大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2022年3月24日(令和4年3月24日)
進撃の庶民の読者の皆様、ご無沙汰しております。
あまりにも仕事が多忙でして寄稿できませんでした。
本日は最近のロシアのウクライナ侵攻に関して、まとめ記事になります。
何卒生温かい目で見ていただければ幸いに存じます。
戦争とは政治的目的を達成するための手段である。
今回のロシアの対ウクライナ戦争において達成したい目的は大雑把に言えば3つございます。
※参考記事:ロシアの高圧的姿勢、停戦協議進まず ウクライナに分厚い要求文書
1、ウクライナを親ロシア非武装中立国家とし、緩衝地帯(バッファーゾーン)として機能させる。
2、親ロシア系住民の保護(ウクライナ東部の一部地域の独立国家化)
3、クリミア半島をロシア領土と認めさせる
緩衝地帯とは何か
1点目について簡単に説明します。
ロシアはユーラシア大陸の北方の大部分を占める大陸国家でございますから、緩衝地帯(バッファーゾーン)を求めます。
緩衝地帯とは敵対する国家または地域との間に存在する地理的空間のことです。
ロシアはそのあまりに広大な領土を保有しているため、常に他国に侵攻されるのではないかという恐怖を抱いております。
敵対国家(または国家群)と直接国境を接したくないので、少なくとも中立、可能であれば自国と友好的な国家または地域を敵対国家(または国家群)との間に確保したいという欲求を大陸国家として持っているのです。
緩衝地帯(バッファーゾーン)が存在すれば、仮に敵対国家(または国家群)が軍備を整えて侵攻しようとしても、中立国家または友好国を素通りすることはできません。
緩衝地帯に存在する国家との戦争の間は時間稼ぎが可能となりますし、奇襲から身を守ることができます。
したがって、ロシアという大陸国家は緩衝地帯(バッファーゾーン)を欲しており、その中でも重要な緩衝地帯の1つがウクライナなのです。
NATOの東方拡大という緩衝地帯潰し
そのウクライナがNATO(北大西洋条約機構)という敵対する軍事同盟に加入する可能性が高まっていたため、ロシアとしては国家安全保障上の危機を感じていました。
ロシアとしては近年のバルト三国のNATO加盟などで危機感を感じているところに、緩衝地帯(バッファーゾーン)として機能していたウクライナまでもNATOの東方拡大で敵側に与することになれば、ますます軍事的に追い詰められてしまいます。
ロシアが親ロシア政権によって国家運営され、非武装中立化されたウクライナを欲するのは大陸国家の生存本能としては理解できます。
ただ、NATO加盟が決まって宣戦布告されるという段階ではないのに、いきなり電撃戦を仕掛けるというのはどう考えても侵略戦争です。
ウクライナ国民を反ロシアで結束させることになり、非武装などあり得ないと思わせるような無慈悲な攻撃を継続しております。
おそらく1点目の戦争目的は達成できないでしょう。
NATOに加盟しないという中立化という目的だけなら達成できるかもしれません。
親ロシア系住民を保護するという大義名分
2点目に関して説明します。
ロシアはウクライナに対する間接侵略の結果として、ドネツク州とルガンスク州の一部を実効支配する親ロ派武装勢力「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を形式的に建国させることに成功しており、事実上の領土割譲を狙っております。
また、プーチン大統領はウクライナ国内のネオナチ勢力がロシア系住民を攻撃していると主張しております。
プーチン大統領は親ロシア系住民の保護を大儀名分として掲げ、今回の戦争に踏み切りました。
戦争せずとも親ロシア系住民をロシア国内で難民や亡命希望者として受け入れればいいだけの話でしょうし、ウクライナ全土への侵攻のための口実作りとしか思えません。
2点目の戦争目的でございますが、戦局がロシア側有利になれば、ウクライナ側が断腸の思いで飲み込むかもしれません。
海へのアクセス権を確保するため、クリミア半島を併合
3点目について簡単に説明します。
ロシアはユーラシア大陸の北方の大部分を占める大陸国家でございますから、海へのアクセス権を求めます。
世界史の教科書にも記述されているので、ご記憶の方もいらっしゃると思いますが、ロシアの南下政策という単語がございます。
それは、凍らず年中利用可能な港を確保して、他国との交易を常に行い国力を高めたいという海へのアクセス権を求める拡張政策なのです。
地政学にお詳しい方ならご理解いただけると思いますが、ロシアが西方における海へのアクセス権を確保するためには、ボスポラス海峡を自国の艦隊や商船が安全に航行できるようにしなければなりません。
そのためには、黒海を自国にとって安全な領域にする必要があり、そのためには、クリミア半島を軍事的に利用可能な状態に据え置く必要がございます。
背に腹は代えられぬとはこのことか
ウクライナが反ロシア的な姿勢に転じてしまったことから、プーチン大統領は敵に取られる前に強奪しなければ海へのアクセス権を失うと焦ったのだと推察します。
したがって、国際法的なことは脇に置いておいて、ロシアは地政学的理由でクリミア半島を自国領土に編入することにしたのです。
クリミア半島の住民の大多数はロシア系住民であり、形式的には住民投票で独立主権国家になってから、独立主権国家の意思によってロシア編入を希望するという形を経て、ロシアの実行支配が継続しております。
3点目の戦争目的でございますが、こちらも戦局がロシア側有利になれば、ウクライナ側が断腸の思いで飲み込むかもしれません。
ロシアは情状酌量の余地はあるけれども犯罪者である
上記の戦争目的とも関係するお話でございますが、私なりに今回のウクライナロシア戦争に関してどのように考えているのかという点を明言したと思います。
ロシアとは、家庭環境劣悪で、無職で、反社会的勢力の構成員なのですが、他の反社会的構成員による挑発で、その構成員を殺してしまった犯罪者のようなものです。
要するに、情状酌量の余地はあるけれども犯罪者です。
ウクライナ東部のロシア系住民の保護を目的として戦争を開始しましたが、であれば、戦争という手段でなくてもロシア系住民の保護を難民として受け入れて、亡命者として受け入れるということもできたでしょう。
ウクライナ側の人的資源を削りつつ、自国の人的資源を増やすということを戦争せずに行えるならば、対ウクライナ戦略として有効なのではないかと。
専守防衛も可能だったのでは
さらに言えば、ウクライナ国内のネオナチ勢力から攻撃してきて、ウクライナ東部のロシア系住民が危なかったという話もございます。
正直、本当にそんなことがあったのかと疑わざるを得ません。
それに関しても、ウクライナとの国境線沿いに塹壕を掘り、地雷を埋め、防衛陣地を構築し、攻めてきたときだけミサイルでの反撃に留めておけばよかったのではないかと。
あまりにも消極的な防衛と言われようとも、侵略戦争だと断定され、日本を含め、西側諸国からの経済制裁と金融制裁を受け、経済的な打撃を受けるよりかは良かったと思います。
防衛に徹するというのも、真剣に検討されるべき軍事的選択肢だったと思います。
外交が下手なのかプーチン大統領
ウクライナが緩衝地帯(バッファーゾーン)として機能していないということもロシアの言い分として理解はできます。
ウクライナへ軍事的脅威を与えておきながら、緩衝地帯(バッファーゾーン)になれというのは無理がありますよ。
むしろ、仲間に引き入れるためにもウクライナ国内の親ロシア勢力に金銭的な援助を与えつつ、反ロシア勢力を切り崩すような外交工作を行いつつ、軍事的圧力は控えるべきでした。
そのあまりにも強権的で独立主権国家としての意思を無視するかの如き振る舞いは敵を増やすばかりか、味方からも疑念が出てきてしまいます。
我が国日本の外交政策と真逆なことをしてしまったら、敵は増えますし、味方も中立的になってしまいます。
ベラルーシが今回のウクライナロシア戦争に参戦していないのがすべてを物語っていると言えます。
今後戦争はどうなるのか
さて、結局のところ、ウクライナロシア戦争はどのような展開になるのかという点について述べたいと思います。
結論、プーチン大統領は戦争が下手過ぎて戦争目的を達成することができず、敗北する可能性が高まっています。
ベラルーシ側、ウクライナ東部、クリミア半島側という3方向からの電撃戦を仕掛けたのですが、首都キエフすら陥落させることができず、戦線は膠着状態です。
対アフガニスタン戦争にも似た泥沼の戦争になりつつあります。
敵前逃亡と同士討ちが発生しているという地獄絵図
8日の英紙デーリーメールは「ロシア軍の士気、崩壊」の見出しで、ロシア軍が市民への攻撃を拒否した味方の兵士を銃撃したり、軍務を放棄する逃亡兵が続出していると報じた。
引用元:ロシア兵がロシア兵を…ウクライナ市民への銃撃を拒否した兵士に対し『同士討ち』多くの兵士は「今回の戦争を望んでない」
Twitter上の未確認情報ではございますが、ロシア国内において戦争反対を表明するロシア人が後を絶たず、逮捕されたりして、その後対ウクライナ戦争の前線に送られるとのこと。
反戦を表明している人間を兵士するなどちょっと頭がおかしいと思いますし、もしかしたら戦場で勇敢に戦い戦死したという名目で収容所送りにされ、銃殺される可能性もあるとのこと。
ロシアは北朝鮮のような暗黒の独裁国家になっている可能性がございます。
また、これまた未確認情報でございますが、対ウクライナ戦争に参加した兵士を捕虜にしたところ、戦争ではなく軍事演習の一環として認識していた兵士もいたとのこと。
戦争に参加している意識すらない(そんなことあり得るのか・・・ウクライナの反ロシアプロパガンダかもしれません)兵士が戦場に駆り出されるというのはロシア軍の末期症状かもしれません。
さらに言えば、上記のように同士討ちや敵前逃亡する兵士も存在するそうです。
諜報と兵站と士気を軽視するとは国家指導者失格です
兵站も滞り、戦車を放棄するロシア兵も存在するため、ウクライナへの侵攻が思うようにいかないようです。
率直に申し上げて、軍事学的にちょっと考えにくいことが生じています。
ロシアが陸続きの隣国ウクライナへ侵攻して、兵站が滞るというのは、現場指揮官クラスの人間のサボタージュとしか思えません。
いずれにせよ、ロシア兵の士気が著しく落ちているのは明白であり、軍の規律という意味でも問題があり過ぎます。
また、国家指導者であるプーチン大統領のことが怖いため、諜報組織のトップが正確な情報を提供せずに、都合のいいことばかりをプーチン大統領に報告していたようです。
※参考記事:「プーチン失脚」は時間の問題か…ロシア国内「3つの支持基盤」が反逆する異常事態に
諜報と兵站と士気という要因を軽視しているプーチン大統領は国家指導者失格です。
アメリカがウクライナへ武器を援助
バイデン米政権はウクライナに対し、3億5000万ドル(約400億円)相当の武器支援を新たに実施する。
引用元:ロシア軍、首都中心に侵入 停戦交渉打ち切り
米国防総省高官は対戦車ミサイル「ジャベリン」が含まれるとの見方を示した。
アメリカのバイデン大統領はウクライナに対して、対戦車ミサイルである「ジャベリン」を供与するなど武器支援を実施することになりました。
ロシアのランドパワーの要である戦車を無力化するために、対戦車ミサイルなどを供与するというのは合理的と言えます。
アメリカが軍隊を派遣できないのは仕方ないことだと思います。
ウクライナはNATO(北大西洋条約機構)に加盟しておりませんし、アメリカ国内においてはウクライナとロシアの戦争に巻き込まれたくないという世論があるからです。
せめて武器供与、エネルギー、食糧支援などで後方支援を強化することで、ロシアを牽制して欲しいです。
対ロシア外交姿勢を転換したドイツ
ドイツ連邦軍が保有する対戦車砲を1000、携帯可能な地対空ミサイルの「スティンガー」を500、それぞれできる限り速やかにウクライナに提供する。
引用元:ロシア軍、首都中心に侵入 停戦交渉打ち切り
ドイツはこれまでウクライナへの武器供与に慎重だったが、ロシア軍が首都キエフへの攻勢を強める中、方針を転換した。
また、ドイツはロシアとの経済的相互依存関係から対立したくないとの本音があったようですが、ウクライナ侵攻が本格的に開始されたことから方針転換したようです。
ドイツも対戦車砲と対空ミサイルである「スティンガー」をウクライナへ供与するとのことです。
やはり電撃戦の要である攻撃ヘリと戦車を無力化するための武器供与のようです。
ロシア人差別は止めて、ロシアを壊滅させず、戦力を残そう
最後になりますが、この記事をお読みの進撃の庶民の読者様に申し上げたいことがございます。
今回の戦争はプーチンの戦争であり、地政学的な要因も絡んだ結果でございますので、ロシア人が残虐で悪逆非道だからこのような戦争になったわけではございません。
ロシア人への差別的言動は止めてください。
※もちろん差別的言動をしていない方々が圧倒的多数派だと思いますけども念のため。
また、今回の戦争でロシアを壊滅させるような軍事行動を煽る言動も止めてほしいと思います。
※もちろん破滅的言動をしていない方々が圧倒的多数派だと思いますけども念のため。
今後、ロシアが独立主権国家として対中国包囲網に自発的に参加することも十分にあり得ます。
ロシアを対中国抑止戦略の駒として軍事的かつ外交的に利用することも考えなければなりませんので、戦力を残す必要がございます。
一刻も早く停戦していただき、ロシア国内の政権上層部が一新され、勢力均衡(バランス・オブ・パワー)と地政学を理解した大陸国家として、存続することを願っています。
以上です。
>ロシアを対中国抑止戦略の駒として軍事的かつ外交的に利用する
仰る通りで、ロシアとインドには、強すぎる中国への包囲網に参加してもらわなくてはなりません。