日本型雇用慣行にケチをつけるエセ論者

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『どうしてブラック企業から逃げた先もブラック企業ばかりなの?と思った時に読む話』

(城 繁幸/人事コンサルティング「Joe’s Labo」代表取締役)

どうしてブラック企業から逃げた先もブラック企業ばかりなの?と思った時に読む話
今週のメルマガ前半部の紹介です。非常に興味深い質問をいただいたので、今回はこれをテーマに考察したいと思います。「転職するたびブラック企業ということが続いていて、就職前にブラック企業を見分ける秘訣があれば教えていただけないでしょうか」(タイト

「非常に興味深い質問をいただいたので、今回はこれをテーマに考察したいと思います。

「転職するたびブラック企業ということが続いていて、就職前にブラック企業を見分ける秘訣があれば教えていただけないでしょうか」

確かに「あまりにも職場環境が悪いので転職したらもっとブラックな環境だった」という話はしょっちゅう耳にします。(略)

筆者が常々言っているように、残業や(異動・転勤といった)会社の権限の強さというのはすべて終身雇用の副産物です。人を雇うのではなく既存の従業員の残業や転勤で対応しようとするから。

だから、それをブラックというのなら日本企業すべてがブラック企業ということになってしまいます。「労働環境を理由に転職したけど似たようなものだった」という人の多くはこのパターンですね。(略)」

城氏の過去コラムを読めば、終身雇用制や年功序列が大嫌いなご様子がよく解ります。

彼の文章を読むと、働く現場で起きる弊害や労働問題は、すべて終身雇用や年功序列の所為だと言わんばかりです。

明日をも知れぬフリーランスの売文屋の身からすれば、「終身雇用制や年功序列」がもたらす安定感や安心感は羨望の対象でしかなく、それを享受するサラリーマンは妬みの的でしかないのでしょう。

まさに“うらやまケシカラン!”というわけです。

フリーランスならフリーランスらしく、自由を謳歌してどんと構えておればよいものを、他人の職業倫理や働き方にまで要らぬ嘴を挟み、安定雇用や右肩上がりのポストと収入を貶めようと躍起になるのは感心しませんね。

それほどサラリーマンが妬ましいのなら、なんでフリーランスになんかなったんですかね?

彼のように、世間知らずなお坊ちゃん評論家は、事あるごとに「終身雇用制は崩壊した~」、「年功序列が若者の未来を奪う~」と大嘘をまき散らしていますが、世間の反応は冷ややかです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構による「第7回勤労生活に関する調査」によると、

①終身雇用制への支持率は1999年/72.3%→2015年/87.9%に上昇

②年功序列への支持率は1999年/60.8%→2015年/76.3%に上昇

③組一体感一体感への支持率は1999年/74.6%→2015年/88.9%に上昇

という結果が出ています。

アレッ? たしか「終身雇用は終わった。年功序列も終わった、。会社とべったりの日本型経営は完全終了」なんてほざいているバカがいたようだけど?

ドライな今の若者は、会社に縛らない働き方を支持し、終身雇用や年功序列を嫌っていると聞いてたけど?

終身雇用や年功序列の支持率がこんなに上がっているなんて、いったいどうしたんでしょうね?

いやはや、現実は冷酷ですね。

日本型雇用崩壊論を唱えるエセ論者の大嘘など、ものの二秒で木っ端みじんです。

【参照先】

終身雇用は崩壊?実は約半数の企業が終身雇用。その是非と次の時代への打ち手とは
「終身雇用制度」とは、一度採用した人材を定年まで雇用し続ける制度です。年功序列制度、新卒一括採用と併せて語られることが多く、日本の高度経済成長期を支えた制度の一つと言われています。近年「崩壊した」という文脈で語られることの多い終身雇用制度ですが、実は約半数の企業が現在も終身雇用制度を続けています。終身雇用とはどんな制度...

また、上記調査では、

「「終身雇用は崩壊した」という声が多く聞かれるようになりましたが、前述したように、まだ日本の約半数の企業が終身雇用制度を続けているという調査結果があります。厚生労働省職業安定局が発行している「我が国の構造問題・雇用慣行等について」によると、若年期に入職してそのまま同じ企業に勤め続ける人(生え抜き社員)は、2016年時点で大卒正社員の約5割という結果に。」

との記載があり、“生え抜き社員の割合が約5割=日本の約半数の企業が終身雇用制度を続けている”と断じていますが、この表現は間違っています。

これは単に職場が合わずに転職した労働者の割合や転職せずに居残っている割合が約5割というだけで、日本企業の雇用慣行として半数が終身雇用制を捨てた、あるいは維持しているとうのは不正確です。

おそらく、今でも終身雇用を前提とした雇用慣行を採る企業がほとんどで、それらの日本型企業間を転職者が行き来しているだけに過ぎません。

転職者割合が5割といっても、終身雇用制を敷くA社の退職者が、これまた終身雇用制のB社に転職したというのが事実でしょう。

つまり、船そのものが変わったわけじゃなく、乗組員が交替しただけということです。

城氏は、

「残業や(異動・転勤といった)会社の権限の強さというのはすべて終身雇用の副産物です。人を雇うのではなく既存の従業員の残業や転勤で対応しようとするから。」

と、残業や人事異動、転勤などをすべて終身雇用の所為にしていますが、アホ丸出しです。

終身雇用制を採らない完全成果主義の企業って、残業は一切存在しないんですか?

こんな報告もありますよ。

『成果主義の会社はデメリットが多すぎるため、いつまでも居てはいけない。』

成果主義の会社はデメリットが多すぎるため、いつまでも居てはいけない。
突然ですが『成果主義』を採用している会社についてどういったイメージを抱きますか。成果主義の会社は昔に比べて減ってはきていますが、いまなお採用している会社も相当数あります。あなたの会社はどうですか?成果主義ですか?成果主義の会社と聞くと、頑張

「成果主義である以上、成果を出さなければ、給料は低く、社内では居場所がありません。成果を出せなければ、年下社員からも、勤続年数の浅い社員からも軽くあしらわれます。

それが成果主義の会社の実態です。

そうなりたくなければ、成果を上げるしかありません。

成果をあげるために、平日は夜遅くまで、そして休日は休日出勤して何とか成果をあげようとします。

もちろん、残業代も出なければ、休日出勤の代休もありません。

全て自主的に出勤しているからです。

これが隠れブラック企業の一端です。」

終身雇用制を失くすと異動や転勤がなくなるんですか?

こんな文書を見つけました。

『「成果主義」も結局は「人物主義」になる』

【第2回】「成果主義」も結局は「人物主義」になる
大手銀行、セブン‐イレブン、楽天で、人事部長や人事担当役員を経験した渡部昭彦氏に、人事部や人事制度の裏側を教えてもらう連載の第2回。一世を風靡しながらも、結局は日本企業に根付かなかった成果主義の実態を解説してもらう。

「いずれにせよ、結局、成果主義はほとんど日本の企業には根づかなかった。そして、その背景には根深いものがあった。成果に応じての評価や処遇を徹底した場合、当然の帰結として年齢や入社年次が逆転した報酬や昇格、人事異動が常態化する」

普通に働いたことがある人なら解ると思いますが、終身雇用制だろうが、そうでなかろうが、残業や異動、転勤は発生します。

城氏は、「終身雇用=会社の権限の強さ=残業・異動・転勤という弊害を生む」と結論付けていますが、会社の権限が強いのは、むしろ完全成果主義を採る無慈悲な(自称)グローバル企業の方じゃないですかね?

なにせ、成果が出なければ即日クビという残酷な世界ですよ。

それなら、異動や転勤で社内に行き先が与えられて給料も貰える方が数百倍マシですよね。

イメージだけで物事を騙るいい加減な論者の駄文は読むに堪えません。

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