都会と田舎ならどちらが生活費が安いでしょうか。
多くの人が「田舎の方が安い!」と答えます。
ところで、どの程度安いか知っていますか? じつは、差は1割程度です。
都会と田舎ではそんなに生活費は変わりません。
こう言われても9割の人が「え? 嘘でしょ?」と疑うはず。そこで、全労連や総務省の資料から「都会と田舎の生活費はそこまで変わらない」と解説します。
では、次の質問。
最低賃金は都道府県間で最大、どれくらいの差があるでしょうか?
多分、知らない人の方が多いと思います。
東京が1013円に対し、7県が792円と2割以上の差があります。
生活費は1割程度しか差がないのに、賃金は2割の差がある。これって不公平な話です。
本稿では日本の最低賃金格差についてわかりやすく取り上げます。
最低生活費は都会も地方も変わらない
全労連の資料によれば、都会と地方(田舎)の最低生活費はそれほど変わりません。
上記の資料は25歳男性がフルタイムで働いて、最低生活費をまかなうためにどれくらいの時給が必要か示したものです。
「都会は生活費が高く、田舎は生活費が低い」と多くの人が漠然としたイメージを抱いています。しかし、じつはイメージするほど生活費に違いはありません。
最大でも1割程度の差しかない、と知ると驚く人がほとんどでしょう。
家賃は確かに地方や田舎が安い傾向にあります。
たとえば、ワンルームの家賃相場は東京が7~8万円に対して和歌山4万5000円と3万円ほどの差があります
ところが、田舎では車が必須のケースが多く、都会で車は必須とは言えません。
車の車検や維持費、駐車場代などを考えると、生活費に大きな差はつきません。
車の維持費は月に約1万円、駐車場代も全国平均で1万円ほど。計2万円が必要です。
全労連の資料で、全国の最低生活費があまり変わらないのはそのためです。
全国の物価指数は最大1割未満の差
生活にかかる費用は「家賃」「光熱水道費」「食費」「通信費」「交際費」などが考えられます。他にも、田舎なら車の維持費や駐車場代も必要でしょう。
全国の物価指数を見ると、じつは東京を100としてもっとも低い宮崎県で91.7です。
参照:
都道府県別、生活費ランキング!地方移住の生活費を調査!【田舎暮らしの知識】 | 移住支援.com
総務省統計局「全国物価地域差指数」
先ほど参照した全労連の資料でも、最低生活費の違いは都会と地方で1割ほどでした。そして、全国の物価指数でも1割未満です。
やはり、都会と田舎の生活費は、同じ生活レベルであればあまり変わらないことがわかりました。
最低賃金の地域間格差
一方、最低賃金は東京1013円に対し、最安値の都道府県は792円と2割以上の差があります。
792円の都道府県は秋田、鳥取、島根、高知、佐賀、大分、沖縄の7県です。793円の都道府県は青森、岩手、山形、愛媛、長崎、熊本、宮崎、鹿児島の8県です。
他にも700円台の都道府県には徳島があります。
全国47都道府県の中で16県が今でも最低賃金700円台です。
では、東京と地方で労働内容が異なるのでしょうか? 最低賃金のパートの労働内容がそこまで異なるとは思えません。
200円の最低賃金格差は月収で3万2000円、年収で38万4000円もの差になります。
これだけ最低賃金が異なり、なおかつ生活費は1割程度しか違わない。
とすると、自明ですが地方や田舎から人口が流出して都会に集中します。
東京一極集中が進むのです。
あまりにも不公平な地方の最低賃金格差は、是正する必要があります。
まとめ
「都会と田舎の生活費はそれほど変わらない」とTwitterに資料を添えて投稿しました。反応は「え、嘘でしょ」「そんなはずはない、もっと差があるはずだ」「や、家賃が大きく違うやんけ!」etc……。
認めたくない! という反応が非常に多かったです。
でも、数字やデータからは「都会と田舎の生活費の差は、あっても1割程度」です。
一度、思い込んだら覆すのは容易ではありません。
「都会と田舎では生活費に大きな違いがある」と思い込んでいたので、私も「地方の最低賃金が安いのはしょうがない」と思っていました。
事実は違いました。
とすれば、地方の最低賃金が安いのは不公平でしかありません。
問題提起になれば幸いです。