憲法9条改正のメリット・デメリットを簡単にわかりやすく解説

この記事は約5分で読めます。

 憲法9条の改正は、政治にとって大きな議題です。
 左派系の政党は「憲法改正を許すな!」、自民党などの右派系は「憲法改正!」と主張します。

 憲法9条改正議論をするためには、改正したときのメリット・デメリットについて知っておく必要があるでしょう。
 今回の記事では、憲法9条の基本的なことを振り返り、その後に憲法9条改正のメリット・デメリットについて解説します。

スポンサーリンク

憲法9条とは

 日本国憲法の9条では、第1項で戦争の放棄、第2項で戦力の不保持と交戦権の否認を定めています。
 実際の憲法9条の文面を以下に引用します。

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
② 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

日本国憲法第9条 – Wikipedia

 第1項では「戦争を放棄する」と定められています。
 第2項では、「戦争放棄のために陸海空軍を持たず、交戦権も認めない」とされています。

 しかし、政府の見解によれば、憲法9条は個別的自衛権までは否定していないのだそうです。

 自衛権には個別的自衛権、集団的自衛権の2種類があります。
 個別的自衛権とは、自国が他国に攻撃されたときに自国を守る権利のこと。
 集団的自衛権とは、同盟国が攻撃されたときに一緒になって反撃する権利です。

 憲法9条は政府見解によれば、集団的自衛権は認めていません。
 そのため、アメリカが攻撃されても日本が反撃することはありません。

憲法9条を改正するメリット

 憲法9条を改正するメリットについて解説します。

現状と憲法の矛盾解消

 憲法9条第2項を素直に読めば、日本は軍隊の保持を認めていません。
 だからこそ、自衛隊は軍隊ではないと言い張る必要があります。

 しかし、日本政府がどのように主張しようが、自衛隊は軍隊です。
 自衛隊は英語で「Self-Defense Force」であり、「Force」とは軍隊のこと。

 現状は、自衛隊の存在と憲法9条2項が矛盾していることになります。
 そこで、憲法9条を現状に合わせて改正することで、矛盾を解消できます。

自衛官の負担を減らせる

 自衛隊は海外での任務もあります。
 今まで、海外のPKOではカンボジア、南スーダン、イラクなどに派遣されています。

 イラクへの派遣で、自衛隊は「非戦闘地域へ派遣される」という建前でした。
 ですが、当時のイラクに非戦闘地域なるものはありません。

 こういった危険な任務に赴くにあたり、武器の使用制限が大きな問題となりました。
 自衛隊は他国の軍隊に比べて武器の使用制限が厳しく、危険地域での行動でリスクが増大します。

 なぜ武器使用が制限されているのか?
 憲法9条では「武力の行使」の放棄が謳われているからです。

 海外で自衛隊に認められているのは、正当防衛と緊急避難だけ。
 そのため、PKOでも治安維持や防衛は他国の軍隊に任せきりになります。

海外の邦人救出

 海外で法人が何らかのトラブルに遭い助けを求めているとき、自衛隊は邦人救出ができません。
 現行制度では法人の輸送のみ認められています。

 たとえば、邦人救出が必要なケースとして、イスラム過激派による人質事件が挙げられます。
 こういった事件が起こった際に、自衛隊は手出しができません。

 国会でも邦人救出の必要性が議論されていますが、その条件は憲法9条の制約があるため厳しいものです。
 以下のような条件が想定されています。

  • テロが起きた国の同意が必要
  • 治安が維持されている地域内でのみ活動できる

 治安が維持されていない地域に行くと、武力衝突の可能性が高くなるからです。
 これでは、邦人救出などできそうにありません。

集団的自衛権の行使

 政府は、憲法9条が個別的自衛権を認めていると解釈しています。
 しかし、集団的自衛権は認めていません。

 集団的自衛権が認められていないと、片務的な条約しか結べません。
 アメリカと日本の日米安保は、「アメリカが日本を守る代わりに、日本は基地を提供する」という片務的なものです。
 日本はアメリカを守る義務を負いません。
 そのため、日米安保は同盟と言うより保護条約です。

 同盟とは本来、双務的なものです。
 「あなたの国が攻撃されたら助けるから、私の国が攻撃されたら助けてね」が本来の同盟。
 しかし、日本は集団的自衛権が認められていないため、同盟を結べません。

 同盟を結べないとどうなるか?
 今回のロシア・ウクライナ戦争で日本人は知ったはずです。
 ウクライナと同盟を結んでいる国はなかったため、ウクライナは独力でロシアに対抗せざるを得ませんでした。

 日本は中国に対抗するため、集団的自衛権の議論が必要でしょう。

憲法9条を改正するデメリット

 憲法9条改正のデメリットについて解説します。

他国の戦争に参加させられるかも

 集団的自衛権を認めると、同盟国が攻撃された場合に協力する必要性が生じます。
 これは義務ではありませんが、協力しなかった場合はその同盟は解消されるでしょう。
 また、国際的な信用を失います。

 そのため、集団的自衛権を行使するのは半ば義務です。

 憲法9条を改正して集団的自衛権を認めると、同盟国や他国との戦争に巻き込まれる恐れがあります。
 よく主張されるのは、アメリカの戦争に巻き込まれることです。
 憲法9条があったからこそ、アメリカの戦争に巻き込まれずにすんでいると主張されます。

平和主義が揺らぐ

 日本は戦後、平和主義を貫いてきました。
 憲法9条を改正することで、その平和主義が揺らぐかもしれないと危惧されます。

 しかし、平和主義者たちが目を向けない不都合な真実があります。
 それは、日本の戦後の平和主義は、アメリカの武力によって保たれたという現実です。

 しかし、パクス・アメリカーナは終焉を迎えました。
 今後、日米安保が十全に機能するかどうかはわかりません。

 憲法9条を掲げることだけが平和への道なのか、議論する必要がありそうです。

まとめ

 憲法9条は第1項、第2項から形成されており、それぞれ「戦争の放棄」「戦力の不保持」が謳われています。

 憲法9条を改正するメリットは「現状と憲法の矛盾解消」「自衛官の負担を減らす」「海外法人の救出」「集団的自衛権」です。
 特に、集団的自衛権については、安全保障の観点から大いに議論されるべきでしょう。

 一方、デメリットは多くありませんでした。
 「他国との戦争に参加させられるかも」「平和主義が揺らぐ」がデメリットです。

 ロシア・ウクライナ戦争の現状を見るに、憲法9条改正議論も進めていくべきだと思います。

Subscribe
更新通知を受け取る »
2 コメント
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
3 ヶ月 前

>憲法9条を改正して集団的自衛権を認めると、同盟国や他国との戦争に巻き込まれる恐れがあります。
>よく主張されるのは、アメリカの戦争に巻き込まれることです。
>憲法9条があったからこそ、アメリカの戦争に巻き込まれずにすんでいると主張されます。

.
まあ、イラク戦争も、実質侵攻の時に参戦したのはイギリス・オーストラリア・ポーランドの3か国ですから、必ずしも集団的自衛権がアメリカの戦争に巻き込まれるとは違うかもしれませんね。(戦後の治安維持には日本含めた数多の国が参戦しましたが)
 
.
正直に言いますと、憲法9条って、国連憲章によって認められた自衛権も含めた上での戦争放棄だと思うので、私自身は自衛隊の存在そのものがやっぱり違憲だと思いますね。(憲法学者も半分ぐらいが違憲と言ってると聞きますし)
 
だから、自民党の自衛隊理論も嘘っぱちだと思いますし、共産党含めた左派の護憲理論も噓っぱちだと思います。(自衛隊の存在容認してる時点で)
 
ほんとはこんな欠陥憲法さっさと改正して、諸外国の憲法並みに、『侵略戦争はしません』くらいのシンプルなものにすべきなんですよね・・。
 
.
そういえば最近気になっていたのですが・・、
 
例えばロシア軍が北海道に上陸したとして、上陸したロシア軍が市民や自衛隊を攻撃するまでは、ロシア軍に何一つ自衛隊は手出しできないんですかね?現行の法律では・・。
 
それとも、北海道に上陸した時点で自衛権って発動するんでしょうか・・?
 
このへんって、どうなんでしょうか・・?
 
米軍はもしかしましたら攻撃できるかもしれませんが、日本の自衛隊はロシア軍が北海道に上陸されてもなんらかの攻撃があるまでは、道内を堂々と通過していても、見てるだけ、になっちゃうんでしょうか・・?
 
それとも密入国扱いで、自衛隊の前に警察が不法滞在で逮捕しに行って、そこで警察が殺されるなり、拉致されるなりするまで手出しできないですかね?
 
それとも警察が行っても無視されて進軍されたらそれでもやっぱり手出しできないですかね・・?

Last edited 3 ヶ月 前 by 阿吽
当ブログは2019年5月に移転しました。旧進撃の庶民
2
0
Would love your thoughts, please comment.x