ローマ教皇「ペットを飼わずに子供を持て」|犬・猫は少子化の原因か?

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ローマ教皇が、子供を持たずに犬・猫を飼うことは身勝手だと述べたそうです。キリスト教圏であるヨーロッパの少子化を憂えてのことと思われますが、本当にペットのせいで子供が減っているのでしょうか。冷静に検討してみたいと思います。

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ローマ教皇「ペットを飼わずに子供を持て」

1月5日、ローマ教皇がヴァチカンでの一般会見で【子供を持たずにペットを飼うのは身勝手】というようなことを述べたそうです。

発言の趣旨

発言の趣旨をまとめますと、以下のとおり。

〇子供を持つことを望まない、あるいは1人だけしか持たずに犬・猫を飼う人々がいるが、そこにはある種の身勝手さがある。

〇子供の代りに犬・猫を複数飼うことは、父性・母性を否定し、人類を損ない、人間性を奪うこと。

〇親になることを恐れてはいけない。生物学的理由で難しい場合は、養子縁組を検討すべき。

人として生まれた者の努力義務

これが日本の政治家なら、リベラルやフェミニスト勢による総攻撃で大炎上必至ですが、私はおおむね正しいと思います。

法理論的なことはさておき、受け継いだ命を次世代につなぐことは、人として生まれた者の努力義務だからです。

私たちが今ここに生きているということは、それこそ縄文、弥生、いや石器時代のはるか太古の昔、奈良、平安、鎌倉、室町、戦国、江戸、明治、大正、昭和と脈々と続くどの時代にも一度も途切れることなく、私たちの祖先が一所懸命に生活を重ね続けてきた結果なのだ。

『新国史大年表』日置英剛編著 国書刊行会 2007 あとがきに代えて P946

約1000年前の平安時代、つまり30世代前からとしても現代人一人につき、2の30乗で10億7374万1824人の先人がいます。
子を産み育てる、あるいは養子を迎えることは、彼らの恩に報いる最も効果的な方法の一つだと思います。

逆に、この義務を果たす人が減る、すなわち少子化が進むことは、経済や文化の担い手の減少を招き、国家の衰退へとつながります。子を持ち、育てることは社会の継続に欠かせません。

教皇は少子化を心配…日本にとっても大きな問題

教皇も「人口統計学的な冬」に言及していますが、ヨーロッパでは白人キリスト教徒が少子化傾向なのに対し、増加するイスラム系移民は多産傾向と聞きます。教皇としては文化的な危機感も大きいのでしょう。

この危惧は、少子化と移民受入拡大を続ける日本にも当てはまります。
地方の過疎化、衰退を経て、文化も変容させられ、我が国そのものが失われかねません。

日本の少子化はペットのせいか?

とはいえ日本の少子化、それはペットのせいなのか? 
子供の代りに犬・猫を飼う人が増えているせいなのかというと、それは違うのではないでしょうか。統計を見てみましょう。

ペットの数が人の子の数を上回る

代表的ペットと言えば、犬と猫。令和2年の「全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人 ペットフード協会)を見てみますと……

新規飼育頭数 犬:46万2千頭 猫:48万3千頭
       犬・猫合計:94万5千頭
  
推計飼育頭数 犬:848万9千頭 猫:964万4千頭
       犬・猫合計:1813万3千頭

一方で政府統計によると、人間の子供は……

令和2年出生数:84万832人
令和2年15歳未満人口:1503万2千人

我が国では、ペットの犬猫が人間の子供より多く、さらにその差は広がりつつある。それは事実です。

ペットを飼う理由

次に、人々がペットを飼う理由について見ましょう。
前出の「全国犬猫飼育実態調査」によれば、「生活に癒し・安らぎが欲しかったから」が犬:39.9%、猫:45.2%といずれも1位となっています。

独身社会人(20~39歳)ではさらにその傾向が強まるようです。
平成27年(2015)のアンケート調査では、「ペットに癒し・ヒーリングを求める」が77.9%。さらにペットを飼っている人にとって、「ペットは我が子」「ペットは兄弟姉妹」が共に31.1%。

「ペットにさみしさを癒され、恋愛や結婚を前向きに考えなくなる」ということはありあそうです。

また、単身世帯の35~59歳女性は、他の年齢層に比べてペット関連に多くのお金を使っています。ペットが「子供代わり」「愛情を与える対象」となっていることがうかがえます。

とはいえ、ペットを飼う人そのものは増加傾向にはありません。
犬の飼育率は平成28年(2016)⇒令和2年(2020)で-1.7%、同じく猫は±0%の横ばいです。( 前出の「全国犬猫飼育実態調査」 )

子供が0~1人の夫婦が2倍に増えた

では人間の子供の事情はどうでしょう。
子供が0~1人の夫婦は、平成4年(1992)⇒平成27年(2015)の13年間で
12.4%⇒24.8%と倍増、約1/4に達しています。

https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou15/NFS15_report4.pdf
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai20/dl/h3-4.pdf

これは↑の資料から読み取る限り、女性の高学歴化・晩婚化が大きな要因です。
30代以上での出産が多くなっているせいでしょう。

希望する子供の数はさほど減っていない

また、希望する子供の数はさほど減っていません。
平成4年(1992)⇒平成27年(2015)の13年間で、

未婚男性の希望子供数:2.23人⇒1.91人
未婚女性の希望子供数:2.17人⇒2.02人

夫婦の理想の子供数 :2.64人⇒2.32人
夫婦の予定する子供数:2.18人⇒2.01人 

出典:出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)

また、↓の調査では女性の理想とする子供数が2.32人となっており、調査対象世界8カ国の中でも最多です。
世界8カ国の女性に見る「少子化」問題 日本財団ジャーナル

問題は結婚が少ないこと

ところが、我が国の合計特殊出生率は1.34人(令和2年)。
※合計特殊出生率とは、15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの

では少子化の最も大きな原因は何でしょうか。当然「子供を持ちたくない。ペットに癒されていればいい」ということではありません。

問題は↓の記事にあるように、いまや「4人に1人が生涯未婚」であることです。


結婚が減るから、産まれる子供も減っているわけです。

なぜ結婚が減るか? 
お見合いや職場での世話焼きなど「背中を押してくれるきっかけ」が減少したこともありますが、経済的な要因も大きい。

特に重要なのは、「希望する経済力に見合う相手が少ない」です。

「令和元年版 少子化社会対策白書」

男性の年収が200~300万円増えると、女性の希望に重なるようになります。
女性の年収は100万円ほど増えると、男性の希望に重なるようになります。

理想は 一馬力でも子供二人以上を育て上げられ、ペットも飼える経済環境

少子化を解決しようとするならば、まず政府は上記に見合うよう、国民の所得を増やす政策を取るべきでしょう。具体的には、社保費負担減、消費税減税、住居費補助、一律給付金継続、公共事業における労務単価増など。国民負担大幅減・政府支出大幅増の超積極財政です。

目指すべきは、一馬力でも子供二人以上を育て上げられ、ペットも飼える経済環境です。
「クレヨンしんちゃん」の野原家のようなイメージですね。
共働きの場合も、経済的に必要だから、ではなく「働きたいから」そうする。
そういう余裕ある社会を希望します。

トップ写真:Pope_Francis_in_March_2013_b_photo_by_Casa Rosada

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