大変お世話になっております。
反逆する武士
uematu tubasaです。
初回投稿日時:2021年3月4日(令和3年3月4日)
以下の記事内容は間違っている可能性がございます。
できれば情報元を明記の上、批判コメントいただければ幸いに存じます。
政府支出を増やしたら為替レートが急落する?
変動相場制を採用し、自国通貨を保有する政府には、財政的予算制約は存在しません。
現代貨幣理論の基本的な考えに基づくと、日本円という自国通貨を保有する日本政府は特例国債(赤字国債)の累積残高を怖れることはありません。
したがって、デフレでなおかつ新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急激な景気悪化に対抗するべく政府支出を増やしたり、減税したりすることで、日本国民の生活を安定化させ、所得を増やし、豊かな生活を実現するべきなのです。
上記のような主張に対して「政府支出が増えたら、輸入が増えるもしくは通貨の信認が揺らぎ、為替レートが急落してインフレになる」という批判がなされることがございます。
そもそも経常収支黒字(※)国家である我が国日本が為替レートの急落に見舞われるのか疑問ですが、そのような場合の対応策を予め考えることは必要です。
※経常収支黒字というのは、海外から流入するお金と海外へ流出するお金を比べた場合、海外から流入するお金の方が多いということであり、外国通貨売りの日本円買いが発生するため、日本円の為替レートは上昇圧力に晒されています。
為替レートの急変に対してどのように対処するべきなのか、私の考えを以下に述べます。
為替レートを操作する手段は様々
為替レートを操作手段にも様々な種類があるようでして、大別すると以下の3つになります。
1、為替介入(外国通貨取引を中央銀行が行う)
2、金利操作(中央銀行が政策金利を変える)
3、資本規制(お金の動き全般を制限する)
為替介入とは、正確には「外国為替平衡操作」と言い、中央銀行が中央政府の具体的指示に基づき、自国通貨売り(もしくは買い)外国通貨買い(もしくは売り)を行うことによって、直接為替レートを変えるオペレーションのことです。
金利操作というのは、政策金利を変えることによって、自国通貨高もしくは自国通貨安に誘導する方法です。
金利操作について、例を出して説明させていただきますと、トルコリラと日本円でございます。
トルコ中央銀行は12日、金融政策決定会合を開き、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年率3.25%引き下げて16.50%にすると決めた。
引用元:トルコ中銀、政策金利3・25%下げ 2会合連続下げ
7月に続き2会合連続の利下げ。
物価上昇率は縮小傾向で、金融緩和を進めて景気をテコ入れする好機だと判断した。金融政策に介入するエルドアン大統領の意向が働いた可能性もある。
日本の政策金利は0.1%であり、トルコの政策金利は2019年9月12日時点で16.50%ですから、その差は16.4%になります。
これだけの政策金利の差があるということは、日本円売りのトルコリラ買いをすれば、その政策金利の差分、金利収入を得ることができます。
これ、FXに興味がある方の間ではスワップ金利と言います。
要するに、政策金利が他国よりも相対的に高い場合、より多くの金利収入が得られるため、その通貨を購入するメリットが大きくなります。
したがって、自国通貨高に誘導することができます。
その結果、国内金融の引き締め効果が出てしまうので、国内景気は悪化する可能性が高くなってしまうというデメリットがあります。
国内の金融機関が中央銀行からお金を調達する場合の金利が高くなってしまうわけですから、それ以上の金利収入を稼がないといけないため、金融機関の貸出金利はそれ以上に高くなってしまいます。
貸出金利が高くなってしまうと、個人がお金を借りて住宅投資するのを控えたり、民間企業がお金を借りて設備投資するのを控えることになります。
どう考えても景気が悪化します。
最後に、資本規制なのですが、これはその国家の実情に合わせて実施されるため、決まった方法があるわけではないようです。
一般的にはお金の動きを制限するような規制が敷かれたり、強化されたりします。
例えば、預金を引き出すことを禁止します。
自国通貨売りの外国通貨買いを抑制することができます。
海外送金を禁止します。
自国通貨売りの外国通貨買いを抑制(※)できます。
※自国通貨を外国通貨にしないと外国では使用できないから
対外投資を規制したり、そもそも為替取引を規制するというある意味直接的な規制を実施することもございます。
以下においては、為替レートを操作するための主な手段であり、我が国日本にとっては馴染みの手段である為替介入がどのように行われるのかご紹介します。
日本が円高是正のための為替介入をする場合
もし我が国日本の為替レートが暴騰した場合(例:対USドル)に、為替介入するとしたらどのようなお金の動きが出てくるのかということを説明します。
※参考:日本銀行における外国為替市場介入事務の概要と三橋貴明著「本当はヤバくない日本経済」
①財務省が国庫短期証券(旧:政府短期証券)を発行し、民間金融機関から自国通貨を調達する。
円高是正をするということは、具体的には自国通貨を外国為替市場にて売却して、外国通貨を購入しなければなりません。
そのために必要な自国通貨を調達する必要がございます。
したがって、国庫短期証券という債券を発行し、民間金融機関もしくは日銀に引き受けてもらい、自国通貨を調達します。
上記の図では簡単に示していますが、民間金融機関に国庫短期証券を引き受けてもらうのであれば、民間金融機関の日銀当座預金が減って、政府当座預金が同額増えます。
国庫短期証券を日銀に引き受けてもらうのであれば、単純に政府当座預金が増えることになります。
補足事項ですが、簡潔に説明させていただきました。
②財務大臣の権限で、日本銀行側に具体的な指示が出される
為替介入をする権限があるのは、財務大臣なのでございますが、財務大臣が独断先行するというのは常識的に考えにくいので、事実上は内閣による判断ということになります。
どれくらいの規模の為替介入をするのか、どの通貨を購入するのか、為替レートはどの水準になることを目標とするのかという具体的なところを指示するのではないかと推察します。
③外国為替市場において、自国通貨(日本円)売り、外国通貨(この場合USドル)買いの介入を行う
現物の貨幣を取引するわけではなくて、口座上のお金の移動ということになりますが、自国通貨(日本円)を売り、外国通貨(USドル)を買います。
そのため、対USドルレートが下落するという為替介入になります。
1USドル=95円から1USドル=100円になったりします。
④外国為替市場にて調達した外国通貨(USドル)を活用して、米国債を購入する
日銀は外国通貨(USドル)を外国為替市場から購入して、そのまま保有するわけではありません。
その外国通貨(USドル)を利用して資産運用しなければなりません。
したがって、安全資産である米国債を購入します。
具体的には、アメリカ政府から直接購入するわけではなく、証券会社から既発債を購入することになります。
国債には新発と既発がございまして、新規発行と既に発行済みのものがあるとご理解いただければ幸いに存じます。
⑤外貨準備高が積みあがる
そうして購入された米国債は日本政府の外貨準備高として積みあがることになります。
日本が円安是正のための為替介入をする場合
もし我が国日本の為替レートが暴落した場合(例:対USドル)に、為替介入するとしたらどのようなお金の動きになるのかを説明します。
※参考:日本銀行における外国為替市場介入事務の概要と三橋貴明著「本当はヤバくない日本経済」
上記の図を参考にすると、以下のような流れになるのではないかと。
※この上記の図に対する批判も受け付けていますので、どんどんコメントを頂ければと存じます。
①日本円の暴落を受け、財務省が日本銀行へ具体的な指示を出す
日本政府(財務省)は当然のことながら、日本円の為替レートを注視しておりますから、日本円の暴落を受けたら、円安是正(通貨防衛)のための為替介入を日本銀行に対して行うよう指示します。
②外貨準備高の積み上がった米国債を取り崩す
今までの為替介入で、USドル建ての米国債が大量に積み上がっておりますので、それを取り崩すことになります。
USドル売り、円買いというオペレーションをしなければならないので、まずは外貨を手に入れる必要がございます。
③外国債券市場において、米国債を売り、USドルを手に入れる
おそらくは証券会社になるでしょうが、償還期間が残っている米国債を売り、USドルを手に入れることになると思います。
④外国為替市場において、USドル売りの日本円買いを実施
円高是正の為替介入と全く逆のことを行うことになります。
USドル売りの日本円買いになります。
そして、補足説明ですが、外国為替市場で手に入れた日本円は政府当座預金口座に振り込まれることになります。
その後、政府当座預金口座に積み上がった日本円をどのようにするのかは、現時点では不明です。
※一般会計の歳入に組み入れられる???
我が国日本には約1兆3920億USドルの外貨準備高がございます。
※参考:外貨準備等の状況(令和3年1月末現在)
経済状況や経常収支の状況にも関係しますが、1円為替レートを操作するために約1兆円の為替介入が必要だと仮定するのであれば、約140円分の円安是正は可能ということになります。
日本の単独介入なのか、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)との協調介入なのか、民間金融機関の協調行動もあるのかという点も考慮すると、さらに円安是正は可能であるという見方もできます。
現代貨幣理論に為替介入の実務を組み入れるべき
私なりの理解なので、間違っている可能性がございますが、現代貨幣理論とは、お金の動きや中央政府や中央銀行のオペレーションを説明する理論であるという側面がございます。
為替介入に関する現実を説明する理論ということで、これは現代貨幣理論に組み入れるべきなのではないかと強く思います。
今後も為替介入の実務を勉強したいと思います。
場合によっては財務省や日銀に対して、質問状をお送りすることになるかもしれません。
以上です。