2020年の交通事故による死者数は前年比376人人減の2839人で最少を更新した。これは、新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛による交通量減少が要因の一つのようだ。逆にコロナ以前は毎年3000人超という日本国内の新型コロナウイルスによる累計死者数4779人(2021年1月20日時点)に匹敵する方々が交通事故で亡くなっていたということであり、コロナが終息し交通量が増加すれば再び毎年3000人超が交通事故で亡くなる恐れがあるということだ。日本国民はこの数字をもっと深刻に受け止めなければならないのではないだろうか。これまでそうでなかったからこそ国民は政治家に舐められてしまい、医療増強や飲食店等への休業補償などの財政出動をはじめとする政府がやるべき公助が中途半端になり、感染対策は国民の自助努力に丸投げされてしまいその結果、多くの感染による直接死者と経済苦による自殺者を出してしまったのではないだろうか。
コロナで自助だけでは被害を防げないのと同じで交通事故も政府が財政出動という責任を放棄したら減らせない
昨年末、私の知人が車同士の交通事故を起こしてしまい、不幸中の幸いで相手方の怪我は軽傷で済んだのだが、警察に診断書が提出され人身事故扱いで取り調べを受けた。刑事罰までは至らなそうだが免許の減点は避けられないだろう。知人は信号の無い交差点で一時停止はしたものの左右確認が不十分で事故を起こしてしまったようで、その過失に対する責任を負うのは当然のことだと思う。ただ、事故を起こしたドライバーへの責任追及だけでは次の事故を無くすことはできないと私は思う。人間のミスを完全にゼロにすることなど絶対に不可能だからだ。
知人が事故を起こした現場付近では歩行者の死亡事故も度々発生している対策の必要性が高い道路である。にもかかわらず、ありもしない財政問題を理由に緊縮財政を続け、信号機設置等の安全対策や高速道路無料化、公共交通充実による交通量抑制、自動運転技術の開発、普及加速のための財政支援など人的ミスをカバーする対策を怠った政府の責任も問われるべきだ。
1月の東京・渋谷タクシー暴走死傷事故 積極財政をやっていれば防げたのではないか
一方、東京・渋谷では1月4日、73歳のドライバーが運転するタクシーが暴走し、歩行者をはね女性1名が死亡、小学生男児を含む5名が重軽傷を負うという痛ましい事故が発生した。運転手がくも膜下出血を発症したことが原因のようで、これはドライバーがどんなに注意を払っても防げない事故だ。また、タクシー会社も健康診断などできる限りの対策は行っていたとのことである。この事故は緊縮財政によって年金だけでは暮らせず70歳を過ぎてもタクシー運転手を続けざるを得ないような高齢者を増やした政府の責任こそ最も問われなければならない。
緊縮財政を続けたらコロナ後に交通事故で毎年コロナ以上に多くの人命が奪われる
コロナ終息後に交通事故死者数を増やさないためには、政府が日本国憲法の国民の幸福追求権を保障する義務を果たし、積極財政により交通事故対策を強化するように国民が今から声を上げていく必要がある。