歴効果とはヒステリシスとも呼び、経済の状態が変化し、もとに戻ったときに全部がもとに戻るわけではないことを指します。
たとえば、四半世紀デフレを続けた日本がインフレになったからと、急に企業がアニマルスピリットを発揮して投資し出すでしょうか? 値上げに果敢に踏み切れるでしょうか?
インフレになっても企業はデフレマインドを捨てきれません。
これを負の履歴効果と呼びます。
高圧経済で履歴効果が解消されれば、デフレマインドを脱却して企業は投資や雇用に積極的になります。
投資は新たな需要を生み、雇用は労働市場を売り手市場化します。
高圧経済によってこの状態を持続すると、低所得層にも所得向上の機会が訪れるでしょう。
同一労働同一賃金
同一労働同一賃金も、格差解消に役立つ政策です。
派遣社員と正規社員が同じ仕事をしているのに、扱いや賃金が異なるのはよくある話です。
2018年から始まった働き方改革では、同一労働同一賃金が推進されました。
不合理な待遇格差をなくし、派遣先労働者との均等・均衡待遇が義務化されました。
ただし、同一労働同一賃金は負の効果も生み出しています。
2020年に最高裁から、正社員と契約社員の待遇格差が不合理と判決された日本郵便は、2021年に正社員の待遇を下げる形で解決を図ろうとしました。
正社員側の待遇を下げることで、同一労働同一賃金を実現しようとする動きには警戒が必要です。
ベーシックインカム
日本で格差社会や貧困問題が語られるとき、必ずベーシックインカムの議論がついて回ります。
ベーシックインカムとは日本語で「最低所得保障」を意味し、月に7~10万円の給付金を全国民に給付する政策です。
ベーシックインカムには「社会保障一元化型」「従来の社会保障+ベーシックインカム型」「負の所得税型」などの種類があります。
もし実現可能ならベーシックインカムは、貧困問題や格差社会の有力な解決方法になり得ます。
所得向上
日本国民の平均所得は、1997年をピークに下落しています。
1997年の467万円をピークとして、2021年は436万円となっています。
世帯あたりの所得は下落、1人あたりのGDPは停滞。
1997年をピークに四半世紀が経ち、ようやく日本では「所得向上が必要」とのコンセンサスが生まれ始めました。
所得向上のため、日本政府は官製春闘や最低賃金アップを行っていますが、いまいち効果的は出ていません。
プライマリーバランスや緊縮財政に足を取られ、効果的な政策が打ち出せない状況です。
所得向上のためには、積極財政や高圧経済が必要です。
累進課税の強化
一般的に累進課税の強化は、格差社会の解消のために必要とされる政策です。
しかし、累進課税の強化が貧困層救済に役立つかどうかは微妙。
なぜなら、累進課税の強化=富の再分配ではないからです。
もし税が財源だとしても、富裕層から徴税した税金が貧困層に分配されるかどうかは政策次第。
国債償還に使われる可能性もあります。
次に、MMTによれば税は財源ではありません。
財源ではないのですから、富裕層から徴税しなくても貧困層の救済は可能。
したがって、累進課税の強化が貧困解消に役立つかどうかはわかりません。
もちろん、上方の格差(富裕層)を縮めたり、ビルトインスタビライザーとしては機能します。
まとめ
格差とはそもそも、資格や等級、価格などの違いを指します。
何らかの差が生じること=格差と考えてよいでしょう。
格差社会の原因は「資本主義」「デフレと緊縮財政」「産業構造の変化」「非正規雇用の増加」です。
特に格差社会の原因の根本は資本主義にあります。
資本主義下において格差は必然であり、必ず発生するものです。
格差社会の問題は富裕層が富むことではなく、貧困層が発生することです。
そのため、格差社会問題はイコールで貧困問題と考えられます。
格差社会を解決するためには、高圧経済やベーシックインカム、同一労働同一賃金などの政策が求められます。
ヤンさんもお好きなアニメ「本好きの下剋上」の新シリーズが今晩から放送されますが、あの手の転生モノで「貨幣」をフィーチャーした作品はまだありません。「MMTアニメ」を観られるのは何年後となるやら……。
前期アニメは「その着せ替え人形は恋をする」と「ハコヅメ」が面白かったです。まあ、原作漫画が面白いので、当たり前といえばそうなのですが。今期は安定の「かぐや様は告らせたい」と「であいもん」に期待しています♪
MMTアニメは需要が大きくないような。
何年後になっても見られない可能性ががががが――。
最近は昔のアニメを見直すことが多いですよっと。
>最近は昔のアニメを見直すことが多いですよっと
私も今ちょうど、「バクマン」のアニメを観ています。ジャンプ本誌で欠かさず読んではいましたが、内容を結構忘れちゃっていることもあって、アニメがめちゃ面白いです。「作画・小畑健」とかで、MMT漫画もヒットしそうな気がががが――(笑)。
あと、地上波やBSでよく再放送しているアニメがありますが、好きだったやつは結構また録画して観てしまいますね。今だと「メイドインアビス」とか再放送やっていて、毎週の楽しみになっています。
バクマン、面白いですよね。
メイドインアビスはまだ未視聴ですが、手を出してみます。
私は「キングダム」「へうげもの」を見直している最中です。
アニメではなくマンガですが、
三ツ矢彰×Rootport 「女騎士、経理になる。」 全08巻
お勧めです^^)。
経済・財政を会計的にとらえれば…っというお話しで、BS(という概念)を理解する訓練にもなると思います。
>女騎士、経理になる
ピッコマにあったからブックマークしました。開始早々から「くっころ」な展開でしたが、早速読み進めてみます。
近年、雑誌の売上が低迷していると言われていますが、WEB漫画の配信は全盛を迎えている印象です。稼いでいる漫画家の数は減ったのかもしれませんが、傑作は日々生まれていてチェックが追いつきません。
初めて聞きました。
情報ありがとうございます。
Amazonでひとまずリスト入り。
試し読みで1巻を読んでみると……お、面白い!
くっ……殺せ!
お気にめして頂けたようで幸いです^^)。
MMTを題材にしたマンガ(物語形式ではありませんが)といえば…
[井上純一] キミのお金はどこに消えるのか/キミのお金はどこに消えるのか 令和サバイバル編
は如何でしょう?。
>キミのお金はどこに消えるのか
二冊とも持っています^^ 「中国嫁」の人ですね。
>二冊とも持っています^^
これは大変失礼しました^^;)。
経済系ではありませんが、
[KAKERU] 魔法少女プリティ☆ベル
はご存知でしょうか?。
題名らしからぬダーク・重い系のお話しなのですが、この 第11-20巻 あたりがとくに秀逸で、国家とは・政治とは・戦争/武力とは…宗教・哲学などなどの話題が詰まっています。
同人出身(?)の作者さんだからちょっと画的に一般受けしないのですが…、もし未読でしたら一見の価値はあると思います。
>魔法少女プリティ☆ベル
未読なので冒頭を少し読んでみました。魔法少女モノのギャグ漫画にしか見えなかったのですが、巻が進むにつれて深い話になってくる……っと。
10巻まではマクラです(ってか、自分も11巻〜しかもう持ってないのですが^^;)。
最初は…まぁ確かにこれは如何なモノか?って感じなんですが、11巻からいろんな意味でガラッと様相が変わります。
11巻のお題は”民主主義とは?”です。その後、そも政治(民主制)とは?、難民問題・その(強硬的)解決法、戦争・戦争に負けると言う意味…他々とお話しが展開していきます。あいかわらず絵柄はロ○エロ・表現はゲスですが、お題は至極真面目なんですよ。