日本維新の会の「維新八策2021」、内容と問題点をカンタン解説

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日本維新の会が衆院選に向けた政策提言「維新八策 2021」を発表しました。衆院選公約の土台と見られますが、スゴい内容です。消費税減税、積極財政、ベーシックインカムなどを挙げているものの、その実体は新自由主義・構造改革路線の加速。次期衆院選で維新が躍進すれば、我が国の経済はさらに低迷、国柄も危うくなります。

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「維新八策 2021」で自公維連立政権へ?!

日本維新の会が衆院選公約に向けた政策提言「維新八策 2021」を発表しました。

菅政権とも蜜月関係にあり、自民党以上に新自由主義・構造改革的な維新。

衆院選の結果によっては、自民党・公明党・維新の連立政権樹立も予想されます。
これは、「反緊縮・反構造改革・反グローバル」の立場からは絶対に避けたいところ。
相手の手の内を知り、今のうちに論難しておくべきでしょう。

その「維新八策」、どのような内容なのか? 確認しつつ、問題点を指摘していきます。
もっとも、全体を通じて問題点だらけなので、本稿で取り上げられるのはごく一部に過ぎません。ご了承ください。

初手から「身を切る改革」

「身を切る改革」と徹底した透明化・国会改革で、政治に信頼を取り戻す

出ましたNGワード「身を切る改革」、正しくは「(国民の)身を切る改革」です。

議員報酬・議員定数3割カット

報酬カットはまったく国民のためになりません。
議員が買い物などで使うお金が減れば、お店はその分、売上が減ります。
お店は売上によって仕入れ先、大家、従業員などに支払いますから、彼らの収入にも悪影響。

国民経済はつながっていますので、誰かが支出を減らせば、みんながその分、損するのです。「デフレ圧力」にもなります。

議員定数カットも危険です。
議員は国民の代表ですから、その数が減れば当然、国民の声は政治に届きにくくなります。
1人の議員が耳を傾けねばならない国民の数が増えるので、そうならざるを得ません。
そもそも、日本は諸外国に比べ、国会議員が少ない。定数はむしろ増やすべきでしょう。

公務員改革

公務員の身分保障を見直し、能力・実績主義にする上、国・地方とも人員、人件費を2割カットして新たな財源づくりをすると言います。

しかし、人件費カットは「デフレ圧力」ですし、そもそも人員はすでに少なすぎます。
日本の公務員比率はわずか6%、OECD平均の3分の1。コロナ対応や災害対応でも、公務員の人手不足が露呈しています。

おまけに身分保障見直しを含めて待遇悪化となれば、これまで以上に優秀な人材が集まりにくくなるでしょう。また、公務員という安定・優良な就職先が失われることは、子を持つ親や若者たちにとって大ダメージです。

行政改革~民営化

JTや日本郵政、NTT、日本政策金融公庫など政府関係機関の保有株式を全て売却して民営化、売却収入でコロナ復興財源を確保するそうです。

これまた超レッドカード
公益性の高い事業体に対して、政府のコントロールが効かなくなります。
外資に買収されれば当然、日本の公益よりも企業・投資家の利益が優先されるでしょう。

「民営化による業務効率化」と言っていますが、効率化されるのは投資家や国際金融資本のカネもうけであり、日本国民は丸損です。(民営化で郵便局が不便になり、就職先としても魅力減となったことを見れば、瞭然でしょう)

羊頭腐肉の「成長戦略」/改革!

2 減税と規制改革、日本をダイナミックに飛躍させる成長戦略

減税自体は措くとしても、規制改革は規制緩和~破壊であって、「日本をダイナミックに墜落させる衰退戦略」と言い換えるべきでしょう。

消費税の5%減税2年間と、地方の基幹財源化

2年限定は余計ですが、消費税の半額カットは良いでしょう。
しかし後がいけません。超レッドカードです。

長年の消極財政(緊縮財政)で地方経済が疲弊、自治体財源は不足しています。
そのような中、消費税が地方の基幹財源とされてしまったら、これはまさに「聖域化」します。

減税どころか、「増税してくれ!」の声が地方から上がるようになり、「デフレ圧力・雇用環境悪化・逆累進性」の悪税、消費税の廃止は不可能となってしまうでしょう。

積極財政に言及するも、プライマリーバランス重視

維新は「中央銀行をもつ国家と地方自治体は異なる」と認識し、積極財政を行おうとしていながら、プライマリーバランスにこだわっています。

「経済成長/歳出削減/歳入改革のバランスの取れた工程表を作成し、増税のみに頼らない成長重視の財政再建を行います」だそうですから、

実際には積極財政どころか、消極財政・増税で構造改革による成長(←絶対ムリ)を目指すわけです。従来路線を堅持、でしょう。

規制改革と競争による成長戦略

「事前規制から事後チェック」で規制を撤廃/緩和して、イノベーションを促進する。
また、1つの規制を新設するには2つの規制を撤廃する「2:1ルール」を導入するそうです。

社会の混乱を引き起こしても、競争力をつけよう、とかどうかしています。
そもそも競争力強化は、デフレを悪化させます。需要が足りない時に供給力を増やすのですから。

産業別の政策でも「混合診療の解禁・推進」「農協を地域別に株式会社化」「IR推進」「シェアエコ推進」など、外資や投資家、プラットフォーマーを利するばかりのものが目立ちます。

社会保障改革とBI、労働

3「チャレンジのためのセーフティネット」大胆な労働市場・社会保障制度改革

ベーシックインカムが登場します。また、多くの一般国民(被雇用者)にとって、労働条件悪化を招く内容が多く見られます。

ベーシックインカム(BI)と社会保障

BIについては、「維新八策 2021」よりも「日本大改革プラン」に詳しく書かれています。
生活保護の生活扶助分、児童手当、基礎年金などを整理統合し、BI(月一人6万円)を導入するというものです。

その年間100兆円の財源として、税制改革・社会保障改革・行財政改革が挙げられていますが、これすなわち「無駄の削減」「政府支出減」

国民経済全体にとってはマイナスの、毒薬BIと言わざるを得ません。

やっていいのは、あくまで国債発行を財源とし、現行の社会保障/政府支出に上乗せするBIです。

年功序列を破壊し、ジョブ型、同一労働同一賃金へ転換

経営者目線で言えば、働く人を「人として育てる」のではなく、「作動する部品」として扱おうというものです。

己の才幹を活かし、ジョブ型労働を望む人もいるでしょう。
しかし大抵の人々には、安定した環境で仲間と協力しながら、経験と共に給与が上がっていく方がよい。日本企業の強さの源泉であった、年功序列・終身雇用を復活させるべきなのに、逆噴射の愚策です。

また、維新の構造改革路線では景気はよくならず、企業の売上も低迷します。
このような状況下で「同一労働同一賃金」を求めれば、正社員の待遇が非正規レベルに悪化するか、正社員数の抑制で非正規が増えるかのどちらかでしょう。

ジョブ型雇用増、雇用流動化で巨利を得るのは、パソナのような人材派遣会社。維新と親しい竹中平蔵氏の会社です。

「積極財政競争」、維新は予選失格

その他、大学入試への民間試験導入、9月入学制度、選択的夫婦別姓、多言語対応・多文化共生推進、帰化要件緩和、道州制などなど、賛成できない問題政策が目立ちます。

日本維新の会は、自民党以上に、構造改革・グローバル化・政府の店じまい・伝統破壊を志向する政党です。少しばかり積極財政・消費税減税を言い始めたからとて、これを善しとするわけにはいきません。

衆院選では政党・候補者同士で「積極財政競争」、「どっちが国民のためにおカネを発行して使えるか対決」が繰り広げられることを望みますが、維新は予選失格です。

トップ画像:第23回参議院議員通常選挙(7月13日、元町大丸前の清水貴之候補の街頭演説)撮影者:Ogiyoshisan



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