円換算で1997年から日本はゼロ成長を続けています。なんと25年近くもの間、経済成長していません。これは世界的に見ても驚くべきことです。
なぜなら、日本がゼロ成長の間も世界は着実に経済成長し続けたからです。
日本のゼロ成長の現実と、世界との経済成長の差を確認しましょう。
日本がゼロ成長に陥っている原因は明白ですが、なぜ明白にもかかわらずゼロ成長のままなのかについても議論します。
結論から言えば、2つの可能性があります。
- 日本人は、じつは経済成長を望んでいない
- 数十年も間違い続けて、未だに間違いに気がつけない
この記事を読んであなたはどちらだと判断するでしょうか。そして、どう行動するでしょうか。
1997年から2020年のゼロ成長
日本のGDPは1997年に543兆円でした。そして、2020年は539兆円です。2019年がピークで561兆円ですが、それでも1997年と比べて18兆円しか増えていません。
- 1997年:543兆円
- 2020年:539兆円(1997年比マイナス4兆円)
- 2019年:561兆円(1997年比プラス18兆円)
後述しますがゼロ成長は珍しいことです。21世紀に入ってどこの先進国も1.5倍程度の経済成長をしています。
たとえば、ドイツは1.57倍、イギリスは1.92倍、フランスは1.54倍です。アメリカは2.04倍となっています。
上記の数字は2000年と2020年の比較です。
一方、日本を2000年と2020年で比較すると1.0068倍。
どれだけ日本が経済成長していないかわかります。
「日本が経済成長できないのは、人口が減っているからだ!」という反論が見られます。
日本の人口は1995年に1億2557万人でした。2000年は1億2692万人です。2018年の日本の人口は1億2644万人とほぼ増減していません。
「人口が減少したから経済成長できない!」という主張は嘘でした。
働く人が減少したからでは? との反論もありますので確認しましょう。
1997年の雇用者数は5391万人でした。2019年の雇用者数は5660万人と微増しています。じつは、労働力人口も微増ないし横ばいです。
「人口が減少したから経済成長できない!」は完全に間違いだったのです。
採用された政策
人口の減少が原因でないとすると、日本のゼロ成長は政策が原因と考えられます。
日本が1990年代以降に採用した政策は以下のようなものです。
- 緊縮財政
- 規制緩和・構造改革・民営化
- 自由貿易とグローバリズム
- 日本式経営の解体とグローバルスタンダード
これらの政策が日本にゼロ成長をもたらしました。
他国の経済成長率
他国の経済成長を確認しておきましょう。
日本と日本以外の地域を比較したとき、ほとんどの地域が経済成長をしていることがわかります。日本と比較できるのはラテンアメリカくらいでしょうか。
一方、ドル換算で日本は1994年からゼロ成長を続けています。
数十年もゼロ成長を続けているのは日本だけです。
日本がゼロ成長の原因
日本のゼロ成長の原因は人口減少などではなく、経済政策の失敗です。バブルの崩壊が大きな要因の1つですが、その後に始まる構造改革や規制緩和、民営化、緊縮財政がゼロ成長を長引かせました。
特に1997年の消費増税、1998年のデフレ突入がゼロ成長の大きな原因でしょう。
にもかかわらず日本は、緊縮財政とプライマリーバランス黒字化を目標に掲げました。
バブル崩壊という病気で体重が減ったにもかかわらず、さらなるダイエットを敢行したのです。
有り体に言えば「バカのやること」です。
グローバルスタンダードという幻想と緊縮財政の民意
日本は1990年代から、グローバルスタンダードの名の下に効率化・合理化といった改革を進めてきました。
効率化・合理化は「構造改革」「規制緩和」「抜本的改革」「行政改革」「公務員削減」「公共事業削減」などさまざまな名称で呼ばれてきました。
1998年から日本はデフレに突入しました。
デフレとは需要<供給で需要過少、供給過多の状態です。効率化・合理化は供給を強化します。つまり、日本はデフレに突入してからもデフレ促進政策をし続けました。
これで経済成長する方が不思議です。
ゼロ成長になる政策をして、当たり前にゼロ成長になっただけでした。
なお、現在でも民意は緊縮財政を支持しています。
「【データ】コロナ禍での財政支出に関する世論調査」によれば、このコロナ禍において積極財政を警戒する人が8割とのことです。
民意は圧倒的に緊縮財政に傾いています。
だからこそ、日本では緊縮財政が続いています。
世論が緊縮財政なので、民主主義的に日本は緊縮財政を実施しているだけなのです。
この事実から2つの可能性が考えられます。
- 日本人は、じつは経済成長を望んでいない
- 数十年も間違い続けて、未だに間違いに気がつけない
一体どちらなのでしょうか。筆者には判断がつきません。
なお、ときどき「いやいや、日本人は騙されているだけなんだ! 政府やマスコミが悪いんだ!」と主張する人がいます。
政府やマスコミも「日本人の一部」ですよね。
日本のどの部分に責任を転嫁しても、日本人が選んだ事実は変わりません。
まとめ
1997年から25年近く、我々日本人はゼロ成長を続けてきました。ゼロ成長の原因は明白です。1990年代から行われた効率化・合理化の政策の数々が原因です。
「規制緩和」「構造改革」「抜本的改革」「公務員削減」「スリム化」「民営化」「公共事業削減」etc……。数え上げればきりがありません。
くわえて、緊縮財政が追い打ちをかけました。
これらはデフレ促進政策でした。したがって、当然デフレになります。
日本人はデフレを促進しながら、同時にデフレ脱却を叫びました。
世論調査では未だに緊縮財政支持が圧倒的です。
世論が緊縮財政を支持するので、政府は緊縮財政を実施しています。
日本人は「経済成長を望んでいない」「間違っていると数十年経っても気がつけない」のどちらでしょう。
あなたはどちらだと思いますか?
本心では経済成長を望んでいるし、一部の人は間違っているかもと疑問に思ってもいるだろうけど、間違いを認めて正そうとすれば、今まで間違ってたのか!ふざけんな!と凶弾されるので怖くて出来ない、だと思ってます。
財務省が日本の国債は自国通貨建てでデフォルトしないと公式発表してますよね?
これが真なら財政破綻論は嘘確定で、PBが不用となり緊縮する理由もない。
財務省陰謀論よろしく財務省が「ご説明」として財政破綻を理由に緊縮へ誘導したのなら立法に対して嘘の情報を渡した事で追及案件ですよね。
偽なら、嘘を公式発表した事で追及案件。
まぁ、陰謀論が無かったとしても公式発表を理由にPB撤回を掲げる議員がでないのはなんでだろ?
国債残高ヤバいデフォルトするぅ→PB黒字化!→緊縮!構造改革!のロジックだったよね?
>公式発表を理由にPB撤回を掲げる議員がでないのはなんでだろ?
政治家は世論に逆らえないからじゃないですかね?